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7-3

「次は僕っすね」


次はジョーだ。

彼には思うままにやってくれと指示してある。

彼の天才性に期待してのことだが、果たして……


「大枠ですが、戸籍の作成が済みました」


「え?」


なんでも彼はスラム街で炊き出しを行い、その際に追加のオカズとお土産の携行食を対価に全員の名前を書かせたらしいのだ。

更に、「スラム街の人間関係及び組織図、相互関係を語れるものには褒賞を出す」とのお触れを出し、いろんな情報を募った。

結果多数の情報を獲得し、それらの情報を統合、精査し、スラム街の全容を知るに至ったのだとか。


それ以外のマフィア関係者は、元々ある程度の人員表はできていたのでそれをベースに情報を詰めたらしい。


「それで、これが戸籍表です」


「え?」


相当な量の紙だ。


余談だが、この世界で紙は結構普及している。魔法を用いての量産体制が出来ていて、そこまで安くは無いが金さえあれば入手は困難で無い。

情報はなんにせよ大事なので、紙は遠慮せず使えと指示してある。

加えてペンは、そこそこ値が張るが魔力さえあれば永続的に文字が書ける魔法のペンがある。価値は前世で言うところの安めのノートpcくらいだ。


とにかく、大量の紙束だ。分厚いファイルが重なったタワーが三つくらいある。

そのうちの一つを開いて見れば、一枚一枚に簡素な情報が書かれていた。


名前、およその年齢、親の名前、生きている親族、普段行動を共にしている者、今までどう糧を得てきたか、技能、髪色、目の色、身長、所定の寝ぐら。


一人一人、結構な情報量がまとめてある。


「これ、一人でまとめたの?」


「いや、僕主導で信頼できる奴十人くらいでまとめました。あと、ツェルベロにも沢山手伝ってもらいました」


「……にしても凄いな」


「いや結局、戸籍の編纂以上のことは出来なくて申し訳ない」


「いやいや、2日でこれだけまとめられれば上等すぎるでしょ」


ちなみにこの7日間の眷属化による時間経過をざっと説明すると……


ウルガー、2.5日

ツェル、1.5日

ジョー、1日

エリゼ、1日

リンド、1日


で、計7日と言う感じだ。ちなみにジョー以降の三人は1日といいつつ、それぞれ数時間はオーバーしているので、現状は8.5日目というところだ。うん、ますます時間がないよ。


とにかく、ジョーはたった2日でコレだけの物を作り上げた。ツェルの諜報能力も借りたとはいえ、2日でこの情報量は凄いの一言だ。

情報収集力もそうだが、何よりそれをまとめて形にする情報処理能力が素晴らしい。

どうやら、ジョーの天才性は文官方向にも過不足なく働くらしい。

本当にいい人材を手に入れたものだ。


さて。


「ツェル、おいで」


「え?どうしたのママ」


「よしよし、よくやったぞ」


「ぅえ、ほ、褒めすぎじゃない!?」


ツェルの機動力と情報収集能力はやはり凄い。多分ジョーはツェルをメチャクチャこき使ったのだと思う。でなけりゃ流石にこの情報量は無理だ。農業系の資料と同時進行でよくやってくれたと思う。


「我が君」


「ん?」


「ツェルベロにはジョージが覚醒する前から、農業系資料の作成と同時進行で戸籍編纂に当たるよう指示していました。そしてジョージに以降編纂を主導してはどうかと提案したのも私です」


「ほう」


「なので、私もお褒めくださいっ!我が、君ッ!」


「…………」


「さぁっ!!」


「よしよし」


「あ、ありがたきっ……!!」


めんどくさい爺さんだな。


「ジョー」


「……はい」


「お前も、褒めてつかわす」


「いや、俺は別に撫でなくても、いや、えっと」


ふふ、照れておるな。


ーーーー


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― 新着の感想 ―
[一言] 骸骨に褒められて頬を緩める人達 シュールだな
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