5-7
ブラキリア領に巣食う、四大マフィア。
まず、最大手。
大麻の製造と流通を扱う、ウラジーミルファミリー。
次点。
奴隷市をメインとした闇市とカジノを仕切る、イヴァンファミリー。
三番手。
色街の運営をする、ピョートルファミリー。
四番手。
暗殺などを請け負う殺し屋組織、アレキサンドルファミリー。
この四つが最たるもので、あとは吹けば飛ぶよな弱小がいくつかある程度だ。
そして俺が今から潰すのは、このブラキリア領城に巣食う害虫、最大手のウラジーミルファミリーだ。
「さて、殲滅に相応しき装いをば……」
相手はゴロツキ。
魔法でバーンとするよりも、拳でボコボコにした方がいいだろう。
この手のやつらは一皮剥けば全員猿と相場が決まっている。魔力ではなくわかりやすい暴力で解決しようじゃないか。
なので、もっと厳つくてデカくて強そうなそんな姿を創造する。
三メートルくらいの巨躯。
がっしりして太めフォルム。
全身鎧の様にいかめしく。
鬼の様に禍々しい。
そんな骸骨の怪物。
【変異:鎧骨鬼】
「おっし、こんなもんか」
このフォルムは近接格闘殲滅型の仕様だ。
防御力と膂力に優れ、馬力があり突破力もある。特攻や、タンクの立ち回りが出来る姿だ。
この姿で、マフィア供を正面から殴り倒そう。
ーーーー
「フハハハハハハハハハッ! さあ、殺しにきたぞ」
「うゎあッ!? なんだ!?」
「どこの鉄砲玉だ!?」
「うわ、お、お頭がぁ!!」
「ぐわぁぁあああっ、やめろぅ、ぐぎゃああああああ!?」
俺はまず天井を突き破って、ダイナミック入城する。
事前に把握していたウラジーミルファミリーの首領前に降り立ち、そしてそのままお頭のお頭を握り潰す。
下調べで、ここの首領がとんでもない悪党だとはっきり判明している。
仕事で、ストレス発散で、趣味で、日課で人を殺す、そんな奴だ。
大麻を栽培し、それを帝国に流している。
女を薬漬けにしたり、敵を薬漬けにしたり、部下を薬漬けにしたりする、最悪の漬物職人だ。
こいつは生かしておく意味がないので即殺した。
「うおおおおおお、ってめぇ!!どこの組のもんじゃあ!?」
「生かしちゃ帰さねえッ!!」
「よくもお頭をッ、死ねぇぇぇえっ!!」
遅いかかってくる精鋭達、俺はそれらの攻撃を受けながら精査していく。
攻撃自体は痛くもかゆくもない。
「はい、お前はころすー」
「っが……」
心臓を素手で貫く。
「はい君はサキュバス化ー」
「え!? …………エッ!?」
禁呪で淫魔と強制融合させ、あとなんかいい感じに肉体を改変して人工サキュバス化させる。
「はい君は寝ててー」
「な!? …………スヤァ」
催眠魔法で強制的に眠らせた。
目があった人間の過去を覗き見る魔法を発動。
一人一人をおよそ一秒ほどで査定する。
どれだけ人を苦しめているかが基準。
俺の独断と偏見による、ざっくりとした罪の査定だ。
絶対に更生できないクズは即殺。
少しでも改心の余地がありそうな奴は人工サキュバス化させて、今後の領の資源として活用する。
自分の悪事を悔いている者、実は人を助けている者、大それた悪事をしていない者は、とりあえず眠らせた。
そうやって仕分けしていく。
正直手間はかかる。だけど一応やっておかねばならない。
我ながら独善的が過ぎるとは思う。
なにが罪の査定かと思う。
偽善にも程がある。
傲慢だと言えよう。
だけど、仕方ないと思うのだ。
この地は無法地帯。社会性と公共性は完全に失われている。
それを正そうとするのなら、一度、価値観を統一せねばならない。
なのでひとまず全てを俺の価値観で統一する。つまり俺が法だ。
短期間で無理くり纏めるなら、そうするしかない。
短期間でというのは俺の都合だが、それは仕方がない。
だって俺は皇位継承戦を引く気は無いのだから。
ならば我を通すしかない。
多少申し訳ないとは思う。
しかし、どうした所で現状より悪くなることはないだろう。
なので、思いっきりやる。
中途半端が一番良くない。
そういうことなので。
諦めてくれ、ブラキリアの民よ。
「ぎゃあああああああ、なんなんだよコイツぅ!?」
「化け物だぁあああ、攻撃が全然きかねぇっぇええええっ」
「助けてくれぇぇぇぇえええええ、ぃひいいいいいいいいいっ!」
「うぉおおおお逃げろぉぉ!! サキュバスにされるぞおおおおおお」
「こえええええよおおお、おかーちゃーん!!」
阿鼻叫喚の中。
俺は同じ作業を、四大マフィア全部にぶちかましたのだった。




