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5-3


ーーーー


禁術とは大きく分けて二つのタイプがある。


一つは超火力の被害甚大魔法。

もう一つは、法的にヤバい魔法だ。


前者は単純に、超威力の魔法を無許可で使われるのを防ぐためであり、またその魔法の暴発を塞ぐためだ。

威力の高い魔法は、扱いも難しい上、暴発した際の被害が大きい。暴発者はまず死ぬし、物理的な周辺被害も甚大なものとなる。そして暴走した魔法を止めるには、暴走時の魔力以上の魔法力が必要である。つまり、禁術指定されているような魔法は、そもそもが超威力故に、その魔法が暴走した際に止められる人間がそうそういないのだ。そのため許可のない訓練及び使用を固く禁じられており、禁術とされている。


後者は、倫理的にまずい魔法だ。催眠、催淫、自白効果、記憶改変。そういった魔法は、社会的、人道的に忌諱され、禁術とされている。というか、この手の魔法がまかり通れば法治社会が成り立たなくなる。


そして今回の俺が使った眷族化の魔法は、後者に当たる。

この眷族化という魔法は、皇帝のみが行使を許されている魔法、絶対服従の契約魔法に非常に通ずるものがある。眷族化された者は契約主に逆らうことができなくなる点、一度契約がなされれば破棄はできない、など、共通項が多い。


しかし、絶対服従の契約魔法は、王家のみが術式を独占している魔法であり、法により皇帝以外の使用は認められていない。この手の魔法が一般化されてしまうと、一個人が過剰な権力を持ちかねないからだ。

そして絶対服従の契約魔法に準ずるものも同様に規制され、禁術指定を受けている。

この「準ずるもの」の中に、眷族化の魔法はしっかりと規定されているのだ。


ーーーー


俺は今回、特に眷族化などするつもりも無かったのに眷族化してしまった。

普通眷属化と言うものは簡単なものではない。

眷属化の魔法を正当な手段で行使するのであれば、双方の信頼関係の構築から始め、数年に渡る共同生活や血の盟約などが必要になる。

皇帝が使う絶対服従の魔法も、何項にも渡る双方の合意からなる契約魔法の統合術式であり、簡単ではない。


本来であれば相手がネズミとは言え、そう簡単に使えるものではない。


不可思議ではあるが、俺はこの要因に心あたりがあった。

それは、俺の持つ高位神格にある。


格の高い神は、ひょんなことで神を生んだりする。

体を洗ったりだとか、鼻をかんだりとかで神が生まれたりするし、切り落とした男性器についた気泡から神が生まれたりもする。

高位の神からは、割と簡単に、ポコポコ神が生まれたりするのだ。


要するに、今回の俺の眷族化は、それの簡易版だと思うのだ。


影に沈めるということは、俺の魔力に沈めるということ。

そして俺の魔力は神格を帯びている。

なれば、強い神格に影響を受けて、あっさり眷族が生まれても不思議ではない。

実際のところ良く分からないが、多分そこまで外れてはいないだろう。


さて。


眷属化の原因はともかくとして、問題はこれをどうするかだ。


まぁ。

黙っているにかぎる。

別に人を眷属化しているわけではないので、バレはしないはずだ。


せっかく眷属化したのだから、このまま破棄するより、情報収集に役立てた方がいいに決まっている。せっかくの能力、使わないという手はあるまい。


「と、言うわけで」


俺はネズミ共に、ここ、ブラキリア領都の調査を命じる。

とはいえ、ネズミどもに情報を取り纏める能力はないので、情報自体はネズミどもと視覚共有した俺が精査するしかない。


今の俺は脳の思考速度も桁違いに上がっているので、他のことをやりながらでも複数の視覚情報を並列処理できる。(細かく言えば俺は骸骨で脳がなく、霊魂でものを考えているのだが)


方針は定まった。

すぐ俺はネズミを放つ。眷属化の影響なのか、ネズミどもは、俺と同じく影に潜むことが出来るらしい。

なんと諜報に優れた、素晴らしい能力か。ただの使い魔ではこうはいかなかっただろう。


よしよし。

領都の散策はネズミに任せて問題なさそうだ。


ネズミが思ったよりも使えるので、俺は別のことをやろうと思う。


今思いついた。


城に戻って、親父に禁術書の書庫を見せてもらうとかどうだろうか。



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