1-1:クソ雑魚皇子爆誕
生まれて数時間後、俺は母親に地面に打ち捨てられた。
ーーーー
この世界の人間には一つの異能が備わっている。
それは「異形」と呼ばれる力だ。
「異形」は自分を異なる姿に変える事が出来る能力で、これにより一人に一つ、普通の人間とは全く異なる姿を持つのだ。
この世界において「異形」は何よりも重要な資質である。
「異形」へと変身することによって、普通の人間以上の膂力や頑強さや敏捷性、そして魔法力を得ることが出来るのだから。
要するに。
変身後の姿が高位天使や神獣の類であれば、上等な人間。
変身後の姿がスライムやゴブリンであれば、カスな人間。
という訳である。
ーーーー
俺は超大国の皇子だ。
それも九人いるなかの七番目だ。
俺の母はこの国の公爵令嬢で、俺には同腹の双子の兄がいる。
あとは全部異母兄妹だ。
王族は皆んな生まれた時に、高級なアイテムを使って「異形」の姿を確かめる習わしだ。
王族としての資質を図る為である。
俺の母、元シャニアレイ公爵令嬢は八人いるガンドルフ皇帝の妻の中で唯一双子を孕んだ。
俺の双子の兄、レイフォードの異形はなんと「レグルス」と呼ばれる光の獅子の神獣で、母も大層喜んだ。
そして、俺の異形は「スケルトン」だった。雑魚敵で出てくる、アレである。
その瞬間、母は抱いていた俺から手を離して地面に落とし、そのまま無表情で立ち去ったという。
異形は成長するとはいえ、元の姿から大きく外れることはない。
つまり俺の異形はどこまでいってもスケルトンの延長上ということ。
母が俺を見限った瞬間だった。
ちなみに、落とした時の衝撃で前世の記憶とかが蘇った事をここに追記しておく。
ps:前世は高校生で、ひょんなことからトラック転生したものです。