「イヤホンプラグは侮れない」―青山剛昌ふるさと館(鳥取県)
毎週土曜日18時、我が家では高山みなみさんのアノ声が、高らかに宣言しています。
「真実は、いつもひとオォーっつ!」(注*)
いまや日本を代表するTVアニメ、『名探偵コナン』です。
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鳥取県を代表する有名な漫画家さんと言えば、水木しげる御大がいらっしゃいます。ご存じ『墓場の鬼太郎』は『ゲゲゲの鬼太郎』として、何度もアニメ化されました。私は第三シリーズのアニメ(1985年~1988年)を観て育った世代ですが、子どもの頃は水木先生が鳥取県境港市出身だとか、御作品の民俗学的・文化人類学的重要性など、全く知りませんでした。
境港市には「水木しげるロード」があり、御大のデザインされた妖怪のブロンズ像がたくさん並んでいます。鬼太郎や猫娘はもちろん、手長足長や海坊主、ろくろ首など由緒正しい(?)妖怪たちが177体(2018年)いて、全国からファンが訪れます。資料館もあり、隣の米子市にある空港の名前は「米子鬼太郎空港」です。ラッピング電車とバスも走っています。
『名探偵コナン』の作者・青山剛昌先生は、境港市より約53キロメートル東。大山の北東にある東伯郡北栄町のご出身です。JR山陰本線の「コナン駅(由良駅)」前から『青山剛昌ふるさと館』までの約1.4キロメートルは「コナン通り」として整備されています。
北栄町の案内看板です。
JRコナン駅、駅舎の中にもパネルがたくさんあります。
「迷宮なしの名探偵!」ここからコナン通りスタートです。
コナン通りにも水木しげるロード同様、青山先生デザインのコナン君と蘭ちゃん、子ども探偵団の銅像や案内プレート、マンホール(!)が並び、途中には喫茶ポアロを含む「コナンの家 米花商店街」があります。JR由良駅の北栄町観光案内所で公式ガイドブックを購入し(三〇〇円です)、ポイントに設けられたスタンプラリーを巡るのも、等身大の銅像と記念撮影をするのも楽しいです(スタンプラリーをコンプリートすると、特製シールがもらえます)。途中の北栄町役所にもコナン君の像とパネルがありますので、見落とさないようご注意ください。
喫茶ポアロ前を歩く二人
マンホールの蓋のデザインも青山先生です。
あっ眠りの小五郎が!
(後ろのコナン君は、離れると本当に見えません)
『青山剛昌ふるさと館』の前には、怪盗キッドと少年探偵団の像だけでなく、阿笠博士ハカセの黄色いビートルが停車しています。館内は撮影禁止ですが、青山先生の作品――『名探偵コナン』はもちろん『まじっく快斗』や『YAIBA』の原画、世界各国の言語に翻訳された『コナン』本、歴代映画のポスターなどが展示され、グッズも販売されています。
阿笠博士のビートル
青山剛昌ふるさと館、外観
少年探偵団!
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ここまで読んで「題名のイヤホンプラグって何?」と思われた方、ありがとうございます。思い出して下さり光栄です。
山陽側(瀬戸内側)から山陰へ行く場合、私は自家用車で松江道と中国自動車道を通ります。ある日、中国自動車道のSAへ寄ったところ、走行中のタイヤからカシャンカシャンと妙な音がし始めました。「ん?( ゜Д゜)」
車を止めて調べると、左後ろのタイヤの溝にイヤホンがはまっていました。どう見ても、音楽を聴く際に使うイヤホンです。誰が落としたのか知りませんが、そのプラグがきっちりめりこんでいました。
引っ張ったり手持ちのハサミを用いたりして何とか抜いたものの、タイヤの状態は分かりません。どこかでガソリンスタンド(GS)に寄って調べてもらおうと思いながら鳥取市まで行ったのですが――どういうわけか、営業しているGSが一店もありません。ええっ?(冷汗)
地方を自家用車で移動する際は、ガソリンにご注意ください。本当にね……信号もなければGSもないんですよ。この時の問題はガソリンではありませんが、コナン君もまっつあおな田舎なんです。
不安に思いながら、翌日、鳥取市から東伯郡北栄町まで約45キロメートルを走行し、北栄町役場前まで来てようやく営業しているGSを見つけました。給油のついでに調べてもらおうと思っていると、店長さんの方から
「パンクしているね、タイヤ。空気が減ってるよ」と。
タイヤのゴムを突き破ってパンクさせるとは。侮れません、イヤホンプラグ……。
予備タイヤと交換してもらって事なきを得ました。
このGS、店内に青山剛昌先生の直筆サイン色紙や『名探偵コナン』のフィギュアが飾ってあり、キャラクターの等身大パネルとフラグも設置されていました。そして、店名は『青山石油』――も、もしかしてご親族?!( ゜Д゜)と、勝手にコーフンしていました(未確認です)。
青山石油さま、その節は大変お世話になり、ありがとうございましたm(_ _)m
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水木しげる先生と青山剛昌先生、二大漫画家を猛烈プッシュしている鳥取県です。県の西部には「米子鬼太郎空港」があり、東部には「鳥取砂丘コナン空港」があります。
「コナン空港」にすると発表された際、青山先生は喜んだものの、思わず「大丈夫か? 鳥取県……」と仰ったとか仰らなかったとか。
鳥取砂丘コナン空港にはコナン君の砂像があり、青山剛昌先生の直筆画やトリックアートがあります。熱心なファンならこちらも観てみることをお勧めします。
ただし、鳥取砂丘コナン空港から北栄町までは直線距離で約37キロメートル、米子鬼太郎空港からは米子市を経由して約50キロメートルありますので、くれぐれも給油にご注意ください。
自動車を使わない方には、JR山陰本線をお勧めします。コナン君のラッピング電車が走っています。
青山先生自画像
怪盗キッドとコナン君
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青山剛昌ふるさと館:公式HP https://www.gamf.jp/
鳥取県東伯郡北栄町 観光ガイド「コナン通り」のページ:http://www.e-hokuei.net/1425.htm
北栄町観光案内所(JR由良駅横):公式HP https://www.hokuei-kankou.jp/%E8%A6%B3%E5%85%89%E6%A1%88%E5%86%85%E6%89%80/
(注*):書き終えた後で気づきました。
TV版の冒頭のセリフは「たったひとつの真実見抜く。見た目は子ども、頭脳は大人。その名は名探偵コナン!」で、映画版の方が「小さくなっても頭脳は同じ、迷宮なしの名探偵! 真実はいつもひとオォーっつ!」です。
わざと変えているんですね……。悔しいので、このままにしておきます(何・汗)。
参考図書:
「少年サンデーグラフィック 名探偵コナン20YEARSシネマガイド」(小学館)
「コナン通り 公式ガイドブック」北栄町観光協会・編 / 発行




