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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
冒険者の町「メガスリトス」
9/63

「力」


「よう、だんだん充実してきたようじゃな。」


 すぐ隣にある席に、少女がいた。

 あの女神 "パルフェ" である・・・。


「おい、あんた! こんな所でなにやってるんだ!?」


 俺は、普通に女神がいるという状況に驚愕していた。

 しかしパルフェはそんなことを気にしていないようだった。


「まあ落ち着け。 とにかくそっちにでも座れ。」


 俺はとりあえず、パルフェの向かいに座った。

 外見だけなら、ただの魔法使いで通用しそうだな。

 見た目は幼すぎるが・・・。


「なんでここにいるんだよ。」

「久々に会ってそれかい。」


 パルフェは不満げな顔で言った。

 だが、すぐに俺の質問に答えた。


「まあ、ちょっと話に来ただけじゃ。」

「話?」


 すると、パルフェはリースさんの方を見ながら言った。


「なかなか可愛い仲間を見つけたようじゃな。」

「それがどうした?」


 すると、パルフェが俺の方を見て、(ささや)いた


「で? いつ手を出すつもりなんじゃ?」

「あ?」


 突然の発言に、俺は驚くのを通り越して変な声が出た。

 「手を出す」? なに言ってるんだコイツ。


「異世界に転生したら、ハーレムを作るのは当たり前じゃろうが。」

「なに言ってるんだ?」


 そういえば昔、友人が異世界転生ものはハーレムになることが多いと聞いたことがあるな。

 もちろんならない作品もあると聞いたが。

 それを言ってるのか?


「他の転生者は既にハーレムを作ったりしておるぞ。」

「他の転生者? ああ、俺以外にもいたんだっけ?」


 異世界に転生したのは俺だけではなかったな。

 他の人は、他の異世界で生活でもしてるのかな?


「あんたもハーレムとか作ってみたらどうじゃ?」


 正直、ハーレムというものには少しだけ興味があった時期はあった。

 だが、多数の女を愛せるほど、俺の器は大きくねえ・・・。

 そんなものを作るくらいなら、一人の女を愛したいもんだ。


「ハーレムには興味ねえ。」

「じゃあ、あの子一筋ということじゃな。」


 リースさんは可愛くて素敵だ。

 しかし、俺は彼女をそういう目で見ていない。

 いや、見ちゃいけないんだ。

 「仲間内の恋愛は、死を招く」。昔読んでた漫画でそう習った。

 なにより、彼女の純真さを汚してはならない。

 そう思っていた。


「彼女はただの仲間だ。 そういうものじゃない。」

「なんじゃつまらん。」


 パルフェは不機嫌そうに言った。

 しかし、ニヤニヤしながらこっちを向いてきた。


「だが、逆に面白い男じゃな。 おぬしは・・・。」

「面白い男?」

「そこまで堅気(かたぎ)になれるのは、一つの芸術じゃな。」


 そう言うと、パルフェは席を立った。


「では、これからも私を楽しませてくれ。」


 そして、目の前から姿を消した。


「一体なんだったんだ・・・?」


 パルフェは、ただ俺をからかいに来たのだろうか?

 神様の考えることはわかんねえな・・・。


 ん?

 あっ、アイツに貰った「力」のことを聞き忘れた!!!






 数時間後・・・。


 夜になると、また「飲み会」の時間が始まった。

 リースさんがグリフォスさん達に今日の出来事を伝え、ちやほやされた。


「そういえば、タカヤは得意な武器とかはあるの?」


 マーガレットさんに聞かれた。

 元いた世界では、喧嘩の際に物を使ったこともあった。

 その場にあったものを利用して武器に使っていた。

 だが、俺にとっての武器はやっぱり・・・。


「俺自身の(こぶし)ですかね・・・?」


 その発言にマーガレットさんはやや困惑していたが、グリフォスさんがすぐに反応した。


「なるほど、つまりタカヤは『武闘家』に向いているんだな。」


 『武闘家』か・・・。

 正直、剣や槍なんか使ったことないし、素手が一番楽かもしれないな。


「そういうことになりますかね・・・。」


 今後は武闘家に向いた装備などを、揃えた方が良いかな?

 俺、武闘家職に就く気満々だな・・・。

 喧嘩技やプロレス技しか使えない俺が武闘家を名乗るなんて、本物の武闘家に怒られちまうな。



「タカヤさん!」


 向こうで他の人と話していたリースさんが、こっちに来た。


「なんですか?」

「紹介したいので、こっちに来てください!」

「ええ・・・。」


 仕方なく、行くことに・・・。

 他の冒険者の前で、リースさんに紹介される俺であった。






 「飲み会」が終わり、予約した宿屋の部屋に来た。

 リースさんは入浴中で、俺は窓の外を眺めていた。

 まあ、入浴と言っても水で体を拭いているだけだが。

 ファンタジー作品の風呂って、そういえば見ないな・・・。


 それは一先(ひとま)ず置いとくとして・・・。

 今俺が気になっていることは、俺が持っている「力」のことだ。


 あの生意気女神が教えてくれなかったせいで、俺はその「力」を使わずに持て余している状態だ。

 この「力」があれば、もしかしたらリースさん達を助けることもできるかもしれないのに・・・。

 正直言って最初は、この「力」を使って自分の都合の良い人生にするために好き勝手やろうと思ったさ。

 だが、実際にこの世界にやってきたら、リースさんという純真な人に会ってしまい、彼女を助けたいという気持ちになってしまった。

 まあ、この「力」がどのくらいの代物になるかは分からないが・・・。


 今の俺には、頭を抱えるだけしかできなかった・・・。

 その俺の背中をリースさんがつっついてきた。


「あの、タカヤさんもどうぞ。」


 身体を洗い終わったリースさんが、俺に身体を拭くための布を渡してきた。

 俺はそれを受け取った。


「ああ、ありがとうござ・・・」


 ここでもう一度思い出してみよう。

 リースさんは純真無垢(おバカ)であることを・・・。

 男女兼用で宿に泊まり、キャミソールワンピースを着る無防備さを持っている女性だ。

 ここまで言えば大体察しがつくだろう。


 今、俺の目の前には、飛び出した丸い物体が2つ見えた。

 俺はそれを見てイスから転げ落ち、 ドスン! という音と共に地面に落ちた。

 その際に、もっと凄いものが一瞬見えたが、語らないでおこう。


「だ、大丈夫ですか!!?」


 リースさんが俺を起こしてくれたが、俺は急いでリースさんから反対の方向を向いた。

 そして、なんとか理性を保ちながら言った。


「リ、リースさん。 一つだけ約束してもらえますか?」

「な、なんですか?」

「今後、身体を拭き終ったら、何よりも先に服を着てもらえませんか?」


 おそらく勿体ない発言と思う人もいるだろう。

 だが、これでいいんだ。

 このままではリースさんが純真無垢(おバカ)を通り越して、露出狂(ヘンタイ)になってしまう・・・。

 そんなことは俺が許さん。


 リースさんは素直に「はい!」と答えてくれた。

 そしてすぐに服を着てくれて、俺はホッとした。

 またあのキャミソールワンピースだが、さっきの姿よりは刺激が少なめなので助かる。

 ・・・いや、やっぱりダメかも。


 俺は変なことを考える前に、洗面所の前でササッと身体を拭き、ベッドに潜り込んだ。

 さすがに甲冑姿のリースさん以外は、俺には刺激が強すぎるため、夜はさっさと寝てしまおう。

 そう決めた俺であった・・・。






 次の日の朝。


 俺はリースさんに書き置きを残して、一人で町の外へ行った。

 俺はランニングや腕立て伏せなどの筋トレを始めた。

 この先、どんな危険な依頼が来ようと大丈夫なようにだ。


 「力」の正体がわからないなら、俺自身が強くなるしかない。そう思ったのだ。

 たとえ「力」の正体がわかった場合でも、そこまで努力は無駄にはならないと思ったのでな。

 とりあえず、考えるより先に行動しよう。






 トレーニングを終え、一度宿屋へ帰り、荷物を揃えて宿屋を後にした。

 そしてギルドにやってきた。


「あっ! 来ましたね。」


 リースさんが先にギルドにいた。

 書き置きに時間を指定して、ギルドに集まるよう書いていたのだ。


「既に依頼は決めておきました。」


 さっそくリースさんは依頼の紙を俺に渡してきた。

 紙には≪リトルオーク退治≫と書いてあった。


「前回より少しだけ難易度を上げました!」


 『オーク』という単語が引っ掛かるが、まあリースさんなら大丈夫だろう。

 俺とリースさんは、依頼を受けた。






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