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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
海上の大都市「シーアン」
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スラムでの護衛


 俺らは街の上の方にある一軒家(いっけんや)にやってきた。

 ここに依頼人が住んでいるらしい。


 俺らはドアをノックして、依頼人を呼んだ。

 数秒後、扉が開いた。


「はい、なんすか?」


 中から出てきた人は、眼鏡をかけた男性だった。

 年齢は見た目からして30代くらいだろう。

 あと、白衣を着ていた。

 学者とかかな?


「あの、護衛の依頼を受けたのですが・・・。」


 リースが簡単に説明をした。

 すると、男性の表情が明るくなった。


「おおっ、冒険者さんか! ささっ、どうぞ入って下せえ。」


 男性は扉を全開にし、俺らに道を(ゆず)った。

 俺らは遠慮なく家の中へ入った。




 男性は大急ぎで部屋の(すみ)へ向かって行った。

 そして隅にあった物をリュックサックに入れると、リュック背負って俺らの元に来た。


「私はこの『シーアン』で働いている科学者なのです。 実は研究に必要なモノがスラムにあるらしいのですが、私一人では行けそうにないので依頼を出したのです。」

「なるほど・・・。」


 確かに普通の科学者はスラムで襲われたら終わりだな。

 まさに、正しい判断だな。


「スラムでモノを手に入れるだけなので安心してください。 それ以外のことはしません。」


 そう言うと、入口のドアノブに手をかけた。

 そして俺たちの方を向いた。


「では、護衛の方はよろしくお願いします。」

「任せてください!」


 リースが自信満々に言った。

 ・・・果たして大丈夫なのだろうか。

 まあ、ジェラルドがいるし大丈夫か。






 俺らは科学者に案内されて、スラムの入口にやってきた。

 スラムの入口は金網(かなあみ)が張られていた。

 もちろん扉はある。


「この先は本当に危険です。 注意してください。」


 改めて科学者に忠告された。

 本当に危険なところなんだな。


 科学者が金網でできた扉を開け、スラムへ入っていった。

 俺らも続いて入った。


 入ってまず、科学者が真ん中になるような陣形にした。

 先頭はリース。

 横には俺とヴァニラ。

 後ろにはジェラルド。

 そしてその中央には科学者を入れた。




 スラムの中はやや薄暗かった。

 空は見えるが、日陰であまり明るくない。

 さらに周りの人間も、(うつむ)いている人ばっかりだ。


 俺らが真ん中の道を歩くと、周りの人々が注目してくる。

 なんとか俺は目を合わせないように前だけを向いていた。


「こんな場所があるとはな・・・。」

「『シーアン』は大きい街ですからね。 貧困者の居場所も与えられる余裕があるんですよ。」


 ジェラルドの一言に対して、科学者が即座に答えた。


「この人たちを救うことはできないのでしょうか?」

「難しい話ですね・・・。 我々は自分一人でも精一杯ですからね。」


 リースの質問にも科学者は対応した。



 それから何分が経っただろうか。

 やはり格好が目立つため、周りからの目線がキツかった。

 だが、とりあえずここまで誰にも襲われはしなかった。


「たしか、このあたりでしたっけな?」


 科学者が独り言を言った。

 そろそろか。


「あっ、あそこです!」


 科学者が前方を指した。

 そこは古びた一軒家だった。


「あそこにモノをもってる人物が住んでいるらしいのです。」

「わかりました。」


 俺らは目的地までゆっくり歩いた。

 そして到着すると、陣形を崩した。


「ありがとうございます。 ではモノを貰ってきますので、皆さまはここで待っていてください。」

「一人で大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。」


 そう言うと科学者は扉を開け、中へ入っていった。

 俺らは科学者が戻るまで、外で待っていることになった。






 数十分が経ったな。

 まだ科学者は中から出てこない。

 ・・・本当に大丈夫だろうか?


「中に入ってみます?」

「いや、もう少しだけ待とう。」


 リースが科学者の心配をしていた。

 おそらく「もう少しだけ」という言葉を付けているから、ジェラルドも心配しているのだろう。




「おおー、良い服着てんじゃねえか。」


 俺らは声がした方を素早く向いた。

 すると、そこには四人の男がいた。

 ・・・見るからにヤバそうな雰囲気だ。


「そこの兄ちゃん、良い服着てんじゃねえか。」

「あげませんよ?」

「そりゃ残念だ。」


 一人の男は不気味な笑いをすると、他の三人もつられて笑っている。

 なんとも危険な雰囲気だ。


「おお? そっちの甲冑もいいな。」

「本当ですか!!」


 リースは無邪気に喜んでいる声を出した。

 おそらく、ただ褒められたと思ったのだろう。

 俺とジェラルドは「はぁ・・・」と呆れて溜息(ためいき)()らした。


「ん? そこのお嬢ちゃん可愛いなぁ~。」


 うっ・・・。

 今度のターゲットはヴァニラだ。


 女の子を可愛いと思うことは普通のことだ。

 ・・・だが、奴みたいに舌舐めずりはしねえだろうな。

 つまり、そういうことだ・・・。


「グフフフフ・・・。 悪く思うなよ?」


 男たちは腕を鳴らし始めた。

 この状況は、予想してた最悪のパターンだ。



「タカヤ。」


 ジェラルドが俺を呼び、頷いた。

 俺もそれに答えるように頷いた。


「リース。 コイツらは俺らに任せろ。」

「え、でも・・・。」

「さすがに人間相手に剣は使いたくないだろ?」


 俺とリースは小声で話した。

 そして俺の言葉を聞くと、黙って後ろに下がった。


「マスター、私も・・・。」

「お前は悪魔だ。 下手したら殺してしまうかもしれないだろ?」

「・・・わかりました。」


 ヴァニラもリースの近くまで下がった。


 俺とジェラルドは四人の男の前に立ちはだかった。


「あん? やる気か?」

「お前らこそ。」


 四人の(にら)みに負けず、俺らも睨み返した。

 どうやら引く気はないようだ。



「・・・やっちまえ。」


 その言葉と共に、四人は飛び掛かってきた。

 ・・・だが、日頃モンスターと戦っている俺たちには全く脅威(きょうい)を感じなかった。


 殴ってきても避け、(手加減をして)殴り返す。

 蹴りがきても避け、(手加減をして)蹴り返す。

 体当たりしてきても耐え、逆に吹っ飛ばす。

 そんなところだった。


「ぐっ、コイツらつええぞ・・・。」

「前来た魔術師たちとは比べ物にならねえ・・・。」


 ・・・コイツら、前に冒険者を襲ったのか。

 なるほど、恐れないわけか。

 一度成功したことで自信が付き、調子に乗るタイプだ。


 コイツらにはお仕置きが必要だな。



 俺は一人を掴み、そしてゴミ捨て場に向かって投げ飛ばした。

 ゴミ袋がクッションになって怪我はなかったが、目を回していた。


 ジェラルドも一人を掴み、「ジャイアントスイング(仰向けの相手の両足首(または両膝)を脇の下に挟み込んでから抱え上げ、回転しながら相手を振り回すプロレス技)」をし出した。

 ジェラルドの筋力により、あっという間に目を回した。

 ジェラルドはゆっくりと速度を落とし、先程のゴミ捨て場に投げ飛ばした。


 残ったのは二人だけだ。


「ぐっ・・・。」


 迫りくる俺らに、二人はゆっくりと後退していた。

 もはや奴らに勝機はない。



「待ちやがれ、お前ら!!」


 ふと、後ろから声がした。

 俺らが振り向くと、そこには新たに六人の男が現れていた。

 そして、リースとヴァニラを捕らえていた。

 リースは兜を脱がされていた。

 ・・・最悪だ。


「お前ら! コイツらを酷い目に遭わせられたくなければ、大人しくしろい!!」


 そう言って二人の首に腕を回した。

 ・・・まじで最悪な状況だ。


「こんな美人な女に会ったのは数年ぶりだぜ・・・。」

「こっちの女の子もすげえ可愛いな。」


 一人の男はリースの髪の匂いを嗅ぎ、違う男はヴァニラの頬を(つつ)いた。

 ・・・コ、コイツら!!!


「ん? なにかねその顔は?」

「そうだジャロ。 この二人がどうなってもいいジャロか?」


 くっ・・・。

 どっちにしろ二人が危ない。

 最善の方法を考えなければ・・・。

 だが、どうすれば・・・。


 リースは基本人間は傷つけない人だ。

 しかも、唯一の対処法である兜の頭突きができない状況だ。

 ヴァニラは下手すると人を殺してしまう。

 それに俺の命令は絶対だからどちらにしても戦うことができない。


「グフフフフ・・・。 どうやら立場が変わったようだな。」


 先程まで追いつめていた二人の態度が変わった。

 憎たらしくニヤニヤと笑っていやがる・・・。


「これはさっきのお返しだ!!」


 ゴスッ!!

 俺とジェラルドはそれぞれに顔を殴られた。

 さすがに膝はつかなかったが、ダメージが少なくても痛いものは痛い。

 さらに若干不意を突かれたので、少しフラついてしまった。


 そして、後ろにいた六人の内の四人も加勢してきた。

 俺らは転ばされ、集団リンチを受けた。


 ・・・このままではマズい。

 死ぬとまではいかないが、気絶しちまう・・・。

 そうなったらリースが・・・ヴァニラが・・・。

 ぐ・・・ぐふぅ・・・。





















「そこまでだ!!!」


 ・・・な・・・なんだ?

 こ・・・この勇ましい声は・・・なんだ?


 気付いたら先程までリンチをしていた連中は、上空を見ていた。

 ・・・いや、屋根の上か。


 い、一体・・・なんだ?



「お前ら、また悪さをしているのか!!」


 俺はなんとか意識を取り戻し、目をちゃんと開けた。

 連中の見ている方向を見た。


 屋根の上に何かいる・・・。

 影がある・・・。

 遠くて見えないが、そこに何かがいる・・・。


 一体アレは何なんだ・・・?




「一般市民だと思って一度は見逃してやったというのに、再び悪事を働くとは・・・。

 ゆるさん!!

 人の道を外した邪悪な者共め!!

 この俺が成敗してくれよう!!!」


 「トウッ!!」という言葉と共に飛び上がる。

 そして体を丸め回転をしながら落下する。

 地面に着く直前で体勢を戻し、カッコよく着地する。

 着地の衝撃で砂煙が舞う。

 そして三秒ほど間を置き、立ち上がる。


 暗闇の中からその姿を現した。

 全身を銀色の鎧で身を包んだ人物が出てきた。

 リースとはまた違った全身甲冑姿だった。

 そしてなにより、まず目に入ったのはその人物が首に巻いているモノだった。

 「赤いマフラー」だった。


 赤いマフラーが風になびいている。

 その姿に俺は、一つの言葉が浮かんだ。

 赤いマフラーをなびかせ、俺たちのピンチに現れてくれた。


 そう、(まさ)しくそれは・・・。



 『ヒーロー』だった・・・。






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