表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
海上の大都市「シーアン」
56/63

令嬢騎士の特訓


 俺らは森の中を進んでいた。


「体力をつけねえと、単独(ソロ)の時に困るぞ。 他の奴と共に依頼を受けるのは別に悪くねえが、頼りっぱなしってのはダメだ。」

「はいっ!」


 相変わらずマックとライラは、まるでコーチと生徒のようだった。


 今度は軽めのジョギングをし始めた。

 俺たちも後ろからついていく。


「やれやれ、本当にアレで体力がつくのか?」

「まあ、やらないよりは体力がつくんじゃね?」


 俺とジェラルドは小走りをしながら話し合った。

 この光景を見ればわかる通り、俺らは体力に問題はない。

 ・・・ただ、後ろの二人は別だ。


「マ、マスター! ペースが速いですよ!」


 リースとヴァニラはやや運動不足らしい。

 ヴァニラは喋る余裕があるが、リースは黙って走っている。

 喋ると余計に体力を消耗するからな。


 そんなことを思っていたら、前方を走っていた二人が急に足を止めた。

 間がやや空いていたため、ぶつからずには済んだ。

 ・・・後ろの二人はともかく。


「うわっ、どうしました!?」


 俺の背中にぶつかったヴァニラが問いてきた。

 俺は目の前の光景をヴァニラに見せた。

 同様に、リースも俺とジェラルドの間から顔を(のぞ)かせた。



 目の前にはモンスターが三体。

 生き物で例えるなら、「イヌ」、「イモムシ」、「トリ」、だな。


「ひっ!」


 リースが(ひる)んだ。


「ど、どうした・・・?」

「あ、そういえば・・・。 リースはムシが苦手なんだっけ?」


 リースが激しく首を縦に振った。

 甲冑のため、体もやや振られていた。


 記念すべき最初の依頼≪ハームワーム退治≫を、俺は思い出していた。

 あの時のリースは、俺のために苦手なムシのモンスターを狩ってくれていた。

 今となっては懐かしい思い出だ。



「よし、あのイヌ型モンスターを倒せ!」


 マックがライラに命令を出した。

 ・・・というか、マックもイヌの名前を知らないんだな。

 それか、ただ忘れただけなのかも。


 ライラは言われた通り、イヌと対峙(たいじ)した。

 安物の剣を引き抜き、安物の盾を構えている。


「・・・よし、俺らも行くか。」


 ジェラルドがタイミングを見計らって前に出た。

 それに続き、俺ら三人も前に出る。


「んじゃ、俺とヴァニラはあのイモムシを相手にするから、そっちは二人に頼むわ。」

「はい! 任せてください!!」


 俺がイモムシの相手をすると言ったら、明らかにリースの元気が戻った。

 ・・・むしろ、さらに元気が出ているように見えた。




 さて、俺の目の前には巨大な芋虫がいる。

 大体大型犬くらいの大きさはあるな。

 ・・・ああ、気持ち悪いな。


 さて、どうするか・・・。


「なあ、確かお前も戦えるんだよな?」

「はい!」


 ガッツポーズに似たポーズをとりながら、ヴァニラは言った。

 「任せてください。」と言わんばかりに目を(きら)めかせている。


「じゃあさ、試しに戦ってみてくれないか?」


 俺はイモムシを指さしながら言った。

 まあ、イモムシなら危険じゃねえだろうな。


「はい、任せてください!! ただ、一つだけお願いが・・・。」

「なんだ?」

「一度帽子と服だけでも脱いでよろしいですか? 動きが鈍ってしまうので・・・。」


 ああ、なるほど。

 まあ仕方ねえか。


「ああ、いいぞ。 脱ぎたいならスカートもいいぞ。」

「ありがとうございます!」


 ヴァニラはお礼を言うと、さっそく服を脱ぎ始めた。

 帽子をとり、服を脱ぎ、スカートを脱いだ。

 ヴァニラが着替えている間、念のため俺はイモムシを威圧して、襲って来ないようにさせておいた。



 数秒後、ヴァニラは元のビキニのような姿になった。


「では、行きます!」


 ヴァニラはそう言うと、羽で宙を飛び、イモムシ目掛けて突撃した。

 俺は後退して、ヴァニラの戦いを見させてもらう。


 ヴァニラは一発パンチを放ち、殴り抜けた。

 そして今度は空中から急降下し、強烈な蹴りを放った。

 そして最後は「ニー・ドロップ(ダウンした相手の体に片膝を落とす)」を食らわせた。


 ・・・強いっちゃ強いが、想像してた戦い方と違う。

 てっきり爪で切り裂いたり、噛みついたりすると思ってたのに・・・。

 アレじゃ俺らとあんまり変わんないじゃないか!!


「トドメ!」


 ヴァニラがそう発すると、爪が光り輝いて、伸びた。

 その爪をイモムシの体に突き刺した。

 そして引き抜いた。

 イモムシは緑色の血を流しながら動かなくなった。


 なんだ、爪を使ったじゃないか。

 俺の早とちりだったな。

 満足、満足。



「やりましたよ、マスター!」


 ヴァニラがまるで犬のように俺に寄ってきた。

 そして褒めてほしそうな顔で俺を見てくる。


「よくやった。」


 俺はヴァニラを撫でながら褒めてやった。

 ヴァニラは満足そうに笑みをこぼしていた。

 そういえば、いつの間にか爪が元の長さに戻っている。

 自由に伸縮可能というわけか。



 正直なところ、ヴァニラは戦力として申し分ないな。

 ただ、まだイモムシ相手だから詳しくは分からないが。






 さて、どうやらリースとジェラルドも既に戦い終わっていたようだ。

 二人の横には血を流しながら横たわっているトリの姿があった。

 ・・・まあ、この二人なら大丈夫なことはわかっていた。


 俺はヴァニラの着替えを手伝いながら、ライラたちの方を見ていた。



 ライラは盾を構えて、必死にイヌの突撃攻撃を防いでいる。

 ただ、防ぎっぱなしで攻撃ができていなかった。

 彼女の後ろで見守っているマックは、無表情で見ている。


 援護してやりたいが、それでは特訓にならない。

 一体どうすれば・・・。


 そう思っていると、今まで黙っていたマックが口を開いた。


「相手を切り裂いている時にのみ『聖剣技』を使え。」


 ただ、そう言った。


 すると、ライラの目付きが鋭くなり、イヌを(にら)んだ。

 どうやら、マックが言ったことを実行しようとしているようだ。


 犬が突撃し、ライラが盾で防ぐ。

 そのような状況ばかりが続いた。

 そして、その時は来た。

 イヌが盾にぶつかった瞬間、ライラは盾を引っ込め両手で剣を持ち、上段の構えをとった。

 そして地面に落ちたイヌ目掛けて剣を振り下ろした。


 イヌを切り裂く瞬間、剣が光を放った。

 そして地面に剣が当たった頃には、光は無くなっていた。

 どうやらマックに言われた通り、ライラは切り裂く一瞬のみ『聖剣技』を使ったようだ。

 だが、その一瞬は大したものだった。


 イヌは真っ二つになり、体内の血をぶちまけた。

 当然二度と立ち上がることはなかった。




 戦い終わったライラは(ひざ)から崩れ落ちた。

 しかし、あの時のような汗はかいてなかった。


「大丈夫か?」


 マックがライラの安否を確認した。

 するとライラは、苦笑いをしながらマックを見た。


「大丈夫です・・・。」


 一瞬の『聖剣技』でも、体力は無くなるようだ。

 だがあの時とは違い、辛そうではなかった。


「ジェラルドに聞いた話だと、お前は『聖剣技』を全力で使うらしいが、それはやってはダメだ。」


 マックが腕を組みながら、ライラを見下ろして話している。

 ライラも疲れていながらも、一切目線を()らさずにマックを見ている。


「切り裂いている時のみに『聖剣技』を使え。 でないと無駄に体力を奪われるぞ。」


 続けて説明をしていた。


 よくゲームなどでもあったことだな。

 「大事な時だけに使う」ってヤツだ。



 マックは説明を終わると、ライラに手を差し伸べて立たせた。

 やや一瞬足元がふらついていたが、問題は無さそうだ。


 剣を(さや)(おさ)め、再び歩く準備をしていた。


「さてと、目標を探すのに戻るぞ。」


 マックはそう言うと、ライラを連れ、森の奥に向かった。

 さすがに戦闘後なので、ライラを走らせはしなかった。


 俺たちも遅れずに、二人を追った。






 数十分後。

 森の奥へどんどん進んでいる。


 ここに来るまでにも数回戦闘を繰り返していたが、問題はなかった。

 ライラは『聖剣技』を一瞬だけ放つ技をほぼマスターしていた。

 ・・・ただ、『聖剣技』を使った後はへばるため、隙だらけになってしまうのが最大の欠点だった。


 幸い今回は俺たちがいるためライラのフォローに回れるが、独り(ソロ)の場合は致命的な大問題だ。

 マックの言う通り、早いところ改善しないと。



「『聖剣技』の扱い方は前より良くなっている。 あとは「体力」を上げるだけだな。」

「・・・はいっ!」


 マックの表情に笑みが見えてきた。

 それほどライラを評価しているのだろう。


「それにしても・・・、討伐対象である"バレルボア"は一体どこにいるのでしょう?」


 リースが砥石(といし)で剣を()ぎながら疑問を言った。

 確かに数回戦闘をしているのに、奴の姿を一切見ていない。

 ・・・まあ、もしかしたら今までが順調(じゅんちょう)すぎただけかもしれないが。


「まあ、そのうち見つかるだろ。 もしかしたら奴の方から姿を現すかもな(笑)」


 ジェラルドが冗談()じりに言った。


 ・・・その時であった。

 木々の中から何かが飛び出してきた。

 そして近くにいたジェラルドを吹っ飛ばした。


 ジェラルドは宙を舞い、地面に叩きつけられたかと思えばゴロゴロと転がり、その先にある木に激突した。


「ジェラルドさん!!」


 リースが思わず叫んだ。


「なっ。 言った通りだったろ・・・。」


 ジェラルドはこんな状況でもジョークを言っていた。

 そして、さすがのジェラルドも気を失った。




「今は目の前の敵に集中しろ!」


 ジェラルドに視線がいっていた俺らを、マックが注意した。

 言われた通り前方を向くと、そこにはモンスターの姿があった。


 体が(たる)のように太いイノシシだった。


 ・・・そうか、あれが「バレルボア」か!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ