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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
海上の大都市「シーアン」
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使い魔 と 呪いの装備


「おい、起きろ!」


 俺はベッドから立ち上がり、少女を起こそうと体を()すった。


「タカヤさんの知り合いですか?」

「いや、全く知らない奴だ。」


 なんで俺のベッドで寝てやがるんだ?

 酒は飲めねえし、昨日はすぐ寝たし。

 一体なんなんだ?


「おい、頼むから早く起きてくれ!!」


 正直、この状況をジェラルドたちに見られたくねえぞ。

 明らかに犯罪臭が漂う現場と化してるからな。


 ・・・だが、俺はそれより気になっていることがある。

 それは彼女の姿だ。


 やや桃色寄りの肌。

 小さいツノ。

 小さい羽。

 先がハート状にとんがった尻尾。


 俺がこれらで連想したのは「悪魔」だった。

 ・・・もしかしたら、この子は人間じゃねえのかも。


 ・・・ちなみに格好はいわゆるビキニ姿に近く、どことなく犯罪臭が漂う。




「起きろって!!」


 遠慮なしに体を思いっきり揺すった。

 すると、ようやく少女は目を覚ました。

 俺は後退(あとずさ)り、一応少し距離をとった。


「ふわぁ〜・・・。」


 呑気(のんき)にあくびをしながら体を伸ばしてやがる。


 少女は目をこすって、ゆっくりと(まぶた)を開けた。

 すると、俺に気付いたようだ。


「よ、よう。 気が付いたか?」


 とりあえず俺はそう言っておいた。


 すると少女は目を(きら)めかせた。

 そして俺に言い放った。


「おはようございます、マスター!」


 そう言ったのだった。



「ん・・・? マ、マスター?」


 マスターとは一体・・・。

 まず、この少女のことは知らないし・・・。


「おい、一体どうなってるんだ? お前は誰だ? マスターってどういうことだ?」


 俺の頭の中は、若干混乱している。

 だが、おそらくそれは正しいことだろう。

 こんな状況になったら誰でもこうなるだろう。

 ・・・たぶん。



 少女はベッドに座りなおすと、話し始めた。


「なに言ってるんですか。 私はマスターの使い魔ですよ。」


 デデデデーン!!

 衝撃的発言に脳を攻撃された。

 ・・・謎はさらに深まっていく。


「使い魔!? 悪魔なのか!? というか、俺は使い魔なんか持った覚えはねえぞ?」


 俺はテンパっていた。

 だがとりあえず、質問をしてみることにした。


「「剣」に触れたじゃないですか。」


 またもや謎の発言をする少女。


 剣・・・。

 まさか、あの拾った「剣」のことか!?


 俺がそう質問しようとする前に、少女が話し始めた。


「あの剣に触れたということは、私と主従(しゅじゅう)契約を結んだことに等しいのですよ?」

「な、なんだってー!!?」


 あまりの驚きに、俺は背中を壁にぶつけた。

 だが、正直痛みはなかった。

 そんなことより、目の前の存在が気になったからだ。



「「剣」ってコレか!!?」


 俺はすぐ近くに立てかけてあった(さや)に入れられた「剣」を持ち、少女に見せた。


「はいっ! それです!!」


 やっぱりこの「剣」か・・・。

 というか、剣とえばこの「剣」しかねえけどな。




「なあ・・・。 この「剣」は何なんだ?」


 再び「剣」を壁に立てかけ、俺はまず最優先すべきことについて聞いてみた。

 全てはこの「剣」が原因なのだから。


「その剣は、魔剣「デモンバイト」。

 大昔に魔族により作られた呪われた剣。

 その一つです。」


 ・・・なんか壮大な話だな。

 そんな代物をゴミ溜めから発見したのか。

 これは幸運か不運か・・・。


「「デモンバイト」は悪魔を封印する為に作られた魔剣なのです。

 そして、この「デモンバイト」には私が封印されていたわけです。」


 悪魔を封印?


 「デモンバイト」・・・、“悪魔”と“噛む”・・・。

 封印ということは、“悪魔に噛み付いて離さない”という感じか?


 とりあえず、この少女にもっと詳しく聞こう。

 ・・・じゃあ、まずは。


「お前、本当に悪魔なのか?」


 まずはそれだ。

 というか、我ながら打ち解けるのが早くて気味が悪いな・・・。


「はい! そうですよ?」


 少女はそういうと、背中に生えている小さな羽をパタパタと動かした。

 そして尻尾を使って、俺の体をパンパンと叩いた。

 ・・・どうやら飾りではないようだな。



「どうやら、その様子では混乱をしているようですね。」

「当たり前だ。 混乱しない奴がいたらそれは病気だ。」


 ここまでの話でも十分頭がクラクラしているのに、まだ聞いてないことがあるなんて・・・。

 最悪だ・・・。


 ・・・だが、聞かなきゃわからねえしな・・・。


 じゃあ、さっきから気になっていたあの質問でも・・・。


「それとさ。 さっき「呪われた剣」と聞こえたんだが・・・。」

「はい。 今マスターは、魔剣の呪いにかかっております。」


 即答だった。

 驚く(ひま)すら与えられなかった。


「呪いって、どんな・・・。」

「簡単に言うと、この剣を数メートル以上遠くに離すことができません。」

「なんだって!?」


 マジの呪いじゃねえか・・・。

 最悪だ・・・。


「これに関しては説明するより、見せた方が良さそうですね。」


 そう言うと、少女は部屋の入口であるドアを指さした。


「マスター。 あそこのドアのところまで歩いてみてください。」


 俺は言われた通り、ドアのところまで歩いてみた。

 すると、ふと後ろからガラガラと変な音が聞こえた。

 俺が後方を確認してみると、さっきまで壁に立てかけてあった剣が床に倒れ、明らかに俺の方へ近づいてきている。


「おいおい、剣が近寄ってくるぞ!?」


 俺は若干気味が悪くなった。

 まるで剣が生きているみたいだったからだ。


「近寄ってくるというより、見えない空間の壁に押されているだけなんですがね。

 マスターの周りには、剣だけに影響がある見えないドーム状の空間がある感じです。」


 ・・・なんだ、そういうことだったのか。

 てっきり剣に意思があるのかと思ったぜ・・・。


「なるほど。 確かに魔剣だ・・・。」


 ・・・。


「・・・じゃねえよ! 俺はこの先どうすればいいんだよ!!」


 呪われた装備を身に着けてしまい、勝手に悪魔と契約させられた。

 聞くだけなら最悪すぎる状況だぞ・・・!


「大丈夫ですよ。 マスターとなら上手くやっていけそうです!」

「勝手に決めるな!!」


 呑気(のんき)に少女はニコニコしている。

 人の気も知らないで・・・。



 ・・・あ、そういえば。


 俺は、横でさっきからの光景を黙って見ていた女性に話しかけた。


「ああ、リース。 すまない。」

「いえ。 私も少々混乱してしまって・・・。」


 リースですら混乱する状況。

 ただ事じゃねえな・・・。


「ところで、この魔剣はやっぱり強いのですか?」


 突然リースが少女に聞いた。


 ・・・そういえば、魔剣とは聞いたが実際はどうなんだ?

 これで強くなかったら本当にどうしようもないぞ。


「うん、強いよ? 体力を大幅に消耗するのが難点だけど。」

「使用を却下する。」

「ええ!!?」


 バッサリと俺は宣言した。


 うん、強くはあるらしい。

 だが問題はあった。


「体力は冒険者にとってとても大事なモノだと、俺は学んだんだ。 これを使っていたら、命の危険がある。」

「えー・・・。」


 特に、大蛇から逃げたときは体力があって良かったと心から思ったもんだ。

 ガックリと項垂(うな)れている少女には悪いが、そういう世界なんだ。

 ・・・だがフォローはしておくか。


「一応言っておくが、全く使わないわけじゃねえからな?」

「はい! それならいいです。」


 まあ、トドメくらいには使ってもいいかもな。


 ・・・あ、そうだ。


「ところでお前・・・・・・そういえば名前はなんて言うんだ?」

「はい! “ヴァニラ”と申します!!」


 なんか甘そうな名前だな。


「ヴァニラ、お前は何ができるんだ?」

「一応、敵と戦えますよ?」

「・・・それだけ?」

「はい!!」


 ・・・まあ、何もできないよりはマシかな。

 とほほ・・・。




「なぁ、呪いを解く方法は無いのか?」

「マスターは呪いを解きたいのですか?」


 ヴァニラは上目遣(うわめづか)いをして、どことなく寂しそうな声色(こわいろ)で聞いてきた。

 幼い子が向ける眼差(まなざ)しは、大人をダメにさせる効果があるというが、あながち本当かもな・・・。


「ね、念のためだ。」


 俺は嘘を言った。

 情けない・・・。


「詳しくは知りませんが、前の持ち主は大きな教会っぽいところで呪いを解いておりました。」


 ・・・おそらく「聖堂」か。

 ジェラルドなら何か知っているかもな。



 ・・・ん?

 そういえば、もう一つ疑問があるぞ。


「そういえば、魔剣を最初に触ったのはジェラルドだったはずだ。 ならジェラルドが呪われるハズじゃねえのか?」


 俺の質問に、ヴァニラが腕を組んで考え出した。

 そして数秒後、俺の方を向いて口を開いた。


「おそらく、聖職者だったからだと思いますね。 聖職者には魔剣の呪いは効きませんから。」


 ほーん。

 そうなのか。

 聖職者ってすげえな・・・。



 俺は少し疲れていた。

 当たり前だろ。

 起きて早々驚くことが沢山だ・・・。


 俺は再びベッドに腰を下ろした。

 そして(うつむ)いた。


「俺、この先やっていけるかなぁ・・・。」


 弱気になってしまった。

 ・・・全部呪いのせいだ。

 そう思った俺だった・・・。





「ところで、なんで封印された悪魔が、魔剣の所有者に真面目に従ってるんだ・・・?」


 考えてみたら、このまま逃げちまえばいいのに。


「私にも、所有者に従う呪いをかけられているのです。」

「・・・そうか。」


 ・・・なんか同情しちまうな。

 おそらく親近感が()いてるんだろうな・・・。


「・・・でも、これはこれで私としては別にいいんですがね。」


 顔を赤くし、頬に手を()えて、そう言った。


 ・・・そういう趣味の持ち主か。

 前言撤回だ!!




 俺はこの先の人生に乱れを感じながら、何もない天井をただ(なが)めていた。

 そしておそらく、目が死んでいただろうな・・・。






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