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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
海上の大都市「シーアン」
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今日、冒険者となる少年少女

【注意】

今回の話は、タカヤの視点ではありません。


 もう朝か・・・。

 すげえ眠いな。

 もう一度眠ろう・・・。


「起きろアホォ!!」


 うげぇ・・・。

 腹に「かかと落とし」を食らった。

 犯人はわかっている。


 黒髪ボブで眼鏡をかけている女。

 (うち)の近所に住んでいる幼馴染だ。


「コウタ! もう朝よ、起きなさい!!」


 まるでオカンのようにうるせえ奴だ・・・。

 俺は負けじと布団に(もぐ)る。


「そうか、そっちがその気なら、私にもいい考えがある!」


 人事以外の作戦が失敗しそうな言葉を言ったと思ったら、ドタドタと歩き回っている。

 うるせえ奴だ。



 と、その時だった。


 バッシャアアアーン!!!


 俺は冷水をかけられた。

 さすがに布団から飛び上がった。


「冷てえええぇぇぇー!!!」


 完全に目が覚めた。

 布団が水浸(みずびた)しになったのと引き換えに・・・。


「なにも冷水をかけることねえじゃねーか!!」

「うるさい! あんたが起きないのがいけないんじゃないの!!」


 幼馴染のユウカは、プンプンと怒っている。


「大体あんた、今日が何の日か分かってるの!?」


 今日・・・?

 ・・・なんだっけ?


「はぁ・・・。 やっぱり忘れてるわね・・・。」


 ユウカは頭を抱えた。

 そして腰に手を当てて、親切に教えてくれた。


「今日は冒険者になる日でしょ?」


 ・・・あ、そうだった。

 すっかり忘れてた。


「ほら、寝起きで危なっかしいし洗面所に連れてってあげる。」


 ユウカは手を差し伸べてきた。

 俺はユウカの手を掴み、無事ではないが起床した。


 洗面所で顔を洗い、ユウカが作ってくれた朝食を食べた。

 ユウカはまるで、俺のお母さんのような存在だ。






 ここは海上の大都市『シーアン』。

 おそらく世界一技術が進んでいる街だ。

 魔法ではなく自然の電気を扱い、それを暮らしに役立てている。

 まさに夢のような街だ。

 俺とユウカの親は学者であり、それによってこの街で暮らしている。

 つまり、幸運な奴らってことだ。


 そんな俺たちだが、前々から冒険者になりたくて仕方なかった。

 そして今回、ついに決心したのだった。

 ・・・そんな大切な日を忘れるなんてな。

 我がことながら笑える。


「冒険者になったら、最初はどんな仕事をしよっか?」


 ユウカはスキップをしながら話しかけてきた。

 もちろん前を向きながら。


「スライム辺りでいいんじゃないか? もしくはゴブリン。」

「そうねぇ・・・。」


 ユウカはスキップをやめ、普通に歩き始めた。


「新人だし、他の冒険者さんのお手伝いでいいんじゃない?」

「それもいいな。」


 俺は適当に賛同した。

 正直、依頼は何でもよかった。

 冒険者として早くデビューしたいことで頭がいっぱいだった。




「よう、コウタ、ユウカ!」

「おはようございます。」


 冒険者ギルドへ向かう途中、冒険者のグラントに出会った。

 よく彼から冒険談を聞かされ、その光景を想像して憧れたもんだ。


「もしかして、今日か?」


 俺らを指さして聞いてくる。


「はい! 今日からです。」


 「今日」というのは、もちろん冒険者になることだ。

 その答えを聞いてグラントは「おお、そうだったか」と喜び、俺らの背中を叩いて見送ってくれた。


「相変わらず騒がしい人だ・・・。」

「悪い人じゃないんだけどね。」


 グラントは両親がおらず、歳の離れた妹と二人暮らしをしている。

 その妹との生活のために冒険者として働いている立派な人だ。




「おやおや。 コウタくんとユウカちゃんじゃないか。」

「おはようございます。」


 今度はジャグラに出会った。

 相変わらずふざけた格好をしている。

 だが、これでも冒険者である。

 いわゆる「遊び人」という奴だ。


「もしかして・・・。」

「はい! その通りです。」


 どうやら俺らが今日冒険者になろうとしてることを見抜いたらしい。

 ジャグラは見た目に反して、優れた観察眼(かんさつがん)の持ち主である。


「おお、それはめでたい! お祝いにアメちゃんをあげよう。」

「あ、ありがとうございます・・・。」


 この人は変わった人だ。

 少し苦手だ。




 冒険者ギルドに着いた。

 ここのギルドは結構大きい。

 冒険者たちの話では、他の町のギルドはここより小さく、中には全面木材で作られたギルドもあるらしい。

 ここは大都市であるため、ギルドは大きく、頑丈だ。


「しかしまあ、緊張するもんだ・・・。」

「そ、そうねぇ・・・。」


 ここにきて緊張してしまっている。

 実はギルドには何十回か入ったことはある。

 そしていつもそこにやってくる冒険者の話を聞いて、憧れを抱いていた。

 その憧れが、憧れで無くなるのだ。

 そりゃ緊張する。


「は、入るぞ・・・。」


 俺は扉に手を付け、そして開いた。



 中は相変わらず(にぎ)やかだ。

 冒険者たちの声という声が飛び回っている。

 いつもの風景だ。


 だが、いつもとは違う。

 俺たちだ。

 俺たちは今日、冒険者となるのだ。


「おはようございます。 あっ、コウタくん達か。」

「おはようございます、受付さん。」


 ギルドの受付さんとは既に知人だ。

 ギルドに遊びに来たときに、いつも俺たちに優しく接してくれていた。

 美人で、優しくて、しっかりしてて・・・。

 ユウカにも見習ってほしいものだ。


「・・・!」


 ボコッ!!

 ユウカに脇腹を殴られた。


「いってぇ!! なにすんだ!」

「いや、なんかバカにされた気がして。」


 勘の良いやつめ・・・。

 まあ、そんなことはどうでもいい。


「あの、受付さん。 実は俺たち・・・。」

「ん・・・?」


 思わず言葉が詰まった。

 こんなときに緊張してしまった。


「私たち、冒険者になろうと思うんです!」


 後ろからユウカに台詞を言われた。

 なんて奴だ。

 だが、助かった。


「へー、ついに!!」


 受付さんがすごく嬉しそうに喋った。



「じゃあ二人共、ここに必要事項を書いてちょうだい。」


 受付さんが二枚の紙を渡してきた。

 俺とユウカの分だ。

 俺たちはペンを受け取り、さっそく書き始めた。


 数分後、書き終わったので受付さんに渡した。

 そして受付さんが紙を確認する。


「うん、OKだよ。 二人のことはよく知ってるしね。」


 受付さんは俺たちにとって、「姉」のような存在だったしな。

 基本的なことは既に知っている。


「じゃあ二人共、これを身につけてね。」


 そう言って白いバンダナを俺たちに渡してきた。


 すると、受付さんは「バンダナ = 冒険者の証」の説明をし出した。

 途中少しよくわからないところもあったが、ユウカがフォローしてくれた。

 まあ簡単に言えば、このバンダナは大事にしろという事だろう。



「よし、二人共。 これで君たちは冒険者だ!」


 受付さんが舌を出して変なポーズをしながら俺たちを指さし、そう言い放った。

 だが、ツッコむ気はなかった。

 なぜならそれ以上に、俺たちが冒険者になれたという事実が嬉しかったからだ。

 俺とユウカは顔を見合わせ、「やった!」とガッツポーズをとった。


「して、これからどうするのかな?」


 受付さんは前のめりになって、こちらを見ている。


「早速依頼を受けようかなと。」

「あ、やっぱり?」


 受付さんは分かっていたようだ。

 まあ俺らのことは良く知っているだろうしな。


「いや、でもね。 やっぱり初めは熟練者と行動を共にしたほうが良いんじゃないか?」


 受付さんはアドバイスをくれた。

 さすがに俺らも冒険者というモノが、楽な職業じゃないことは理解している。

 だが・・・。


「熟練者って・・・、誰と?」


 それが問題だ。

 生活が()かってるグラントの邪魔をするわけにはいかないし、ジャグラは正直微妙・・・。


「そうねぇ・・・。」


 受付さんも一緒になって考えてくれている。

 どうしようか・・・。




 そうこうしていたら、ギルドの扉が開いた。


 金色の甲冑をフル装備している人物を先頭に、筋肉質の男性、肥満体系の不気味な顔をした人物、立派な鎧を身に着けた女性、そして無難な服を着た男性が、ギルドに入ってきた。

 受付に向かって歩いて来ているようなので、俺らは道を開けた。


「こんにちは。 これからお世話になります!」


 甲冑の人物が元気よく、受付さんに挨拶をしてきた。






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