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リザリアス・ワームフレア、再び冒険へ


「お待たせしました。」


 甲冑を身に(まと)ったリースさんが客間に入ってきた。

 あのドレス姿ではなくなったのは残念だが、こちらのリースさんも大好きだ。


「あの、皆さん・・・。」


 リースさんは不安そうな顔をしている。

 何かを言いたそうにしていた。

 一度深呼吸をして、覚悟を決めたようだ。

 そして勇気を出して、声を出した。


「あの、今まで黙っていてすみませんでした!! それで、あの、これからも仕事仲間(パーティメンバー)として一緒に歩んでくれませんか?」


 なんだ、そんなことか。

 俺たちの答えは一つだけだ。


「そんなの当たり前ですよ。 これからも共に仕事をしましょう。」

「タカヤの言うとおりだ。」

「拒絶するなら、既にここにはいない。」


 正体がどんなであろうと、俺たちはリースさんの仕事仲間(パーティメンバー)である。

 それに変わりない。


「あ、ありがとうございます・・・!!」


 リースさんは泣きながら感謝をしていた。

 リースさんの泣き顔は久々だな。


「リースちゃんまた泣いてるよ。 はい、ハンカチ。」

「ありがとうございます・・・。」


 キーちゃんがリースさんにハンカチを渡した。

 というかリースさんの名前はそのままなんだ。


「では、準備をしてきます。 もうしばらくお待ちください!」


 そう言って、リースさんは部屋を後にした。



「お嬢は凄い良い子に育ったよ。 あのバカ親父とシスコン兄貴と血が繋がってるとは思えねえくらいにな。」


 今度はリース兄の悪口か・・・。


「おそらく、母親が良い人だったのだろうな。」


 母親・・・。

 そういえば見てないな。


「「母親はどこ?」っていう質問だろ?」


 キーちゃんは俺らの考えを見通した。

 すると、上を指さして喋り出した。


「亡くなったってよ。 数年前にモンスターに殺されてな。」


 ・・・そうだったのか。

 なんとなく予想したが、外れてほしかったな。


「お嬢の母親は、中々の腕を持つ冒険者だったそうだ。 お嬢が冒険者になったきっかけも母親だろうな。」


 ・・・。

 そうか、だからあの時のデートで・・・。

 リースさんも、そういう過去があったのか・・・。


 俺は、昔以上にリースさんを守りたいという気持ちが強くなった。



「タカヤ!!」

「な、なんだ?」


 いきなり呼ばれたかと思ったら、ビシッと指を向けられた。


「"お嬢を守れるほど強い男になれ"! 私からの「依頼」だ!」


 いきなりキーちゃんから依頼を出された。

 ・・・だが、悪い気はしないな。


「了解。 依頼、受けました。」


 俺はただ、そう言った。

 依頼に出されなくても、当然やらなきゃいけないことだしな。



「ちなみに報酬は、お嬢の身体を好きにしていいぞ?」

「なっ!!?」


 !?!?!?!?!?!?!?


「そ、そんな不純な報酬いらねえよ!!!」

「おやまぁ、紳士だねぇ・・・。」


 キーちゃんはニヤニヤしている。

 めちゃくちゃビビったぜ・・・。






 俺らは屋敷の門の前まで来た。


「リース、本当に大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、お兄様。 私はお母様のように立派になってみせます!」


 リース兄は心配性のようだな。

 そりゃこんないい妹なら当然か。


「リース、身体には気を付けるんだぞ。」

「はい!」


 父親は一度娘を抱きしめて、肩を2回ほど軽く叩いた。

 先程の光景が脳裏に浮かんだが、こうして見ると良い父親じゃないか。

 親バカすぎるだけであろう。



「タカー! 元気ねー!!!」


 俺はすっかりキーちゃんに気に入られてしまったようだ・・・。

 最悪だ・・・。


「まあ、なんだ。 滅多にここには来ないだろうから大丈夫だろう・・・。」


 ジェラルドがフォローをしてくれた。

 まあ、彼女はたぶん良い人ではあるんだろうな。



「お待たせしました。 行きましょう。」

「はい!」


 リースさんは一切振り向かず、ただ道を歩いた。

 兜の下は笑顔なのか、それとも泣いているのか・・・。

 どちらだろうか・・・。




「あの、じつは伝えたいことがあるのですが・・・。」

「なんだ?」


 ライラが話しかけてきた。


「じつは、ここから北方向に『シーアン』という大都市があるのですが、そちらに行きませんか?」


 ライラが目的地を提案してきた。

 前は特にないって言ったのに・・・。


「前に聞いたときは無いって言ってたじゃん。」

「すみません、つい気を使ってしまって。」


 やっぱり気を使っていたのか・・・。


「まあ、ライラのそういうところは良いところだから別にいいけど。」

「あ、ありがとうございます・・・。」


 すると、俺らのやり取りを見て、リースさんが不思議そうに見ていた。

 まあ、兜だから表情は分からないが、なんとなくそんな感じだった。


「あの、タカヤさん?」

「なんですか?」

「なんか、いつもと喋り方が違いませんか?」

「ああ・・・。」


 そういえばリースさんにはまだ言ってなかったな。


 俺はリースさんに、呼び捨てとタメ口について話した。

 話し終わると、リースさんが真っ先に言ってきた。


「私にもいいですか?」

「え、リースさんにも?」

「ダメ、ですか・・・?」


 まあ、なんとなくそうなるだろうと思う流れだったしな。

 予想は何となくできてた。


「わ、わかった、リ、リース・・・。」


 なんだろう、今までの人たちと違ってなんか緊張する・・・。

 なぜだ・・・?


「嬉しいです。 タカヤさん!!」

「んで、やっぱりアナタはそのままですか・・・。」


 まあ、リースさんにタメ口は似合わないだろうな・・・。

 そのままでいい。




 しかし『シーアン』か・・・。

 大都市ということは「町」ではなく「街」なんだろうな。

 これは少し楽しみだな。


 向こうではどんな依頼があるのか。

 どんな人たちに会えるのか。

 また、どんなことが起きるんだろうな。

 想像するだけでワクワクしてくるな。




「ああ、そういえばタカヤさんにキリアからの伝言があります。」

「え?」


 キーちゃんから?

 なんだろう・・・。


「えっと・・・「()めるんじゃねーぞ!」って言ってました。」

「!!?」

「どういう意味ですか?」


 なに言ってるんだキーちゃあああぁぁぁーん!!!






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