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超絶自由使用人(スーパーフリーダムメイド) 「キーちゃん」


「なぁ、そういえば疑問なんだけどさ。」

「・・・なんですか?」


 キーちゃんは俺に聞いてきた。

 もうさっきのようなことはやめてくれよ・・・。


「なんでタカはさ、敬語を使ってるんだよ?」

「え?」


 意外な質問だった。


「そういえば、それずっと思ってたんだよ。」

「確かに、それ気になってた。」


 え、気にしてたの・・・?


「俺たち仕事仲間(パーティメンバー)じゃん。 歳なんか気にせずタメ口で話してくれよ。」


 ここにきて、ジェラルドさんから頼まれてしまった。

 しかし俺は・・・。


「ですが、「親しき中にも礼儀あり」というじゃないですか。」


 俺にはこれが普通だった。


「俺の辞書には、そんな言葉はない。」

「それ魔導書でしょ。」


 マックさんがボケた。

 意外だ。

 思わずツッコんでしまった。


「礼儀なんていらねえよ。 むしろ失敗とかしたら、蹴り飛ばすくらいの無礼さを持つぐらいの奴が俺にはちょうどいい。」


 この人、今すごいことを言ったぞ。


「俺のことは普通にマックと、ジェラルドのことは普通にジェラルドと呼んでくれ。」

「ああそれと、話すのも友達らしく砕けた口調でいいからな。」

「友達・・・。」


 「友達」か・・・。


「そうさ。 俺らは仕事仲間(パーティメンバー)と言っても、どちらかと言えば友達に近い立場さ。」

「今更だがな。」


 ふふっ。

 「友達」という言葉。

 久しぶりに聞いたな・・・。



「タメ口で話しても、いいんですよね?」


 念のためもう一度聞く。


「あたりまえよ。」

「そう言ってるだろ?」


 ・・・そうか。


「わかりま・・・、わかった。 サンキューな、ジェラルド、マック。」


 俺がそういうと、二人は満面の笑みで受け入れてくれた。

 それと同時に、俺の気は今まで以上に楽になった。


「言えんじゃんタカ!」

「ありがとうございます。」


 俺がお礼を言うと、キーちゃんは不満そうな顔になった。

 理由は俺でもすぐに分かったが。


「キーちゃんにもタメ口を使ってよぉ・・・。」


 キーちゃんはぷくっと頬を(ふく)らました。


「あ、ご、ごめんなキーちゃん・・・。」


 俺はすぐさまタメ口で謝った。

 するとキーちゃんは俺の方を向いた。


「許す。」


 笑顔でそう言った。


 すると、ライラさんもなにかモジモジしていた。

 そして言葉を発した。


「あ、あのタカヤさん! わ、私もお願いします!!」

「ええっ、ライラさんも!!?」


 ライラさんにまで頼まれてしまった。


「ダメ・・・ですか?」

「ダメというか・・・。 ライラさんのような方にタメ口は・・・。」


 どうもタメ口を使っていいような雰囲気じゃねえからなぁ・・・。


「あ~、俺もなんか分かる。」

「キーちゃんも。」


 前方を指しながら、意見が合う二人共。


「そ、そんなことないですって! 私も全然平気ですよ?」

「じゃあ、ライラさんもタメ口を使ってください。」

「え・・・。」


 ライラさんは頬に手を置いて、しばらく考え込んでいた。

 そして口を開いた。


「ごめんなさい。 それはできません。」

「ええっ!!?」

「私は貴族になってから、厳しく教えられてきましたから・・・。」


 なるほどな・・・。

 これ以上無駄だと俺は悟った。


「分かったよ、ライラ。」


 そう言った瞬間、ライラはとてつもない笑顔を作っていた。

 目がキラキラしていたことを俺は覚えている。


「良かったなイラっち。 タメ口を使ってくれる人が増えたな。」

「うん!」


 改めて凄い人だなと思った。




 しばらくして、リースさんが客間に来た。

 その時、俺の目に素晴らしいものが映った。

 そこには、青いドレス姿の美しい女性がいた。

 ドレス姿のリースさんである。


「・・・おい、タカヤ。 鼻の下が伸びそうになっているぞ。」

「ジェラルドこそ・・・。」


 俺たちは両頬を一発叩いて、正気を取り戻した。

 だが、この姿は目に刻んでおこう。


「お待たせしました。 突然で失礼しますが、お父様が皆さんに会いたいと申されまして・・・。」

「おう、そうか。」


 ジェラルドさんは軽く了解した。

 おそらく皆さんの中にはライラは含まれていないだろう。



 俺たち三人はリースさんに連れられて、リースさんの父親の部屋に入った。

 いわゆる小型の書庫みたいな部屋だった。

 リースさんは部屋の外で待機している。


 リースさんの父親が中央の席に座っており、机に両肘を乗せて、口の前で手を組んでいる。

 顔は厳ついが、どこか美形な感じを漂わせている。


「君たちがリースの仲間たちか・・・。」


 中々に威圧感がある声だった。

 聞いただけで緊張する・・・。


「単刀直入に言う。」


 俺らは威圧感に押されて、思わず目を逸らしそうになった。

 しかし、ここで目を逸らしたらそれこそダメだ。

 しっかりと目を見続けた。


「・・・リースに手を出してはいないか?」


 しかし、来たのは娘を心配する父親の言葉だった。


「い、いえ、そんなことは決してありません!!」


 俺は思わずそうキッパリと言った。

 すると、父親は立ち上がった。


「なんだと! ではリースに魅力が無いというのか!!」


 ええー、そっちー!!?

 ただの親バカじゃねえか!!


「い、いえ、リースさんはとても美人です。 思わず見とれてしまうほどです。」


 今度はちゃんと褒めた。

 しかし今度は机に片足を乗せて、俺を指さした。


「貴様!! さてはリースの彼氏の座につこうと狙っているな!!!」


 うわぁー、これアカン奴や!!

 どう答えてもダメな奴ぅ!!

 最悪だぁー!!



「おのれぇー! ここで成敗してくれよう!!」


 そうリースパパが発した直後、俺らの後ろから猛スピードで走ってきた者がいた。

 なんとキーちゃんだ。

 キーちゃんはリースパパの前で飛び上がり、顔面に蹴りを放った。

 そう「飛び蹴り」を放ったのだ。

 使用人が主に攻撃を行ったのだ。


「落ち着け!!」


 そう言いながら、リースパパを吹っ飛ばしたのだった。

 その光景に、俺らは唖然(あぜん)としていた。

 ギャグマンガならば目玉が飛び出しているところだ。


「たく・・・、このバカ親父が・・・。」


 キーちゃんは自分の主人を"バカ親父"呼ばわりした。

 一体何が起こっているのだろうか・・・。


「キ、キーちゃん? 何してんの・・・?」


 俺は恐る恐る聞いてみた。

 するとキーちゃんは腰に手を当てて、ズバッと言った。


「制裁です。」


 そうじゃなくて・・・!!

 キーちゃんは絶対、どこかおかしい!!

 今更だけど!



「キリア・・・、なにをする・・・?」


 鼻血を垂らしたリースパパはキリアを涙目で見ていた。

 そのリースパパの額を指で(つつ)きながら、キーちゃんは言い放った。


「このバカ、勝手に暴走すんなし!!」


 目の前でさらなる珍光景(ちんこうけい)が映っている。

 屋敷の主が泣きながら使用人に土下座している。

 その主の頭を使用人が踏んづけているのである。

 まったく・・・。

 思わず目を疑ったよ・・・。




「大変申し訳ございませんでした・・・。 私はクズでアホでブタです。」


 俺の前には土下座をしたリースパパの姿があった。


「だ、大丈夫ですから! まったく気にしてませんから!!」


 見てていい気分ではない。

 早く終わってくれ・・・。


「すまねえなタカ。 このアホが酷いことをしたな。」

「大丈夫です・・・。 それからキーちゃん、顔近い。」


 さりげなく首に腕を回すボディタッチをしてきた。

 やはり普通じゃないな・・・。



「まあ、そういうわけだから。 もう客間に戻っていいぞ。」

「は、はぁ・・・。」


 俺らは理解に苦しみながら部屋を後にした。

 再びリースさんに案内させられ、客間に戻ってきた。



「なぁ・・・。 キーちゃんって一体・・・。」

「知らね・・・。」


 俺らはただ頭を抱えていた。

 ただ一人、客間で待っていたライラを除いて。




「キーちゃんはワームフレアカーストの頂点にいるのだ。」

「それおかしくね!?」


 あの後、キーちゃんが再び客間に来た。

 そしてキーちゃんはソファに座り、棒状のお菓子をつまみながら話していた。


「あのバカ親父、私が就いた日の食事のときにゆで卵を残しやがってさ。 「好き嫌いすんなや!!」って言いながら蹴りを入れてやったのさ。」

「それは素晴らしい。」

「ですね。」


 マックとライラが賛同している・・・。


「それがトラウマになって、私には逆らえなくなったわけさ。」


 キーちゃんが腕を組みながらエッヘンという感じで鼻を鳴らした。

 正直言って、褒められることではないため、俺とジェラルドはただ黙っていた。






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