お嬢様
【注意】
今回、下品な下ネタがあります。
俺らは次の町へ向かって歩いていた。
まあ、目的地はねえがな。
同行しているライラさんにも迷惑をかけるのは申し訳ないが・・・。
「ライラさんはどこかの町に行きたいとかあります?」
俺は試しに聞いてみた。
「いえ、特には・・・。」
ライラさんも目的地はないようだ。
とりあえず問題はない、ということでいいか。
「あの・・・、荷物重くないですか・・・?」
ライラさんの持っていた大きな荷物は、現在ジェラルドさんが背負っている。
「大丈夫だ、問題ない。」
問題がありそうな感じのセリフを吐いたジェラルドさんだったが、これに関しちゃ本当に大丈夫そうだった。
まあ、ライラさんでも運べたのだから楽勝だろう。
「もっと体力をつけろよな、ライラ・・・。」
マックさんは前方を向いたまんま、ライラさんにそう忠告をした。
「す、すみません・・・。」
ライラさんは凄く申し訳なさそうだった。
憧れの人に怒られたため、凄くしょんぼりしている。
「マックさん・・・。」
「冒険者なんだから、体力は付けておく必要があるだろう。」
「そ、それはそうですが・・・。」
俺はマックさんの正論に何も言えなかった。
だが、ライラさんのおかげで助かった場面もあることも事実だ。
・・・その後の負担が大きかったが。
リースさんがさっきからチラチラと後ろなど見ていることに気が付いた。
「どうしたんですか?」
「・・・!」
話しかけると、リースさんはビクッとなった。
そしてすぐに話し出した。
「いえ、実は先程から誰かにあとをつけられているような・・・。」
「え・・・?」
俺も後ろなどを見てみた。
・・・うん、いるな誰か。
というかバレバレだった。
岩の陰に誰かいるな。
この事をジェラルドさん達にも伝えた。
皆もすぐに気付いた。
「隠れるの下手だなぁ・・・。」
「あれで隠れてるつもりか・・・?」
散々な評価だった。
かわいそうに。
「ちょっと見てくるわ。」
ジェラルドさんがそう言って、ライラさんの荷物を一度地面に置き、岩に近づいた。
そして岩陰にいた人間を捕まえて、表に出した。
出てきた人間は、赤紙の短髪で、立派な服を着た男性だった。
「誰だあんたは?」
ジェラルドさんは若干威圧しながら、男に言い寄った。
男は怖がりながら喋り出した。
「ぶ、無礼者が! 僕を誰だと思っている!!」
喋り方からして、良いところの坊ちゃんって感じか。
なんか漫画とかでよく見たタイプの。
「・・・俺は知らねえぞ。」
ジェラルドさんは少し考えたが、どうやら知らない人だったようだ。
すると、リースさんが前に出てきた。
仕草などを見てどうやら驚愕しているようだ。
そして、言葉を発した。
「お、お兄様!!?」
・・・ん?
お兄様?
え、マジで・・・!?
衝撃的な発言だった。
俺とジェラルドさんとマックさんは「え!?」という言葉を漏らした。
「ああっ、リースのお兄さんだ。」
ライラさんは知っていたようだ。
そういえば友達だったっけ。
「お兄様、どうしてここへ・・・!?」
リースさんは慌てているようだ
そりゃ、急に兄貴が出てきたんだから仕方ないか。
「いや、お前が心配で出てきたんだよ。」
尻もちをついていた兄様は立ち上がり、リースさんの正面に立った。
リースさんより頭一つ分、背が高かった。
「それはありがたいですが・・・。 私は・・・。」
リースさんは言葉が詰まってしまった。
おそらく言いたいことを言えないようだな。
「ともかく、一度屋敷に戻って来い。」
「え!?」
兄の言葉にリースさんは驚いている。
・・・だが、俺たちは別のことに驚いている。
「え!? リースさんってもしかして・・・!?」
確かにあの丁寧な口調と、ライラさんの友達という時点で気付けたはずだ・・・。
今思えば、あの時の御礼のキスも、そういう立場なら自然なことだ・・・。
「・・・バレてしまいましたね。」
リースさんが俺たちのほうを向いた。
そして、兜を外してから再び言葉を発した。
「私の名は、"リザリアス・ワームフレア"。 ワームフレア家の長女です。」
ライラさんを除き、俺らはポカーンと口を開いたまま停止していた。
数時間後、俺らは「ワームフレア家」と呼ばれる資産家のお屋敷に来た。
「でっけえ屋敷だなぁ・・・。」
ジェラルドさんは呑気にそんな感想を言っていた。
「久しぶりだな。 リースの家に来るのは。」
そうか・・・。
ライラさんは来たことがあるのか。
友達だもんな。
門を入ると使用人が一列に並んでおり、「お帰りなさいませ」と一斉に言葉を発し、お辞儀をした。
その間をリースさんと彼女の兄貴が通り、その後ろから俺たちが付いて行った。
「お帰りなさいませ、お坊ちゃま、そしてお嬢様。」
屋敷の入り口付近には、執事風の老年男性がおり、リースさんにお辞儀をした。
「久しぶりですね、キュロスチャン。」
キュロスチャン・・・。
また、凄い名前だ・・・。
「後ろの方たちは・・・、ライラ様と・・・?」
「リースの仲間たちらしい。」
兄様が簡単に紹介してくれた。
ありがたいこった。
屋敷内に入り、長い長い通路を通ったら、俺たちはいわゆる客間に案内された。
凄い広かった。(小学生並みの感想)
「しかしまぁ・・・。 リースがお嬢様だとはねぇ・・・。」
「確かにその風格は時々見せてたよな。」
二人もどうやら薄々予感はしていたらしいな。
「すみません。 リースに言わないように言われてましたので・・・。」
ライラさんは微笑みながら謝った。
「なにか知られては問題だったのですか?」
「そうだぜ。 お嬢様だったとしても俺たち気にしねえぞ?」
「どうなんだ?」
俺らの質問責めに、ライラさんは困ってしまっている。
と、そこに一人のメイドさんが入ってきた。
「お嬢は自分の素性を知られて、気を遣われたくなかっただけよ。」
「え?」
「どんなに頑張っても、結局お前らも少なからず意識しちまうだろ?」
色々と言いたいことはあるが、まず言いたいことは・・・。
・・・なんか凄く個性が濃いメイドが来たんですけど!!?
「お、お前なんだ・・・?」
さすがのジェラルドさんも引いているようだ。
するとメイドは腰に手を当て、もう片方の手をサムズアップにして親指を自分のほうに向けて元気よく答えた。
「ここワームフレア家で働いているメイドの"キリア"っていう者さ。 「キーちゃん」と呼んでちょうだい。」
俺らの中で完全にメイドのイメージが崩壊したのだった・・・。
勿論、全てこのキーちゃんのせいで。
「キーちゃん久しぶり!」
ライラさんは既に知っているようだ。
まあ、こんな個性的なメイドは忘れられねえだろうな・・・。
「おお、誰かと思ったら「イラっち」じゃん。」
・・・イラっち!?
「そのあだ名、まだ使ってるんだ・・・。」
「いいじゃん、イラっち。」
まるで同級生のような会話だ・・・。
メイドと主の娘の友人なのに・・・。
「で、あんたらの名前は?」
いきなり俺らに質問してきた。
不思議な人だ・・・。
「タ、タカヤです。」
「ジェラルドだ。」
「マクシミリアン・ディアボロス。 マックと呼んでくれ。」
とりあえず、自己紹介をした。
「んじゃ・・・、そうだなぁ・・・。」
しばらくキーちゃんは考え込むと、何かを思いついたジェスチャーをして、再び話し始めた。
「よろしく! タカちん、ジェラ、マクシー。」
「「「ヘアッ!?」」」
思わず三人で同じ声が出た。
・・・タカ、ジェラ、マクシー?
「おいおい、なんだそれ・・・。」
「いやだって、なんかそのまま呼んでもつまんないじゃん。」
「俺、マックと呼んでと言ったよね?」
「マックよりマクシーの方がカワイイじゃん。」
もはや好き勝手暴れられている状態だ・・・。
まるでパルフェの相手をしているみたいだ・・・。
リースさんは今、父親と話をしているらしい。
その間、俺らはしばらくキーちゃんと話していた。
今までのことを・・・。
「ふーん、じゃあタカがお嬢と相部屋になってるんだ。」
「そこに食いつくんか!」
思わずマックさんがツッコんだ。
しかしキーちゃんは気にしなかった。
「そんなんだと、溜まっちゃってるんじゃないの? ナニがとは言わねえけど。」
「・・・。」
言えない。
そんなこと言えるはずがねえよ・・・。
「だったらさ。 今夜アタシが相手をしてあげようか?」
「うえあっ!!?」
いきなりの発言に俺は心の底から驚いた。
自分では見えないが、おそらく今の俺の顔はギャグマンガの驚き顔みたいな顔になっていることだろう。
「冗談だって。 本気にするなシャイボーイ。」
俺は思わず掌で顔を隠した。
少しでも反応してしまった自分が恥ずかしい。
最悪だ・・・。
「タカヤさん・・・。」
ライラさん。
一体なんだ、その声は・・・。
俺にどんな感情を向けているんだ?
知りたいけど知りたくない。(読者のご想像に任せます)
「それくらいにしてくれ。 タカヤは俺たちの中で一番彼女を守ってきたんだ。」
「ジェラルドさん・・・。」
ジェラルドさん、ありがとうございます・・・。
「どうせ一人で勝手に済ましているだろう。」
「そんな風に思っていたんすか!!!?」
「え、違うのか? あまりにも我慢強いからてっきり・・・。」
俺は思わず前方に倒れ、いわゆる「失意体前屈(こんな感じの姿 ⇒ orz)」になった。
まさかそんな風に思われていたとは・・・。
「すまない、タカヤ。 まさかお前がそこまで努力しているとは・・・。」
ジェラルドさんが本当にすまなそうな声で気に掛けてくれた。
だが、もう遅い。
俺は強いショックを既に受けてしまったのだからな。
「だがさ、このままではタカは危ないんじゃないか?」
「なにがだ?」
「だってさ、溜まったもん一旦外に出したほうが良いんじゃねえか?」
「どうだろう・・・?」
その会話、いい加減やめてくれ!!
あんたと違って、普通の女の子もいるんですよ!?
マックさんも冷静に答えないでくれ!!
「ジェラ、良い店とか知らねえか?」
「俺も言ったことねえしな・・・。」
「え、まさかアンタもチェリーボーイ!?」
「恥ずかしながら・・・。」
もうやめてくれえぇぇぇー!!!
その後、下の会話がしばらく続いた。
俺は床に額を付けて絶望し、ライラさんは顔を赤らめながらも、何故かやや興味津々だった。
本当に最悪だ・・・。




