新たな町へ・・・!
「おはようございます。」
目が覚めると私服姿のリースさんが挨拶をしてきた。
どうやら俺より先に起きたらしい。
「早いですね・・・。」
「はい! 出発する前に、町中を歩こうと思いまして・・・。」
なるほど。
それでか。
「それでですね、タカヤさん。 一緒に歩きませんか?」
デートに誘われた。
・・・というのは自意識過剰だな。
「いいですよ。 俺も着替えを買おうと思っていましたし。」
もちろん俺はOKを出した。
こんな美人の誘いを断る理由はない!!
美人局以外は!
さっそく俺たちは町中を歩いていた。
人々で賑わって、平和だった。
ギルドが無くなっていること以外は。
「俺たち、この人たちを助けることができたんですよね?」
「はい。 少なくとも今は。」
リースさんはそう答えた。
意外とリアリストな面もあるんだな。
「前にこうして歩いたのが昔のことのようですね・・・。」
「そうですね。」
あの日から今日まで色々と濃い日が続いたからな・・・。
そう思うのも仕方ない。
実際俺もそうだから。
「この町に来て1ヶ月も経ってないのに、なんだか名残惜しいですね・・・。」
あの日、リースさんを助けたときから1ヶ月も経っていない。
この数週間、彼女と共に過ごし、俺はここまでやってきた。
最初はどうなるかと思ったが、上手くやっていけて良かった・・・。
「この町は素敵なところですからね。 それに、タカヤさんと仕事仲間になった大切な場所ですし。」
リースさんは何気なく言った。
だが、俺にとってその言葉はとても心に残る言葉だった。
俺にとって彼女は、そして彼女にとって俺は、大切な存在なのだろうから。
彼女のおかげで、このような素敵な生活を送れているのだから。
もうこの時点だけでも、『第二の人生』は良いものだと実感した。
「今度はあちらに行きましょう。」
「そうですね。」
その後もリースさんと共に町中を歩き続けた。
ジェラルドさんがギルド跡地の前で立っていた。
「おはようございます。」
「おう、おっす。」
ジェラルドさんは軽く挨拶をした。
俺たちは町を出る話をジェラルドさんにした。
ジェラルドさんも同意してくれた。
「でも、次はどこに行くんだ?」
「それは決めていませんが・・・。」
リースさん、決めてなかったのか・・・。
「まあ、目的地を決めてない旅というのも良いかもな。」
ジェラルドさんは笑いながら言った。
どうやら結局目的地は決められなかったらしい。
「お前たちも町を出るのか?」
グリフォスさんがやってきた。
相変わらずの重装備だ。
「「も」とは・・・?」
「数名の冒険者はもう町を出て行った。 マーガレットやスレイダーたちもそうだ。」
二人も町を出て行ってしまったのか。
「こうしている間にも困っている人はいますし、早くギルドの依頼を受けたいのです。」
リースさんはキッパリと言った。
その姿にグリフォスさんは笑った。
「お前らしいな、リース。」
グリフォスさんはリースさんの頭を撫でながら言った。
そして、俺らの間を通って、ギルドの跡地に近づいた。
「俺はここに残る。 ギルドの復興を手伝うつもりだ。」
「そうなのですか・・・。」
グリフォスさんは近くに置いてあった角材に触れた。
新しく建てるギルドの材料だろう。
「お前たちも、好きに生きるんだぞ。」
グリフォスさんはそう言って俺たちを見た。
それに俺たちは「はい!」と答えた。
町の出口付近に着くと、マックさんが立っていた。
ジェラルドさんと既に打ち合わせていたらしく、ここで待っていたらしい。
「準備は良いか?」
俺は着替えを買った。
リースさんはいつも通り全身鎧を身に着けている。
ジェラルドさんも問題ない。
「はい、大丈夫です。」
「全員に挨拶する時間はねえしな。」
「そうか、なら行くか。」
俺たちが説明する前に、既にマックさんは分かっているようだ。
マックさんは合流し、共に出口を出た。
俺は、この町で出会った冒険者たちのことを改めて思い返してみた。
先輩のように俺の面倒を見てくれたマーガレットさん。
彼女のライバルだったスレイダーさん。
とにかく強かったグリフォスさん。
戦闘経験豊富だったルークさん。
リースさんの友達で心優しかったライラさん。
謎を残したまま突然いなくなったマッケンジーさん。
そして彼に付き添っていたキーラちゃん。
どの人も個性的だったな・・・。
ギルドの受付嬢さんも良い人だった。
色々な人にあったなぁ・・・。
マッケンジーさんの「モンスターを仲間にできる時代」っていうのが気になる。
あの言葉は一体・・・?
だが、実際にマッケンジーさんはアルラウネを従えていた。
本当にそんな時代がやってくるのだろうか?
山賊団はあの後、あの場にいた奴は残らず連行されて行った。
当然ボスもだ。
ボスは現在治療されているらしい。
命に別状はないらしく、リースさんはホッとしていた。
しばらく歩いていたら、後ろから誰かが追ってくるのに気付いた。
それはライラさんだった。
背中に大きな荷物を背負っている。
「あ、あの・・・、すいません・・・!!」
めちゃくちゃバテているな・・・。
俺らは歩みを止めて、彼女の方を見た。
「どうしたライラ?」
マックさんが近寄り、彼女を受け止めた。
めちゃくちゃ汗をかいている。
聖剣技を使ったときほどではないが。
ライラさんはマックさんに受け止められた状態で息を整え、話し出した。
「わ、私も・・・、付いて行きます・・・。」
「え?」
息を「ハァハァ」吐きながら、なんとかそう言葉を出した。
「わ、私も、別の町に向かおうとしていましたので、どうせなら一緒に行こうと思いまして・・・。」
なるほど、そういうことか・・・。
「別にいいよ?」
リースさんが即答をした。
思えば、このパーティはリースさんを中心にしているな。
「自分もいいですよ?」
「俺もいいぜ。」
俺とジェラルドさんも答えた。
そしてライラさんは、マックさんの顔を見つめた。
「ああ、一緒に行こう。」
マックさんもすぐに答えを出した。
するとライラさんはマックさんから離れ、ちゃんと立った。
そしてお辞儀をした。
「あ、ありがとうございます!」
礼儀正しい人だった。
さすがはリースさんのお友達。
ライラさんは頭を上げた。
「・・・ところで、どちらに向かっているのですか?」
そう質問してきた。
「知らね。」
ジェラルドさんは肩をすくめて、即答した。
その言葉にライラさんは勿論、マックさんまで驚いて顔を向けた。
「え、決めてねえの!?」
なるほど。
マックさんはどうやら知らなかったようだ。
「まあ、いいじゃねえか。 そのうち町が見えてくるよ。」
ジェラルドさんは呑気にそう言った。
マックさんは頭を抱え、俺は苦笑いをした。
この先も、このような旅が続くといいな・・・。
俺はそう、心の中で願った。




