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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
冒険者の町「メガスリトス」
40/63

三人の漢 VS 山賊団ボス


 俺はアイデアを二人に話した。


「そうか! その手があったか!!」

「なんで気付かなかったんだ・・・!!」


 二人は先程と明らかにテンションが違う。

 良かった・・・。


「まあ、でもあくまで予想なので、成功するかは・・・。」


 だが、心配なので一応言っておいた。

 慢心(まんしん)だけは絶対にダメだからな。


「だが、この方法は試してみる価値はあるぞ。」


 マックさんはそう言って、部屋の入口の横で身構える

 松葉杖(まつばづえ)を外に置いて来てしまったため、やや苦労をしていたが。


「サンキューな、タカヤ。」

「その言葉は成功してからにしてください。」


 ジェラルドさんが先にお礼を言ってきた。

 これで失敗したら、すごく気まずくなるな・・・。


 俺のアイデアは全く完全ではない。

 あくまで予想だ。

 つまり 運 である・・・。

 正直不安だ・・・。



 そんなことを考えていると、ボスが穴に入ってきた。

 片手には拳銃を持っている。

 恐ろしい・・・。


 マックさんは魔道書を開いてスタンバイしている。

 正直俺とジェラルドさんは祈ることしかできない・・・。


「そこにいるのはわかっている・・・。 出てきやがれ・・・。 出なくても(むか)えに行ってやる・・・。」


 ボスはゆっくりと歩いている。

 余裕のようだ・・・。


 そしてもうかなり近めのところに来ている。

 そろそろ良いだろう・・・。

 俺はマックさんに合図を送った。

 マックさんは(うなず)き、呪文を唱える。

 そして言葉を発した。


「<水柱(ウォーター・カラム)>」


 マックさんの手の前に出た小さな魔方陣から、大量の水柱が勢いよく出て、ボスに直撃した。

 ボスは全身ずぶ()れになった。


「これは、なんだ・・・?」


 ボスは自分が何をされたか分からないようだ。

 無理もない。


 次に俺が、ボスの前に出た。

 ボスはそれを逃さなかった。


「獲物が自分から出てきてくれたか・・・。」


 そう言って、拳銃を向けた。

 そして俺に向けて放った。

 俺は横に跳んで回避した。


 しかし、明らかに状況が変わっていた。

 爆音が聞こえない。

 それに、弾丸が飛んでこない。


「・・・成功だ!」


 マックさんは嬉しそうな声で言った。

 ジェラルドさんもニヤリと笑っている。

 地面に伏せている俺はホッとした・・・。



「な、なぜだ・・・。」


 ボスは何度も引き金を引くが、爆音は出ず、弾も出ない。

 その内、怒ったボスは地面に拳銃を捨ててしまった。



 俺のアイデアは、拳銃を水で濡らすことだった。

 ただ、普通の拳銃なら水で濡らした程度では壊れないことは知っている。

 そう、普通の拳銃なら・・・。


 奴が使っているのは、異世界初の拳銃。

 言わば不完全の試作品だ。

 火薬を水などから防ぐ設計にはしてないのだろう。


 まあ、あくまでこれは俺の予想で、本当にそうなのかは知らねえがな・・・。

 だが、俺は一か八かこれに賭けた。

 結果は大当たりだった。



「チッ、改良を加えるしかねえな・・・。」


 山賊は落とした拳銃を踏みつぶしながらそう言った。


「悪いが、それは叶うことは無いだろう!!」


 そう言ってジェラルドさんはボスに向かって行った。

 これで安全に戦うことができる。


 ジェラルドさんは勢いよく走り、ボスの顔面目掛けてドロップキックを放った。

 入った・・・と思ったが、驚くことにボスはドロップキックを腕でガードしていた。


「山賊舐めるんじゃねえぞ・・・。」


 そう言って、今度はボスがジェラルドさんに「ケンカ・キック」を放った。

 ジェラルドさんはガードが遅れ、顔面を蹴り飛ばされた。


 ・・・あのジェラルドさんが吹っ飛ばされた!?

 前にも吹っ飛ばされたことがあったが、あれは大型モンスターだったから仕方なく思った。

 しかし、今度は人間だ。


「こいつ、かなり強いですよ・・・。」


 俺はマックさんに何気なく言った。

 マックさんも「ああ・・・。」と返事をしてくれた。



 目の前にいるのは、今までの山賊とは格が違う。

 強敵なんだ・・・。


 マックさんが即座に呪文を唱えていた。


「<氷塊(アイス・ブロック)>」


 氷の塊がボスに飛んで行った。

 ボスに氷の塊が激突し、ボスは後ろに吹き飛んだ。

 そして俺はすぐさまボスのもとに向かって、「ニー・ドロップ(ジャンプをし、片膝を突き出すように折り曲げて、相手の体に片膝を落とすプロレス技)」を放った。

 しかし、俺の脚は硬い何かに当たった。


「・・・!」


 (じか)に触れたことで分かった。

 ボスは服の下に鉄装備を着けている。

 俺は着地と共に、急いで二人のもとに戻った。

 叩き込んだ右膝が若干痛いが、歩ける程度には大丈夫だ。


 戻ると、ジェラルドさんが起き上がっていた。


「奴は鉄装備を下に着けてます!」


 俺はまずそう言った。

 ジェラルドさんは「なんだと?」と言い驚き、それを聞いてマックさんは真剣にボスを(にら)む。

 ボスはゆっくりと立ち上がった。


「ああ・・・。 酷い目にあったわぁ・・・。」


 ボスは腕を回しながら言った。

 そして軽い運動を終えると、一直線に走ってきた。

 猫背で突進する姿は、怪物そのものだった。


 部屋の中央にいた俺とジェラルドさんは回避をし、そのままボスは奥の壁に激突した。

 身体が半分壁にめり込んだ。


 俺らは壁にめり込んで動かなくなったボスを警戒した。

 さすがにこれぐらいで気絶なんてしないだろうしな・・・。


 予想通りボスは壁から抜け出し、俺らの方を向く。

 顔を怪我しており、軽く血が出ている。

 だが、そんなことは気にしていないようだ。



 再びマックさんが呪文を唱えた。


「<氷塊(アイス・ブロック)>」


 氷の塊が再びボスを襲った。

 しかし今度は、ボスは氷の塊を受け止めた。

 そして、その氷の塊をマックさん目掛けて投げてきた。

 脚を怪我しているマックさんは回避できず、氷の塊が直撃した。

 壁を背にしていたため衝撃を逃がすことができず、潰されてしまった。


「マックさん!!」


 氷が砕け、マックさんは地面に倒れる。

 幸いマックさんは肥満体型。

 つまり腹が出ていたため、顔は潰されなかった。

 しかしマックさんはかなりのダメージを受けてしまったようだ・・・。


「待ってろ!」


 ジェラルドさんがマックさんのもとへ走って行った。

 そしてマックさんに向けて(てのひら)を向けて、叫んだ。


「<治癒(ヒーリング)>」


 すると、ジェラルドさんの(てのひら)から光が発し、そして消えた。

 ヒーリング・・・、「治癒」か・・・。

 そういえば、ジェラルドさんは「僧侶」だったな。

 すっかり忘れていた。


 そしてジェラルドさんは俺の隣に来て、小声で話しかけてきた。


「マックが回復するまで、俺たちがヤツを引き付けるぞ。」


 そう言って、ジェラルドさんはボスに立ち向かって行った。

 どうやら治癒が効くまで時間がかかるようだな・・・。

 そう理解して、俺もボスに立ち向かって行った。



 ジェラルドさんがドロップキックを放つ。

 ボスの腹に直撃するが、腹から金属音が響いて、ボスはただ後退するだけだった。

 ボスは前進と同時にジェラルドさんに殴りかかる。

 しかし今度はちゃんとジェラルドさんはガードをした。


 殴り抜けたボスを見て、俺もボスに攻撃を仕掛ける。

 ボスの脇腹(わきばら)に体当たりをした。

 ボスはバランスを崩し、横に倒れる。


 ジェラルドさんがチャンスだと思い、顔面に強烈な蹴りを放つ。

 顔は何も着けていないため、ジェラルドさんの足が顔にめり込み、ボスは痛さで顔を押さえ暴れている。

 危険なので、俺らはすぐに離れた。


「グオォォォー!!!」


 ボスは(うな)り声を上げてバタバタ暴れている。

 近寄ったら吹っ飛ばされそうだ。

 少しだけだが、天井の石が落下してきた。



 マックさんが起き上がった。

 どうやら回復したようだ・・・。


「すまん、助かった・・・。」


 マックさんは謝罪とお礼をまず言った。

 そして魔道書を拾って、俺たちの近くに来た。


 ・・・ん?


「マックさん、足大丈夫なんですか?」


 マックさん・・・。

 明らかに普通に歩いている。


「・・・あ、本当だ。」


 どうやらマックさんも今気付いたようだ。

 足踏みやジャンプをして、確認していた。


「やや痛いが、歩けるようになっている・・・。」


 すると、マックさんはジェラルドさんを見上げた。

 俺も同様にジェラルドさんを見上げた。

 両方から視線を向けられていることに気付いたジェラルドさんは、手を頭の後ろに回した。


「ああー・・・。 捻挫(ねんざ)を「治癒(ヒーリング)」で治せばよかったのか・・・。」


 ジェラルドさんは苦笑いをした。

 俺とマックさんは呆れて、思わず溜息(ためいき)をついた。

 一体今までの苦労は・・・。



 そんなことをしていたら、ボスが立ち上がった。

 どうやらブチギレているらしいな・・・。


「お前らぁ!! 生きて帰れると思うなよ!!!」


 するとボスは、一輪車のペダルのように腕をブンブン振り回しながら、突撃してきた。

 無論、簡単に回避することができたが。


 しかしボスは即座に方向転換をして、俺たちに迫る。

 俺たち三人は後ろから追いかけてくるボスから逃げた。

 そして、隙を見て部屋から出て、洞窟の入口に急いだ。


 当然ボスも俺たちを追っていたため、部屋から出てきた。

 その時には俺たちは、入口まであと半分の距離まで走っていた。

 しかし体格のせいかボスの足は速く、どんどん俺たちに迫ってきている。

 間に合うか・・・!?



 結果、なんとか入口から外へ出ることに成功した。

 俺たちは即座に横に散らばった。

 そして勢いよく洞窟から出てきたボスは急に止まることができず、崖から落ちてしまった。

 落ちたと言っても、一段下のあそこの道に落ちただけだが。


 俺たちはボスが上がってくるのに備えて、身構えた。






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