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イセカイテンセイ・・・? なんじゃそりゃ!!? ~予測不能な異世界生活~  作者: サムライドラゴン
冒険者の町「メガスリトス」
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冒険者


 最悪だ・・・。

 女性相手にチン○ンとか言っちまった・・・。

 だが、まてよ。いくら女性でもチン○ンぐらいわかるはずだろ?

 ・・・この話はもうやめよう。


「女性の方だったんですね・・・。」


 女性とわかった途端、話し方を変える俺、最低だ・・・。


「なんだ、男だと思っていたのですか。」

「まあ、全身を甲冑で包むなんて、普通は男がするようなものだと思いますから・・・。」


 完全な偏見である。

 最悪だ。


「別に女が全身を甲冑で包んでもいいじゃないですか。」

「そ、そうですね・・・。」


 そう言うと彼女は再び兜を被り始めた。

 髪を兜の中にしまうように被る。

 そして、先程のアーマー状態に戻った。


「じゃあ、なんであなたは全身を甲冑で包んでいるのですか?」

「そうした方が安全ですから!」


 ごもっともである。

 逆に考えて、なぜ漫画とかの女性キャラは肌を露出するほどまでに軽装なのだろう・・・。

 まあ、漫画はビジュアル面がかなり大事なものだし、仕方ないか。

 全身を鎧で包んだ女性キャラなんて、そんなに人気はでないと思うな・・・。


「でも、その姿は意外と動きにくいのではありませんか・・・?」


 鎧を着たことはないが、少なくとも着ていない状態よりは動きづらいだろう。

 なに当たり前のことを思っているんだ俺は・・・。


「確かに少し動きにくいですね。 でもカッコイイからいいじゃないですか!」

「え?」

「昔からプレートアーマーを着ることが夢だったんですよ。」

「そ、そうですか・・・。」


 なんだか不思議な人だな・・・。


「ところでアナタは、どこへ行こうとしているんですか?」


 今度は彼女が俺に質問してきた。


「『メガスリトス』という町に行こうと思っているのですが・・・。」

「え!? もしかしてあなたも冒険者なのですか?」

「ボウケンシャ?」


 突然『冒険者』という単語が出てきた。

 ゲームか何かで聞いたことあるが、『冒険者』というものについては一切知らん。

 名前の響きから、"探検家"のようなものだと予想を立てたが、果たして・・・。


「いえ、違います。 実は行く当てが無くて、とりあえず町にでも行こうかなと・・・。」

「行く当てが無い・・・?」


 そう言うと彼女は体を横に曲げた。

 おそらく甲冑だと首を傾げることができないため、その代わりの仕草だと思う。


「じゃあつまり、これから目的を見つけるということですね?」

「そ、そうですが・・・。」

「ふーん。」


 そう言うと、彼女は何故か左右に揺れ始めた。

 なんとなく兜の中のでは、ニヤニヤと笑っているような気がした。


「では・・・。 あなた冒険者になってみませんか?」

「え?」


 また『冒険者』という単語が出てきた。


「すみません、『冒険者』って何ですか・・・?」

「え? 知らないのですか・・・?」


 有名なのだろうか・・・。

 彼女は一瞬不思議そうだったが、すぐに説明してくれた。


「まあ一言で言いますと、何でも屋ですね。」

「何でも屋・・・?」

「依頼をこなして、報酬を貰う仕事です。」

「ああ・・・。」


 とてもよくわかる簡潔な説明だった。

 だが、待てよ・・・。


「でも何故、俺に冒険者を勧めるのですか?」


 その疑問が残ってた。


「先程の戦いを見て、あなたならいい線行きそうな気がするのです!」

「いや、アレはアイツらが弱すぎただけで・・・。」


 今の俺の言葉は嘘偽りのない、本当のことである。


「それに、冒険者はお金を稼ぐのに最適ですよ。」

「そうなんですか?」


 確かにコチラに来て、一切金銭のことを気にしてなかった。

 これから第二の人生を始めるというのに、なんでそんなことにも気づかなかったのか・・・。


「まあ、確かにお金のために何かをしなければなりませんね。」

「そうでしょう、そうでしょう!」


 まあ依頼と言っても、全部が危険という訳ではないだろう。

 というか別に冒険者になって悪いことはないだろう。


「わかりました。 俺、冒険者になります。」

「おお、そうですか!! では、早速町まで行きましょう!」


 こうして、彼女と共に『メガスリトス』の町へ向かった。






 数十分後。


「着きました、『メガスリトス』です!」


 『メガスリトス』は、ファンタジーなどでよく見る町並みに似ていた。

 沢山の人々であふれ返り、市場などで道具や食べ物が売られ、家々が並んでいる。

 奥には、まるで城のようなものも見える。


「冒険者ギルドはこっちです!」


 向こうで甲冑が手を振っている。

 なんとも目立つ光景だ。

 いつもこうなのだろうか・・・。



「ここです!」


 周りの家より、大きめの建物に来た。

 確かに『冒険者ギルド』と書いている。英語とかではなく「そのまま」で。


 自分の身長より縦幅が長いドアを開けると、中はとても広めの西洋風の居酒屋のような空間だった。

 テーブルで囲んで酒を飲むものがいれば、隅っこで寝ている者もおり、壁に張り出されている紙を眺めている者もいた。


「さあ、こっちこっち。」


 腕を引っ張られながら、ずんずん前に進まされる。

 甲冑の籠手の冷たさを実感した。



「あら、リースさん戻ってらっしゃったのですか?」

「はい、≪マンイーター・プラント退治≫の依頼を達成しました。 証明書も持ってます。」


 そう言って彼女は鞄から一枚の紙を取り出し、目の前の女性に出した。

 すると女性は「確かに確認いたしました。」と申し、銅色のコインが何枚か彼女に渡された。


 それと、どうやら彼女の名前は「リース」というらしい。

 そういえば、名前を聞いていなかったな。

 なんで聞かなかったし。


「あの、そちらの方は?」


 リースさんの斜め後ろにいた俺に、どうやら気付いたようだ。


「新しく冒険者になりたい人です!」

「そうなのですか。 それはそれは。」


 なるほど。

 目の前の女性はいわゆる「受付嬢」というところか。

 というか、それ以外に考えられないな。


「では、こちらに必要事項をお書きください。」


 そういうと受付嬢さんは笑顔で、一枚の紙を渡してきた。

 まあ、これくらいはさすがに俺でもすぐに理解した。

 俺はすぐにペンを受け取り、スラスラと書き始めた。


 数分後、全ての項目を埋め、受付嬢さんに提出した。

 そしてそれを確認し出す。


「お名前は"小板橋鷹哉(こいたばし たかや)"様で間違いないですか?」

「はい、大丈夫です。」


 西洋の雰囲気を出しているが、東洋の名前も通用したようだ。

 それとも、コチラの世界にも東洋のような場所があるのだろうか?

 また一つ謎が増えちまった。


「タカヤ様と申しますのですね。」

「は、はい。 い、言ってませんでしたね。」


 リースさんが後ろから話しかけてきた。

 振り返ったら鉄仮面がドアップで映ったため、少しビビった。

 余談だが、至近距離だと鉄仮面の隙間からリースさんの目が見えた。


「あの、職業が"無職"というのは・・・。」

「ああ! 実は自分、「放浪者」なんです! ダメ・・・ですかね?」

「い、いえ・・・。 冒険者になることには資格などありませんので、大丈夫です。」


 さすがに異世界に転生してきたことは言えるはずがねえよな・・・。


「出身地が"不明"というのは・・・。」

「ああ! 自分「国籍不明」なんですよ!! やはりダメ・・・ですかね?」

「い、いえ・・・。 そういう方は多いですし・・・。」


 おい、さすがに寛容すぎねえか?

 マジで誰でも冒険者になれるぞ!



「で、では、冒険者登録は完了です。」


 そう言うと、受付嬢は白いバンダナを取り出し、俺に渡してきた。


「コチラのバンダナが冒険者の証となります。

 依頼の受注、達成報告などをする際にはバンダナを見せる必要があります。

 紛失などをした場合も、言っていただければ新しいものを用意いたします。ただしペナルティとして一週間は依頼を受けることができません。ただし依頼中に紛失し、達成報告の際に言ってくださればペナルティの期間を短縮いたします。依頼未達成の場合はそのままです。

 バンダナは冒険者のランクごとに色が分かれております。

 タカヤ様はGランクの冒険者から始めていただくため、白いバンダナとなっております。

 色を塗ったりして、上位のランクに成り済まそうとしても無駄です。コチラでデータは完璧に取っておりますので。」


 長々とした話を、貧弱な脳みそを使って、なんとか聞いていた俺であった。


「では、良い冒険者ライフを!」


 そう言って、受付嬢さんはお辞儀をした。

 これで俺も冒険者になった訳だな・・・。





「あなたって、色々苦労したんですねぇ・・・。」


 後ろを向いたら、涙声でリースさんが話しかけてきた。

 国籍不明の放浪者というのはさすがに悲惨すぎたか・・・?

 でも、本当のことを言えるわけねえしなぁ・・・。


「私決めました! 絶対にあなたを幸せにしてみせます!!」

「・・・はいぃ!!?」


 いきなりすごいことを言い出したぞ、この人!!?

 一体なんなんだ!?


「ちょっと、それはどういう・・・」

「私とパーティを組んでください!!」


 リースさんが両手を握ってそう言ってきた。


「『パーティ』?」





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