山賊団捜索
俺たちは山賊団を探しに、岩山に来ていた。
そう、初めて山賊に出会ったあの岩山だ。
「前はここの洞窟に山賊がいたのです。」
山賊たちが住んでいた、あの洞窟前に来ている。
マックさんは知らないので、リースさんが説明してくれていた。
「なるほど、確かにアジトにはもってこいだな。」
マックさんは顎を触りながら納得していた。
すると、ジェラルドさんがなにかを思い出したように話してきた。
「そういえばさ。 ここを仕切っていたガキが "親父" とか言っていたよな?」
「そういえば、そんなこと言ってましたね。」
あの金髪のイケメン山賊のことだな。
そういえばいたな、そんな奴・・・。
「ま、まさか・・・。」
「ああ、たぶんその "親父" がボスなんじゃねえかと思ってな。」
ジェラルドさんは推理をした。
確かにその可能性はあるな。
少なくとも、あんな小物が指揮官になれるからには、奴の親父は偉い地位にいることは間違いないな。
「とりあえず、洞窟の中を探ってみますか?」
リースさんが洞窟の中を指差しながら、言ってきた。
「もう前のことだし、何も無さそうだが、とりあえず入ってみるか。」
そう言ってジェラルドさんは洞窟の中へと入って行った。
同じく俺ら三人も後に続いた。
しかしジェラルドさんが仕事仲間になる前のことを思い出すな。
今もそうだが、ジェラルドさんはとても頼もしかったな。
俺も彼みたいに、敵を次々薙ぎ倒せるようになりてえな・・・。
そう思いながら俺は洞窟を進んだ。
そして、気が付けばあのイケメンがいた部屋に着いた。
部屋の中は、道具などは無くなっているが、家具などはそのままだった。
「てっきり他の仲間が回収でもしたのかと思ったが・・・。」
「発見した盗まれた金品は、前に山賊が捕まった際に回収したらしいですが・・・。」
家具までは回収しなかったようだな。
しかし、それで本当に良かったのだろうか・・・。
「とりあえず、部屋の中を探りましょう。」
俺たちは家具や飾りなどを隈なく探した。
「あの、これはなんでしょう?」
リースさんが何かを見つけた。
俺たちはリースさんのもとに集まった。
見つけた者は「紙」であり、そこには何か書かれていた。
「鉄・・・火薬・・・、なんでしょうか?」
「とりあえず、鉄や火薬を必要としていたようだな・・・。」
鉄はともかく、火薬は何か嫌な予感がするな・・・。
その後も俺らは部屋を探ったが、特に何も見つからなかった。
「結局見つかったのは、リースが見つけたその紙だけだな・・・。」
「まあ、そう簡単に居場所が見つかるわけないしな・・・。」
俺らは洞窟の入口で話していた。
まあ、当てずっぽうでここに来たしな。
仕方ない。
「じゃあ、適当に山を下るか。」
その言葉通り、俺らは登ってきた方と反対の方から山を下った。
「しかし、あの男性はあの後どこに逃走をしたのでしょうか?」
リースさんが聞いてきた。
男性とはイケメンの山賊のことだろう。
「それさえ分かれば、奴らの居場所が分かるかもしれないなぁ・・・。」
そう話していると、ジェラルドさんが叫んだ。
「リース! 気を付けろぉ!!」
ジェラルドさんはリースさんに忠告をした。
しかし遅かった。
リースさんの足元には大きな出っ張りがあった。
岩山なら珍しくないだろう。
その出っ張りにつまずき、さらにバランスを取ろうと慌てたせいで、リースさんは岩山の側面の崖から転落してしまった。
「キャアアアァァァー!!!」
「リースさん!!」
俺は速やかに崖を見下ろした。
するとリースさんは、運よく側面の大きめの出っ張りの上に俯せで倒れていた。
その出っ張りは、まるで道のようになっていた。
「リースさん! 大丈夫ですかー!!」
俺は大きく叫ぶが、リースさんは動かない。
不安に思った俺は、リースさんの元まで飛び降りた。
「タカヤ、危ねえぞ!」
ジェラルドさんが心配してくれた。
だが俺は、先に俯せのリースさんを抱える感じで起こした。
「リースさん!」
もう一度、今度は顔の近くで呼びかけた。
すると、リースさんは気が付いた。
「タカヤさん・・・。 わ、私は・・・。」
なんとか無事だったようだ。
本当に良かった・・・。
「大丈夫のようです!」
俺は上にいるジェラルドさん達に報告した。
「それは良かった。 じゃあ引っ張り上げるから腕を握れ!」
そう言ってジェラルドさんは腕を伸ばしてくれた。
先にリースさんを上げてもらおうとした。
その時、リースさんが左方向を指差した。
「あの、あれはなんでしょう・・・?」
俺はリースさんの指の方向を見た。
すると、そこには洞穴があった。
「洞穴です! 洞穴があります!!」
「なんだと!?」
俺たちは洞穴の前まで歩いた。
ジェラルドさん達はその上から見下ろしている。
「やはり中に入れます!」
「わかった、俺たちも飛び行くぜ。」
そう言って二人共飛び降りてきた。
そして俺らは洞窟の中へと入って行った。
洞窟の中は長い通路となっていた。
そして、松明の灯りが壁に付けられていた。
「もしかしたら、ここが・・・。」
「まだわからない。 期待はしない方が良いぞ。」
そんなことを話していたら、前方に人影があった。
そうだ。
俺たちが探していた山賊だ。
「なんだ貴様ら!!?」
いきなりのことで俺たちは驚きを隠せなかったが、ジェラルドさんはすぐさま先制攻撃をした。
安定の右ストレートである。
山賊は吹っ飛び気絶してしまった。
「「灯台下暗し」とは、この事か・・・。」
「まさか近場にあるとは考えもしなかった。」
もちろん俺たちはここにボスがいるかどうか分かっていない。
だが、山賊がいることはわかった。
騒ぎを聞きつけた4、5人の山賊連中がやってきた。
俺らは迷わず前進した。
ジェラルドさんが2人をぶちのめし、マックさんは風魔法で2人を吹っ飛ばす。
残り1体はリースさんが剣を弾き、俺が叩きのめした。
その後も山賊が現れれば倒し、また現れれば倒し、の繰り返しだった。
モンスター退治と同じである。
それにしても、山賊が出てくると逆に安心するな。
少なからず罠の心配は無いと思うからだ。
「この洞窟は当たりですかね?」
「そう願いたいものだ。」
リースさんとジェラルドさんは話す余裕まで見せている。
しかし、マックさんが口を挟んだ。
「だがな、もしボスを見つけたとしても油断はするなよ。 山賊のボスになっている男だ。 何をするか分からない。」
松葉杖を使いながら歩くマックさんが、リースさんとジェラルドさんを交互に見ながら忠告した。
・・・山賊のボスか。
一体どういう奴なんだろうか・・・。
すると、分かれ道に来た。
右の道は奥まで続いているが、左の道の先には扉がある。
おそらく、何かの部屋だろう。
「何のお部屋でしょう・・・?」
「入ってみないと分からないな。」
ジェラルドさんは左の道へ行き、扉に近づいた。
俺たち三人も近づき、身構える。
そしてジェラルドさんはゆっくりと扉を少しだけ開き、隙間を覗いた。
しばらくジェラルドさんは無言で部屋の中を覗いていた。
すると、突然ジェラルドさんが扉を一気に全開にした。
俺たちは思わずビックリしてしまった。
しかしジェラルドさんは気にせず中へ入って行った。
俺たちは何が何だか分からないまま、そのままジェラルドさんについて行った。
ジェラルドさんは既に部屋の奥に進んでいた。
すると俺たちは、予想もしていなかったものを見てしまった。
そこには、縄で縛られた四人の女性たちがいた。
女性たちは気を失っている。
「この人たちは・・・。」
リースさんは兜の下の方を押さえながら言った。
口を押さえる代わりの仕草だろう。
「山賊の奴らが、誘拐でもしたのだろうな。」
ジェラルドさんが腕を組みながら即答した。
「どうして誘拐なんて・・・?」
「そりゃ・・・、やっぱり・・・。」
リースさんの質問に、ジェラルドさんが答えようとした。
しかし、直前で言葉を止めた。
・・・まあ、そうだろうな。
リースさんは知らなくていいことだ。
「あ、いや、やっぱりわからねえわ・・・。」
ジェラルドさんはなんとか防いでくれた。
俺は一人でホッとしていた。
「それより、彼女たちはどうしましょうか?」
俺も、とりあえず話題を変えた。
これでリースさんも聞かなくなるだろう。
「とりあえず、洞窟内を隅から隅まで探索してから考えておこう。」
マックさんは冷静に意見を言った。
そしてマックさんは部屋の扉のところまで歩いた。
俺たちも行こうとしたが、ジェラルドさんが顎に手を当てて女性をジロジロ見ている。
「なにしてるんですか?」
俺は身体を後ろに捻りながら言った。
リースさんもそれに気付き歩みを止めて後ろを向く。
「いや、衣服が破られていないから無事のようだな。」
「ああ、それですか・・・。」
山賊のような荒くれなら、普通衣服を破くだろうな。
「何の話ですか?」
純真な淑女が、俺たちの会話について聞いてきた。
俺たちは「こちらのことだ。」と誤魔化して、とりあえず逃れた。
今度は右の道へ進んでみた。
途中にバリケードのようなものが数個設置されていた。
それがなんなのか、全く疑問には思わなかった。
「ん・・・?」
急にジェラルドさんが走り出したかと思うと、曲がり角の壁に張り付いた。
俺たちはゆっくりとジェラルドさんのもとへ歩いた。
「どうしました?」
リースさんが聞くと、ジェラルドさんは人差し指を口の前に持ってきて「シッ!」と言った。
そして、曲がり道の向こう側をゆっくり覗いた。
俺たちも恐る恐る角を覗いた。
すると、どうやら曲がり道の向こうには大きな部屋があるらしい。
そこには何人もの山賊が座っていた。
剣を磨く者、食べ物を食べる者、ただ笑っている者。
だが、俺たちはそんな奴らよりも真っ先に目に入った者がいた。
大きな椅子に座った、大柄の男。
立派な髭が生え、目つきが鋭く、指には多数の指輪をつけている。
おそらく、奴が山賊団のボスだ・・・!




