最後の1体
マックさんは炎の魔法を放つ。
だが、怪物には全く効かなかった。
今度は氷の魔法を放った。
だが、またしても効かなかった。
今度は怪物がマックさんに爪を振り下ろしてきた。
マックさんは間一髪回避した。
言葉にするとこんな感じだが、実際の戦いはかなりの速さで行われている。
まさに強者同士の戦いであろう。
俺らはというと、雑魚モンスターの相手をしている。
巨人が倒されてから、雑魚モンスターの湧きようが異常だった。
おそらくだが、今まで森に隠れていたモンスター達が一斉に襲ってきたのだろう。
2体の強力モンスターを倒した俺たちを始末するために・・・。
俺、リースさん、マーガレットさん、スレイダーさん、ライラさんは先程と同様に雑魚モンスターを狩っている。
ジェラルドさんとグリフォスさんも、遠くで雑魚モンスターと戦っている。
ただ、グリフォスさんは斧が巨人にまだ突き刺さっており、素手で戦っている。
また、いつの間にかマッケンジーさんとアルラウネはいなくなっていた。
それにしても、この状況じゃマックさんに加勢したくても、できないな・・・。
俺は、服を着た二足歩行のオオカミのようなモンスターと戦っていた。
オオカミの頭をぶん殴る。
しかしオオカミはすぐに俺に向かって爪で引っ掻いてきた。
瞬時の反撃に対応できず、俺の体が引っ掻かれた。
服に三つの切られた穴が開き、体には三つの切り傷が付けられた。
いてぇ・・・。
そういえば、初めて斬撃系の攻撃を受けたような・・・。
いくら頑丈とはいえ、やはり打撃系とは違い、斬撃系は鋭い痛みが来る・・・。
だが俺は我慢をして、オオカミの服を掴み「背負い投げ」でオオカミを地面に叩きつけた。
そして仰向けになったオオカミに馬乗りになり、顔を何度もぶん殴った。
数秒後、オオカミは俺をどけて立ち上がる。
・・・だが、ここまで計算済みだった。
今俺はしゃがんでいる。
俺は立ち上がると同時に、思い切り「アッパーカット」をオオカミの顎に放った。
そう、さっきのトカゲのように。
やはり同様に頭が上に向いたまま後ろに倒れた。
そしてトドメの「エルボー・ドロップ」を放ち、見事仕留めた。
他の人も、次々とモンスターを倒している。
武器がある分、俺よりモンスターを殺しやすいのだろうな。
ふと、マックさんの方を見た。
彼は見た目に反して軽やかな動きで攻撃を回避している。
そして、速やかに呪文を唱え、怪物に魔法をぶつける。
しかしやはりあまり怪物には効いてないようだ。
もしかすると、魔法に耐性でも持っているのか?
ゲームだとありえることだが果たして・・・。
怪物は爪を振り下ろした。
マックさんが怪物の攻撃を避けるために、後ろへ跳んだ。
しかし怪物はそれも予測していたようで、怪物は身体を回転させ、尻尾で攻撃してきた。
マックさんはなんとか攻撃を回避した。
しかし、マックさんは倒れた。
同時に持っていた本も2歩ぐらい先に落としてしまった。
すぐに起き上ろうとするが、立てないようだ。
・・・どうやら足を捻ったらしい。
・・・最悪だ!
あれじゃ攻撃を避けれないじゃないか!!
俺はすぐにマックさんのところへ向かおうとした。
しかし雑魚モンスターが行く手を阻む。
・・・まずい!!
怪物が腕を振り上げた。
また爪で攻撃する気だ!!
怪物は足元にいるマックさん目掛けて、腕を振り下ろした。
すると、ライラさんがマックさんの前に立ち、盾を構えた。
盾から光が発していた。
怪物は爪で引っ掻くが、盾に弾き返された。
怪物は諦めず何度も何度も攻撃を仕掛けるが、全て盾で弾き返された。
・・・すごい。
これがライラさんの力・・・。
・・・ん、待てよ。
確か前には「聖剣技」とかいうのを使って気を失ったような・・・。
俺の予想は当たっていた。
ライラさんの足がガクガクしていた。
どうやら体力がどんどん消耗しているのだろう・・・。
このままではまずいぞ!!
俺は目の前のモンスターを投げ飛ばし、そのままマックさんのところまで走った。
ジェラルドさんも気付いたようで、別方向から走ってきている。
先に俺が怪物に攻撃を仕掛けた。
殴ってみてわかったが、かなり固い皮膚をしていた。
攻撃はあまり効いてないようだった。
だが注意をこちらに向かせることはできた。
俺はバレないように、怪物の方向を変えるために横へ移動した。
そしてジェラルドさんも怪物に蹴りをくらわせた。
やはりあまり効いていないようだ。
だが、怪物の攻撃対象が俺とジェラルドさんに変わった。
「タカヤ、頼む。」
小声でジェラルドさんが言ってきた。
するとジェラルドさんが怪物に殴りかかった。
怪物もジェラルドさんに反撃するが、ジェラルドさんは軽やかに避けた。
そして再びジェラルドさんが攻撃をする。
その繰り返しだった。
だが、俺は理解した。
俺は怪物にバレないように、マックさん達のところに行った。
ライラさんは既に聖魔法らしきものを解いており、やはり汗をかいて倒れていた。
「マックさん、今の内に。」
「俺は一人で歩けるから、彼女を頼む・・・。」
そう言ってマックさんは立ち上がり、落とした本を拾い、不自然な歩き方で怪物から離れた。
捻挫している足で無理矢理歩いているからだろう・・・。
俺もライラさんを抱き抱え、怪物から離れた。
そして彼女をマックさんに預け、ジェラルドさんのもとへ戻ろうとした。
「待つんじゃ!」
すると、後ろから呼び止められた。
振り返ると、そこにはルークさんがいた。
そういえば彼もいたっけ。
「すまんのう。 山を下りるのに時間がかかったわい。」
持っている杖で腰をポンポン叩きながら言ってきた。
すると今度は真面目な顔で話しかけてきた。
「アイツの弱点は身体の中じゃ。」
どうやらルークさんは怪物のことを知っているようだった。
さすがベテランと言うところだろう。
「口の中に魔法か何かを放てば良いんじゃがな・・・。」
弱点は口か。
魔法ならマックさんが使えるが・・・。
「俺なら大丈夫だ。」
そう言ってマックさんは、捻挫している足で無理矢理歩き始めた。
とても辛そうだ。
「わかりました。 俺が口を開かせます!」
俺はそう言って怪物に近づいた。
ジェラルドさんに夢中で背を向けている怪物の背中に飛び乗り、背中の皮を掴んで登ろうとした。
だが、俺が背中に乗ったことに気付き、怪物が暴れている。
俺は必死にしがみつき、一歩一歩慎重に登った。
そしてついに頭まで到達し、頭の上から口に手を伸ばし、無理矢理に上顎を開けさせた。
ただ、まだ下顎が開いていない。
「ジェラルドさん! 手伝ってください!!」
俺はジェラルドさんに頼んだ。
ジェラルドさんは少し困惑していたが、すぐに怪物に近づいて、口にぶら下がり下顎を引っ張った。
怪物は口を大きく開いている。
「今ですマックさん!!」
怪物が両腕でジェラルドさんを掴もうとする。
しかし既に準備をしていたマックさんが呪文を速やかに唱え、怪物の口の中目掛けて炎の魔法を放った。
俺とジェラルドさんは炎の熱さに手を離してしまい、そのまま振り落された。
だが、この一撃は怪物には致命的だったらしく。
怪物は倒れ込み、もがき苦しんでいる。
「これで終わりじゃ。」
ルークさんがやってきて、そう言った。
まあ誰しも口の中に炎を放たれたら死ぬだろうな。
怪物は倒れながらしばらく暴れていたが、次第に動かなくなった。
「つ、ついにやりましたね!!」
俺は心から喜びの言葉を言った。
だがすぐにマックさんが返答した。
「いや、まだ雑魚が残っている。 もう一息だ。」
「あ、そうでしたね。」
そういえば雑魚たちがまだいたな・・・。
大物のことで頭がいっぱいだった。
俺らは、後ろで今も戦い続けている冒険者たちのもとへ走った。
ただ、マックさんとルークさんは歩いていた。
仕方ない。




