第二の人生
ガチではなく趣味程度に小説を書きますが、よろしくお願いします。
無計画で、よく考えもせずに、ノリだけで話を書きます!!
「ん・・・? あれ?」
気が付くと暗い空間にいた。
辺り一面真っ暗闇だ。
頭が痛い。
気を失う前に何をしていたか全く思い出せん。
その時だった。
「来てしまったか、少年よ。」
声の方向を向くと、まるでスポットライトのように上から光が差している場所があった。
そこにはローブを纏った少女が胡坐をかいて浮いていた。
「そんなところで寝ていないで、こちらに来んか。」
少女は手招きをして、そう言った。
突然そんなこと言われても、「はいそうですか」と従えるかよ。
こういう時は、まだ気絶してるフリをしよう。
「ええからはよ来い!!!」
少女は鬼のような形相で、持っていた杖を地面に強く何度も叩きつけたり、大きな舌打ちをしたりと、次第にどんどん不機嫌になり始めた。
これ以上はさすがに面倒なことになりそうであったため、仕方なく起き上がって、彼女の近くへと歩いた。
「たくっ、最初から言うことを聞きやがれ。 あん? おのれはどういう教育を受けたんじゃ?」
「「知らない人には付いて行くな」という教育です。」
「口答えすんなや!!」
余計なことを言わなければよかった。
少女は大きなため息をして、冷静に話し始めた。
「さてと、君はいわゆる『異世界転生』というものを始めようとしているところだ?」
「イセカイテンセイ・・・?」
「知らんのか? 小説や漫画とかであるじゃろ?」
「ああ、アレか・・・。」
と言っても、俺自身は読んだことは無い。
だが俺の友人とかが読んでいて、よく俺に薦めてくる。
正直俺は小説は得意ではなく、ジャンルも男と男が血を流しながら闘うようなバトル系少年漫画のような本が好きなため、あまり興味はない。
ん? 待てよ・・・。
友人の話では『異世界転生』というやつは、死んだ人間が異世界で新たに生活を始めたりする話だと言っていたような・・・。
・・・まさか。
「なあ、あんた。」
「「あんた」じゃない! わしには "パルフェ" という素晴らしい名前があるんじゃ!」
「パルフェ、俺ってもしかして・・・し、死んだのか・・・?」
自然と恐怖を感じ、ガクガクと顎が揺れながらも、なんとか言うことができた。
すると、5秒もかからないうちにパルフェは答えた。
「死んだ。 当然じゃろ?」
無慈悲。
せめて、もうちょっとシリアスに言ってくれてもいいじゃないか・・・。
色々なショックで膝から崩れ落ち、変な汗が出てきた。
「お前は顔だけでなく、死因も変じゃったな。 大好物の餅を調子に乗って食べまくり、喉に詰まらせて死ぬとは・・・。」
そうだ、思い出した・・・。
俺は餅を喉に詰まらせて、気を失ったんだったな・・・。
まさか死んじまったとは・・・。
調子に乗って2個食いなんかするんじゃなかった・・・。
「って、顔のことは言わないでくださいよ!!」
「本当のことじゃもん!」
最悪だ・・・。
確かに俺の顔はイケメンとは程遠い。
どちらかと言えば漫画とかで出る『ザコA』とかの顔の部類だ。
どうしよう、涙が出てきちまった・・・。
「そう泣くな。 これから素晴らしい第二の人生が始まるんじゃぞ?」
「第二の人生なんかクソくらえだ! 天国でも地獄でもさっさと連れて行きやがれ!!」
考えるより先に身体が動いてしまった。
それほど精神的に追い詰められていたのだろう・・・。
まあ、どうせ第二の人生なんかあったところで、大した面白みもない人生だろう。
「まあまあ、そう言うなや。 特別にお前に「素晴らしい力」も授けようというのだぞ?」
「・・・素晴らしい力?」
さっきまで暴走気味になっていたのに、「素晴らしい力」という単語に食いつき、すっと落ち着いてしまった。
我ながら情けない。
「そう! この力を使えば勇者、もしくは王様にでもなれるかもしれないのじゃぞ?」
「ほ、ほう・・・。」
「どうじゃ、やってみないか?」
俺はいわゆる不良ってやつだ。
不良と言っても授業は真面目に受けていた。ほとんどよくわからなかったが・・・。
ただ喧嘩を売ってくる奴がいれば、必ず買っていた。
朝起きて、学校に行き、授業を受けて、喧嘩をして、家に帰り、飯を食い、風呂に入り、寝る。
なんてつまらない人生だったのだろうか・・・。
だが、この第二の人生で夢のような生活ができるのではないか?
惜しむらくは仲が良かった友人たちとはもう二度と会えないことだな・・・。
だがそれは、死んだ時点で既にどうにもならないことであった。
「いい、かもしれないな・・・。」
「よっしゃきた!」
そういうとパルフェは胡坐をやめ、地面に足をつけて左側に歩き始めた。
数歩進んだところで止まり、持ってた杖で地面を2回軽く叩いた。
すると ボンっ! という音と共に煙が出て、煙の中からテレビとかでよく見る『回転式のダーツの的』が現れた。
「すまないな。 実は今回、君の他にも数名相手をしないといけないんだ。」
「え?」
「だから「素晴らしい力」はこのダーツで決めてもらう。」
「え? え?」
なにを言ってるんだコイツは・・・。
人ひとりの人生がかかってることを、適当に選ばせるなんて・・・。
「他にも数名」という言葉も引っかかるが、直後の言葉の方が衝撃的すぎてどうでもよくなった。
「貴様それでも人間か!!」
「わしはこれでも女神じゃ!」
「ええ!!?」
確かに普通の人間とは違うとは思っていたが・・・。
何故か俺、最初から敬語で話していたし。
「つべこべ言わずに、そこにある矢をさっさと投げろ。」
「え?」と思い右を見ると、いつの間にか小さなサイドテーブルがあり、上にはダーツの矢が一本置かれていた。
もうここまでくると、この程度のことでは驚かなくなってしまった。
「本当にこれで決めるのですか・・・?」
「さっきそう言ったじゃろうが! それともやっぱやめるか?」
「どうする?」みたいな感じの顔でこちらを見てくる。
完全に向こうのペースに飲まれてしまっている・・・。
「はぁ・・・、わかりましたよ。 ええい、こうなりゃヤケだ!」
「うっし! そうこなくっちゃ!!」
そういうとパルフェはダーツの的を回し始めた。
余談だが、的を回す際に小柄なパルフェではなかなかうまく回せず、5回目でようやく回すことができた。
成功するまで何度も頑張って飛び跳ねるパルフェの姿を見て、不覚にも初めて可愛いと思ってしまった。
「さあ、思いっきり来い少年!!」
的の横にいるパルフェが両腕を「カモン!」という感じに動かし始めた。
この一瞬で俺の人生が決まる。
俺は覚悟を決め、思い切り的に向かって矢を投げた。
矢は回る的にちゃんと刺さっていた。
徐々に的の回転が弱まってきて、最終的に完全に止まった。
するとパルフェが虫メガネのような物を取り出して、矢の刺さった部分を見た。
「ほう、これは・・・。」
「何になったんですか?」
俺が立っている位置からは、的に書かれた文字は見えなかった。
的には細かく色々書かれており、とても遠くからは読めるものではなかった。
「よし、お前に与える「力」が決まった。」
「一体なんですか?」
「それはな・・・。」
パルフェはにやけながら言った。
「それは実際に使って、お前自身で理解するのじゃ!!」
「はぁー!?」
突然の意味不明な発言に、思ったことが大きく声が出てしまった。
「お前は「力」という社会的有利な物を手にしたんだから、それくらいのハンデは必要じゃろ!」
「待てよ! そんな理不尽な・・・!!」
そう言ってパルフェに近づこうとした瞬間、足元が崩れ落ちた。
「うわああああああー!!!」
俺はさらなる暗闇の中に転落していった。
落ちながら、俺は気を失った。
気を失う瞬間、上からパルフェが俺にこう言ってきた。
「この先は自分の「力」で生き抜くんじゃぞ! わかったか、小板橋鷹哉よ!!」
小板橋鷹哉・・・・・・俺の名前だ。