知らない世界7
おやすやぁなレンドールは自室に戻ってお昼寝するらしいので私はルシフェルさんと2人でお茶することになった。厳密に言うならアリスさんもいれて3人何だけれどね
「そう言えばニナはさっきおやつの時間だったのかな?」
「うん。でもたべてないからへいきだよ」
「食べなかったの?」
「モエがほしいっていったからはんぶんあげてのこりのはんぶんはレンドールにあげたの」
「……そっか。じゃあお腹すいてるね」
「ううん、ないよー。でもおはなはたべるよ!」
「お花楽しみだね」
ハニーレディ超楽しみだよ!食用の花は元の世界にもあったけれど食べたことがない。普通に過ごしている間は滅多に見れるものではなかった食用のお花は生きてる内に食べずに終わる人もいるんじゃあないかな。私も食べる機会が無かったというのもあるけれど未知の食べ物を買ってまで食べよう、という気にはならなかった。その機会が今なら喜んで受けましょう!ただレンドールが言ってた砂糖を薄めた感じというのは記憶から消し去ろうと思います
おにいちゃんと他愛のない話をしているといつの間にか目的地に着いたみたいだ。無駄に長いなと思っていた廊下も苦じゃなかった。これもおにいちゃんの魔法なのかな
「ちょっと散らかってるかもしれないけどどうぞ」
此処はおにいちゃんの部屋らしい。……
「かみいっぱい!」
「いつもはもう少し少ないんだけど今日に限ってまた山のように…」
「かたづけなくちゃダメだよ」
「ニナ様もっと言ってください」
「ちょっとアリス、ニナに変な事吹き込まないでよ!」
「毎日片付ければこうはなりません。何度も申し上げておりますがどうにも効果が無いようでしたので。妹様の言葉なら少しは心が揺らぐかと」
「片付けてるって!」
「自分のお好きなものは、ですね」
「………」
意外にもルシフェルおにいちゃんは片付けが苦手なようだ。と言っても汚い訳ではなくて紙があちらこちらに山積みとなっているのだ。それさえ退かせてしまえば普通の部屋になると思うけれどその紙の山が至る所にあった。
「みてもいい?」
「いいけれどニナにはちょっと難しいよ」
近くにあった紙を手に取ってみる。その紙は数学の問題用紙だった。内容は中学生ぐらいかな。ルシフェルおにいちゃんが解くにはそれこそ難しいんじゃあ…さらに違う紙を見ると魔法について書かれた紙だった。ざっと目を通してみるけれど全然分からない。もう1枚、見てみると今度は数字の羅列がズラリと並んでいる紙だった。どうしてこんなにジャンル違いな紙がバラバラで山積みになっているんだろう。って片付けないからって言ってたね
「勉強する為に持ってきてくれるのは嬉しいけれど内容がバラバラで何処から手をつけていいか悩むんだよね。この山の中にはもう必要ない内容の紙も混ざってるだろうし、どうしようかな…」
バラバラなのは持ってきてくれるの人にも問題があるみたいだ。ここまで溜まっちゃうとやる気出なくなるよね、すっごく分かる。生徒会長の時に経験した。その度里穂に怒られて泣きながら書類整理したっけ。
「気になるだろうけどこの山は気にしないでお茶しよう」
「準備は出来ております」
私とおにいちゃんが紙の山を見ているあいだにアリスさんが準備をしてくれていたみたいだ。机の上にあった紙の山は隅の方の床へと形を崩さず移動している。形を崩さずにというのがポイント。どうやったんだろう。机には白色の汚れが一切ないテーブルクロスが被せられており、その上に可愛いティーカップ、ハニーレディが乗った小さなお皿、そして真ん中には焼き菓子が乗ったお皿があっていいとこのお茶会という感じだ。椅子に座るとアリスさんがティーカップに紅茶を注いでくれる。
「さあどうぞお姫様?」
「い、いただきます」
花弁を一枚手に取り恐る恐る口へと運ぶ。……これは、美味しいぞ……!口にいれると少しずつ花弁が溶けていく。その溶けた部分にはあまい味が残りそのあまさが美味しい。…そうだ、綿菓子に似ている!屋台とかで売っている綿菓子じゃあなくてスーパーとかで売っていたりする固形の綿菓子。あれだ!ふわふわというよりじゅわっと口の中で溶ける感じが病みつきになりそう。
「どう?」
「おいしい!じゅわってとけてあまいの!」
「喜んでくれたみたいで良かった」
「おにいちゃんもたべてーあっアリスさんもどうぞー」
「いえ私は」
「どうぞー」
「……頂きます」
「アリスも座りなよ」
「いえそこまでは!……お二人共からかうのはおやめください」
「からかってなんかないよ。ねーニナ」
「ねー。あ、そうだおにいちゃん。ここにあるかみ、いらないのちょうだい」
「いいけど、お絵描きでもするの?」
「ううんおべんきょうする」
と言った瞬間アリスさんとルシフェルおにいちゃんの背景に雷が走った気がする。え、なんか変な事言った?この世界では女の子は勉強せずに社交的な勉強だけするとか…
「ニナ、熱あるの…ってそうか。記憶喪失だったね」
「ニナ様の口から勉強という言葉が聞けるとは…感激致しました」
「お、おべんきょうしちゃだめ?」
「滅相も御座いません!淑女たるもの教養はあるに越したことはありません。さあどの分野のお勉強を致しましょう?この山からニナ様にあったものをお選び致します」
「うーんニナに出来るのあるかな?」
「あの、おにいちゃ…」
「どうしたの?」
「おべんきょう、したいけどね、ニナわからないこといっぱいるから…わからないことあったらおにいちゃんにきいてもいい?」
「……」
「ダメ……?」
「僕の妹可愛いなぁ…僕でこれだとノワール発狂するかも」
「おにいちゃん?」
「あーごめんね。ちゃんと聞いてるよ。勿論聞きにおいで。僕に分かることなら何でも教えてあげる」
「ありがとう!ルシフェルおにいちゃん!」
「それではまず魔法に関してお勉強致しましょう。ニナ様に教えながら本日起こった妖精様について調べることも出来ます。ニナ様とルシフェル様お二人の為になるいい案ですね」
「あー……」
「これで逃げられませんね」
「逃げてる訳ではないんだけどね…何をやっていてもあの庭のことが気になるんだよ」
好きなことは追求したくなるって言ってたのはこの事だったんだ。大好きな気持ちがあるから妖精様にお礼を言われるほど立派な庭が出来ている。好きな事には没頭しすぎて若干日常生活に支障をきたしているけれどそれ以上に凄いと思う。でもこの紙の山はどうにかしなきゃダメだよ。
「おにいちゃん。ニナ、おべんきょうがんばってレンドールとモエにやさしくなってとってもいい子になるからまたおにわにいきたいな」
最初は抵抗があったおにいちゃん呼びもこの短時間の中で違和感がなくなった。無意識のうちにこの世界に馴染もうとしているみたいだ。それは構わない。楽観的と言われても私にとってはいつだって今が大事なんだから。それでも少しだけ、前のいた世界が気になってしまうのはどうしてなんだろう。里穂が心配だから?最後の記憶がブラックアウトして終わっているから?分からない。気になるけれど分からないものは分からないんだから今はおにいちゃんとアリスさんとのお茶会を心から楽しもう