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知らない世界11

何事も無く部屋へと辿り着き時刻は漸く8時半になった。さあここから何をしようかな。そう言えばこの世界にきて目が覚めた時、周りを見渡して確認はしたけれど触ったりはしてないな。よし!決めたならば即行動。ベッドの近くにある棚を見てみるといろんな種類の本が並んでいる。一冊手に取ってみると中身は小学生が学校で習う内容がかいてある。中にはいくつものメモが貼られてありそこにはとても丁寧に問題を解くための解説が書かれてあった。


「来年から学園へと入られるニナ様へ旦那様からの贈り物です。ニナ様は勉強がお嫌いで手付かずのままそこに仕舞われましたが…」


アリスさんは本棚から一冊を手に取りパラパラと本を捲った。その本にもメモが貼られているんだろう。


「ニナ様に勉学を教えるようご指示を頂きましたが私では力不足でした」


パタンと閉じられた本を見つめてアリスさんは少し寂しいそうだった。……探索しようと思ってたのに


「なので今回ニナ様がお勉強をなされると聞いて安心致しました。ルシフェル様もノワール様も優秀な方々ですのでどちらがご教授なされるにしても得られるものはとても多いです。陰ながら応援しております」


「いまからおべんきょうする」


「え?」


「おふろへはいってしたくするのに30ぷん…よくてあと1じかんかな」


「ニナ様…」


「できるかぎりするのでほんもってきてくれますか!」


「は、はい。只今」


椅子に腰をかけて持っていた本を開く。何も書かれていないと言っても所詮小学生の問題集だ。本の厚みはそれ程ないし解くのには何の問題もない。後1時間ほどでどこまで出来るかは分からないけれどやれるだけやってみよう。ペンを片手にいざ!


「アリスさん。このめもをみてもわからなかったらきいてもいいですか?」


「……勿論にございます。ニナ様」





コンコンコンッ


「おねーーーちゃーーーんはいるよーーーー」


扉が開くとそこには声をかけてきたモエとレンドールがいた。扉を開けたユリヤさんとモエの従者さんは二人をここへ送り届けた後、後ほどお迎えにあがりますと言って出ていった。ユリヤさんたちは一緒に行かないんだ。ってそんな悠長に考えてる場合じゃあない。慌てて時刻を見ると9時30分だった。


「おねーちゃ…なにしてるの?」


「おべんきょう。ごめんね。まだおふろはいってない…」


「えーーまだなの?」


「すぐはいってくる、まってて。アリスさん、おふろはいります」


「はい」


アリスさんに抱えられてお風呂場へと向かう。集中してやったおかげで何冊かは最後まで解くことが出来た。それでもあと何冊あるんだと思うぐらい残っている問題集達に頭を悩ませる。解けると言っても書くスピードには限界がある。もっと効率がいい方法と考えても誰かに手伝ってもらうという一番最低な手しか思いつかなかったので諦める。のろのろと服を脱ごうとするとアリスさんが素早く脱衣を手伝ってくれる。


「ニナ様。…あまりご無理をなさいませんように」


「むりじゃあないです。メモがあるからかんたんにとけますよ」


本当はメモがなくったって解けるけれどそんな事は言わない。アリスさんが私の、ニナ様を思って書いてくれたメモなんだからそれを無下にするような事は言わなくていい。実際にあのメモはとても分かりやすかった。嘘は言ってない!






お風呂を上がって髪を整えてもらって部屋に戻った時には9時50分だった。思ったよりもギリギリになっちゃった。部屋の中には既にルシフェルおにいちゃんとノワールおにいちゃんもいた。モエ、レンドールはルシフェルおにいちゃんに絵本を読んで貰っているみたいでベッドに腰をかけて三人くっついている。ノワールおにいちゃんは先程私が勉強していた席に座り、解いて積み上げた問題集を見ていた。部屋に戻ってきた私に気がついたルシフェルおにいちゃんが此方へと微笑みかけてきた


「お邪魔してるよニナ。ちゃんと温もった?」


「うんぽかぽかするよ」


「おにいちゃんつづき!」


「はいはい」


お風呂に浸かっている間、アリスさんが頭を洗ってと時間短縮してくれたおかげで体はぽかぽか温かいのに早くお風呂に入ることが出来た。私に意識を向けたルシフェルおにいちゃんに続きを読めとモエが急かす。あーいいなー。こういう仲良し兄妹をみると心まで温まる。邪魔をしないように私はノワールおにいちゃんがいる机の空いた席に座り先程の続きへと取り掛かった。


「…父様と母様が帰ってきたら教えるよう門番に伝えてある」


「ほんとう?おにいちゃんありがとう!」


「いい。俺達が伝えなかったらどうするつもりだった?」


「…………なんにもかんがえてなかった!」


その後ノワールおにいちゃんは何も言わずただ呆れたような視線だけを向けてきた。しょうがない。だって5歳だもん。


「これは全部解いたのか?」


「そこにあるのはできたの、まちがってる?」


「いや今見た所は問題ない」


「よかった!……あ、ねえノワールおにいちゃん」


「何だ」


「しょくどうからおへやにかえってくるとき、ろうかであおいひかりみたの。なにかわかる?」


「青い光……?……それだけじゃ何とも言えない」


「そっかー……」


「詳細は私が」


アリスさんがノワールおにいちゃんの隣に跪き私の言葉の補足を丁寧にしていく。5歳の私の説明よりアリスさんが説明する方が伝わるだろう。二人が話しているのを横目に問題集へと集中する。本当にアリスさんが有能すぎて私堕落しそうだ。


問題集を一通りみてどんなジャンルがあるかは最初のうちに確認をした。国語、数学、理科は元の世界と変わらない。英語の代わりに世界言語というものがあり中身は英語、フランス語、イタリア語などのありとあらゆる言語の詰め合わせになっていた。マナー教養の本、一般教養の本がありこれらの本も元の世界と変わらずなのでこのまま行けば問題ない。むしろ歴史と魔法関係の本は大問題。何にも分かんない困った。今は量が大事という事でこの2つをスルーしながら他を終わらせていく。


「…という事が御座いました」


「ニナが巫……ならその青いのは狐火か…?」


「狐火、ですか?」


「光の魔法を使うルシフェルが妖精の加護をうけているように闇の俺は精霊で、巫の場合は妖怪になる。狐火はその一種だと思えばいい。…だがそれが事実かは分からない。俺も本で見ただけだ。巫の資料は圧倒的に少ない。最後にその資料に情報が追加されたのは数百年も前だ」


「妖精や精霊の話は昔話などで聞かされていましたが実際にこの目で見たのは初めてでした。聞いたこともない妖怪、ですがそれも存在するかも知れませんね」


「ただ妖精や精霊が俺達に力を貸してくれる存在でも妖怪がそうだとは限らない」


「その時には私がニナ様をお守り致します」


「父様と母様にも報告する」


「畏まりました」


ノワールおにいちゃんとアリスさんが難しいお話をしている中私は黙々と作業する。ちゃあんと聞かなければいけない話なんだろうけれど魔法の基礎さえわからないので今はパスします。分かるようになってきた時、二度手間にはなるけれどアリスさんに説明をお願いしよう


「凄いねニナ。全部解いちゃったの?」


「ルシフェルおにいちゃん!」


「へぇこれアリスが書いたの?すごく分かりやすい」


「うん!だからすぐできたの」


「身に余る光栄です」


「モエとレンドールは?」


「絵本を読んでる途中で寝てしまってね…ニナのベット借りてるよ。いいかな?」


ベッドを見るとモエとレンドールが仲良く並んで寝ている。10時なんて良い子は寝る時間だもんね。パパママが帰ってきたら起こしてあげよう。


「いいよ」


「ありがとう……歴史と魔法はやらないの?」


「…………」


「僕が言うのも何だけど好き嫌いしちゃ駄目だよ」


「すききらいじゃあないもん。できるのからやってるの」


「じゃあ次は歴史をしようか」


そう言って次に手をつけようとしていた算数の本を閉じられ、代わりに歴史の本を置かれた。


「うぅ…」


「分からなければ教えてあげるから頑張って」


「はあい…」




結論から言うならば楽勝だった。勝因は内容が小学生向けだったこととアリスさんのメモ。歴史なんて覚えてしまえばこっちのものだ。それにその問題集は歴史のあれこれを書かれてあるページを捲ると、そこには前ページの中から問題を出題がされている、といった形式であった。ページを捲れば答えが乗っているようなものだ。余裕で回答できた。それにアリスさんメモが凄かった。歴史を覚えやすいように語呂合わせやちょっとしたエピソード等などが書かれてあり頭に残りやすくなっていた。お陰でルシフェルおにいちゃんの手を煩わせることなく最後まで解くことが出来た


「できた!」


「出来ちゃったかー…」


キチンと出来たのにも関わらず残念そうにするルシフェルおにいちゃん。その反応は酷いですよ!


「このまま魔法のお勉強もしようか」


「俺がする」


「だからいいって」


「ま、まほうのおべんきょうはまたこんどにするの!」

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