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226:【STRADA】ガラスの同盟、成立

前回までの「DYRA」----------

西の都アニェッリの大公アンジェリカとの話が終わると、次の相手は錬金協会のエルネストだ。そう。マイヨと居酒屋で出会った人物だ。だが、この男の正体こと、何と探していたキエーザだった!


 個室にふたりだけになった。

「本当にまとめたねぇ。これで取り敢えず、反撃の足場作りはできつつあるってことか」

 マイヨは他意などなく、褒めた。

「ああ。忘れないウチに。DYRAたちはどこにいる?」

 RAAZが問うと、マイヨの金銀の瞳が僅かな間、緑色の輝きを放った。

「そろそろルガーニ村って場所あたりだね」

「わかった」

 RAAZが口角を上げた。

「それにしても、大公サン、戦争で文明を進めるとか、恐ろしい言葉を言ってくれたな」

「彼女は政治家だ。ある意味、良くわかっているってことだ」

 RAAZはここで、溜息にも似た深い息を漏らした。疲れからなのか、違う理由なのか、マイヨはとっさに想像できなかった。

「そうだ。昼間、ディミトリが尋ねてきた」

「えっ?」

 思わぬ言葉に、マイヨは目を丸くした。

「アイツ、何て?」

「いきなり会長で、オロオロするばかりだった」

「ええっ? あはは」

 マイヨは笑い出した。ひとしきり笑ってから、告げる。

「ディミトリ、すごい嫌われているんだな?」

「そりゃそうだろ。あんな、意識だけ高くて実力が追いつかず、ツメが甘いガキ」

 RAAZは当然だろうと笑みを漏らした。

「見捨てないだけ私は優しいつもりだ」

「でも、情からじゃないんだろ?」

「もちろん。ハーランに取り込まれたガキの末路は楽しみじゃないか」

「性格悪いなアンタ」

「最初はお前に取り込まれたガキの末路、くらいに思っていたけどさ」

「ひどい言い方だな。けど、実際、ハーランに生体端末をパクられていたわけだし、奴が表だって出てきていなかったときなら、そう思われても仕方なかったか」

 今度はマイヨが深い息を漏らす。

「心配か? あの小娘が」

「ん?」

 唐突なRAAZからの問い。マイヨは敢えて返事をしなかった。

「あの双子は、私もノーマークだったからな」

「どうして? あのレンツィとかいう家、錬金協会は目を付けていたんだろ?」

協会は(・・・)、な。私がそんな些末なことを一々見るか。ガキのオヤジがあそこに一度現れたと情報が出た。そのときは、リマたちと最終的に利害対立になるとわかって、双方が深入りする関係にならなかった時点で捨て置いた」

「ま、ハーランが動かした生体端末と接触したときに双子の兄貴は突っぱねた。行政官は組みたかったから兄貴を殺した。内輪もめにしちゃ、エゲツなかったからな。そんな愚民共の欲望の坩堝だ。一々見てられるか。それだけだ」

 RAAZが愚痴でもこぼすようにそう言っているとき、その容姿がモーフィングのような動きで銀髪銀眼からレンガ色の髪とルビー色の瞳へと変化していった。マイヨはRAAZがサルヴァトーレへ変化していく様子を見ながらも、切り出す。

「RAAZ。欲望の坩堝って話が出たついでだ。ハーランの家捜しの続きと、ピルロであとひとつ確かめたいことがある。さっきやろうとしたんだけど、邪魔が入ったからね」

「ピルロでお前を邪魔するヤツがいたって?」

「ああ。まぁ、子犬君だから仕方がなかったけど。アンタはこれからDYRAを追い掛けて東側へ行くんだろ? 終わったら俺も追うから」

 マイヨは言い終わると、部屋の衝立を退かしてから、そのまま部屋を出た。


改訂の上、再掲

226:【MORTE】レッドラインの設定 2022/03/14 20:00

226:【STRADA】ガラスの同盟、成立 2023/02/08 14:43



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