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146:【Pirlo】陰謀も思惑も関係なく、ピルロの人々は復興にいそしむ

前回までの「DYRA」----------

ピルロからマロッタへ戻っていたディミトリは、ピルロで何が起こっているのか真実を知りたいと思う。

そこへ、サルヴァトーレが現れ、厳しい忠告を置いていく。

 街が焼失してからすでに一一日が過ぎた。

 この日もピルロの街で生き残った人々は、朝早くから街を再建するべく奔走していた。男たちは瓦礫を撤去したり、家や店などを建て直したりしている。女たちも軽作業にいそしんだり、食事を作ったり、医者の手伝いをしたりと、ケガ人や子どもたち以外で表立って暇そうにしている者は皆無に等しかった。

 時計台に掲げられた時計の針が一一時に迫っている頃、広場だった場所の一角で、救援物資で届けられた食べ物の仕分けを行っている三人の女性たちの姿があった。

「お嬢さん、大丈夫? ここ数日、ずっと頑張ってくれているけれど」

 まず声を出したのは、箱に入ったライ麦パンを籠に移して大八車に乗せている、すっかり白髪ながらもおかっぱ頭の老婆だった。

「大丈夫です。もう慣れましたし」

 答えたのは、毛糸の帽子を被った若い女性だ。帽子から出ている毛先から、ショートカットなのがわかる。

「そんな細っこい身体で、無理しちゃだめよ?」

「はい」

 若い女性が作業用の分厚い手袋を填めて、麦や野菜が入った袋を慣れない手つきで荷馬車の荷台から下ろしていた。女性のブラウスも裾の長いパンツもすっかり土や埃にまみれて汚れているが、気にする様子はない。そんな若い女性の様子を、ブルネットの髪をハーフアップにした、若い女性と比べると年上と言った感じの女性が心配そうに見ながら、荷馬車の荷台から水が入った瓶を次々下ろして、大八車に乗せている。

「お嬢さん。今日も悪いけど、向こうで大仕事している連中に、これを配っておいておくれ」

 おかっぱ頭の老婆が、パンと水を積み込み終わった大八車を指差した。

「わかりました」

「私も手伝いますね」

 三人目の年上女性だった。

「ああ、そうだね。こんな細っこいお嬢さん一人じゃ重いからね。頼むよ」

「お嬢さんは、後ろから必要なときに押して下さい」

 年上女性がそう言うと、大八車を引いて、かつての繁華街があった方へと歩き始めた。若い女性が後を追うようについていく。

「あの、私が引きます」

「大丈夫ですよ。後ろから、押して下されば」

 二人の女が大八車を動かしていく。広場から離れ、周囲に人の姿が見えなくなったところで、年上女性が大八車を引くのをやめた。

「私、もう慣れているから本当に、大丈夫です」

 ずっと引いていて疲れただろう。若い女性がそんなことを思いながら駆け寄り、もう一度声を掛けたときだった。

「お嬢さん……アントネッラ様ですね?」

 それは、先ほどまで話していたときとは違う、低い、落ち着いた声だった。年上女性が他に聞こえないよう、小さな声で切り出した。

 若い女性は自らの正体がアントネッラだとバレてはまずいと、とっさに自分の口元に人差し指をやって、静粛を求めた。年上女性はわかっていると言いたげに頷く。

「大丈夫ですよ。最初からわかっていて、お側に来ましたから」

「えっ? そうだったの?」

「ええ。実は私、ピルロの様子を見に昨晩から来ました。知り合いから頼まれて」

「お知り合いって、ピルロに住んでいるの?」

「いいえ。でもピルロがこの状況でも、『行く』って」

 アントネッラは女性の返事を聞いてピンと来る。住民でない人間がこの時期に様子を見に来たと言い、おまけに知り合いは住んでいない。知り合いが誰のことか、推して知るべしだ、と。マイヨと一緒にいた、あの少年だろう。

「それにしても、アントネッラ様がどうしてこんなところに?」

 質問に対し、アントネッラは安易に答えてはいけないかもと直感する。

「だって、助け合わなきゃ。皆大変なのよ? ピルロのために私だって」

 アントネッラは小さく首を横に振ってから、もう一度、口元を人差し指にやった。そのとき、短い間ではあるが、トパーズブルーの瞳が真っ直ぐ年上女性を見つめた。

「もし、私のこと、その、名前とか聞かれたら、『ルキーナ』って言っておいて下さい」

「では、街の普通の人としていらしたときは、『ルキーナさん』とお呼びしますね」

「お願いします。あの、私、あなたのお名前を聞いていませんでした」

「私はロゼッタです」

 ロゼッタと名乗った女性にアントネッラは少しだけ笑顔を見せる。

「ロゼッタさん、ですね。よろしくお願いします」

 ひとしきり話を終えると、二人の女は再び大八車を動かし始めた。やがて、視界の先に、かつて繁華街だった場所で建物の瓦礫を退かしたり、建て直しを始めたりしている男たちの様子が見えてきた。

 せわしなく作業をする男たちがハッキリと見える位置まで来たところで二人の女は大八車を止めた。アントネッラは瓦礫撤去や再建作業を行っている一角まで行くと、声を掛けた。

「お疲れ様です。お食事です。本当に、ありがとうございます」

 男たちが振り返る。そして大八車の周囲に集まり始めた。

 ロゼッタが大八車からパンの入った籠を下ろしていき、アントネッラが一つ一つ、男たちへ配っていく。

 男たちが次々とアントネッラからパンを受け取り、大八車から水が入った瓶を一本取ってからその場を離れると、それぞれの作業場近くに腰を下ろし、早速美味しそうに頬張った。

「あの二人、見かけないなぁ」

「若い子はこの数日見かけるけど、それにしても行儀良いなぁ」

「俺たち全員に挨拶しているし」

「毎日ああいうお姉ちゃんたちがメシ持って来てくれりゃ、頑張り甲斐があるってもんだ」

 聞こえてくる会話にアントネッラがそっと耳を傾ける。その矢先。

「──何しやがんだゴラァッ!」

 声に続いて、奥の方から何かが崩れる音が聞こえてきた。響きから、ちょっとした小競り合いなどでないことが誰の耳にもわかるほどだ。

「ったく、何やってんだよ!」

 パンを食べ終えた男たちが次々と音のする方へと走り出していく。

「一体何が」

 アントネッラも様子を見ようと走り出そうとしたが、男の一人に肩を強く掴まれ、止められた。止めたのは、中年の大柄な男だった。

「お嬢ちゃんはダメだ! あっちは前の、貧民窟があった場所だ。とんでもない野郎共がいっぱい集まっている。若いお嬢ちゃんなんかが行ったら何されるかわからない!」

 中年の大柄男が見た目に似合わず少年を思わせる若々しいハリのある声で言うと、すぐさまアントネッラの傍らにいたロゼッタにも声を掛ける。

「おばちゃん! 彼女連れていったん戻って! 何があったかちゃんと教えるから!」

 ロゼッタが「お願いします」と言いながら、アントネッラの手をそっと掴んだ。中年の大柄男はまだその場に残っている、パンを食べ終えたばかりの二人の作業仲間らしき若い男たちをギロリと見る。

「行くぞ!」

「へい!」

「おう!」

 中年の大柄男は、仲間二人を連れて騒ぎの中へと向かっていった。

 男たちが皆この場からいなくなったところで、アントネッラがロゼッタに声を掛けた。

「皆さん、優しいんですね」

「ピルロには良い住民がいて、街を見捨てないとわかっただけでも、良かったじゃありませんか」

「ええ。そうですね」

「さ、アントネッラ様。あの人が言って下さったように、いったん広場の方へ戻りましょう」

 二人は空になった水の瓶を積んだ大八車を引いて、広場の方へと戻った。


 騒ぎの舞台となっていたのは、焼けた跡が激しい、瓦礫の山と化したかつての貧民窟だった。チンピラかゴロツキのような四人組が蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、背の高い、黒い服に黒の毛糸の帽子を目深に被った男が彼らの後ろ姿を見送っていた。

「面倒だな。帽子も、この冴えない服も、まだ脱げない、か」

 背の高い男が帽子を僅かに上げた。金色と銀色の、左右で異なる色の瞳が露わになる。マイヨだ。

「ったく。ケンカで無駄な時間を使わされた、か」

 そのとき、遠くの方からばたばたと足音が聞こえてくる。

「さて」

 これ以上、時間を無駄にしたくないとばかりにマイヨは走り出した。

 たどり着いた場所は、瓦礫の山が続く貧民窟の中の一番奥だった。

(確かここのはず)

 マイヨは周囲を見回した。そこは周囲の他の景色と比べて、ひときわ真っ黒だった。

(あーあ。派手に燃やされたってことは、火元はここか?)

 かつて建物があったその場所へ、マイヨはゆっくりと足を踏み入れた。

(これじゃ証拠隠め……)

 足下で、軽いがそれなりに固そうな何かを踏んだ音が聞こえた。身を屈め、踏んだものの正体を確かめる。

(樹脂製のものが焼けた跡、か)

 原形も留めていない、それどころか黒飴のようになった焼け焦げぶりに、マイヨは納得と言いたげな表情をしてから、表情を硬くする。

(RAAZめ。『文明の遺産』の証拠を隠すために徹底的に焼いたってことか。それはいい。そもそも、今日のお目当てはそれじゃない)

 マイヨが知りたいのは、ここで『人捜し屋』という奇妙な商売をしていたハーランがどうやってここに機材を搬入したのか、いわばそのルートだ。マイヨは手袋を取り出して填めると、瓦礫や焼け焦げて炭の塊になったものを丁寧に退かしながら、床まで探る。しかし、期待していたようなものは何一つも見つからなかった。誰かとやりとりした痕跡から隠し扉の類まで、何も出てこない。

(こうなったら)

 人に聞くしかない。ここに何かを持ち込んだ誰かがいるか、と。知ってか知らずか手を貸した人物は必ずいるはずだ。

(あ、そっか。地元民みたいだし、さっきのあのオニーサンたちに聞くか)

 ここで見るものはもうない。マイヨがこの場を後にしようとしたときだった。

 三人組の男たちが歩いてくるのが見えた。マイヨはやり過ごしたいと思うが、一番激しく焼かれた場所故か、隠れられそうな場所を見つけられない。

(仕方ない)

 マイヨは帽子を目深に被って相手から自分の目元を見えにくくする。それが済むと、何食わぬ顔で焼け跡あさりのフリをした。

「おい!」

 若い少年らしき声が聞こえてくると、マイヨはゆっくりと顔を上げた。振り向いてみると、中年の大柄男と、二人の中肉中背の若い男、合わせて三人の姿があった。

「声は向こうの方だったから、ないとは思うが、このあたりでケンカしている奴とか見かけなかったか?」

 中年の大柄男だった。見た目に似合わぬ若々しい声にマイヨは内心驚きながら、質問に対しては無言で三人組が来た方向と反対側を指差した。

 中年の大柄男が連れの二人にマイヨが指した方向を指差して指示すると、二人が様子を見に走り出した。

「少し、良いか?」

 大柄男がマイヨに改めて声を掛けた。マイヨは知らないが、この人物は先ほどアントネッラを彼女と知らず、現場に来ることを止めた人物だ。

「若いな。それに、見かけない顔だな」

 マイヨへ少しだけ近づきながら大柄男は少年のような声で話を続ける。

「ここに何があるかお前、知っていて、わかっていて家捜ししているのか?」

 大柄男の質問の仕方に、マイヨは彼が断片的でも何か知っていると直感する。どういうやりとりをすれば上手く聞き出せるだろうか。マイヨは考えながら答える。

「『多少なりとも知っている』と言ったらどうするんだ?」

 マイヨは大柄男を鋭い視線で真っ直ぐ見て答えた。

「知っているんだったらなおさら……って、ンだぁ? あの胡散臭い『人捜し屋』を調べているのか?」

 大柄男からの質問に、マイヨは内心、当たりを引いたと確信する。男の目の動きを注意深く見つめ、マイヨは頷いた。

「兄ちゃん。ワケアリか? 見た感じ、焼け跡の火事場泥棒でもなさそうだし」

 マイヨの目に、大柄男が嘘をついているように見えなかった。だから聞いてみることにした。

「そういう、ここを知っているアンタは何者なんだ?」

 大柄男がマイヨを何秒かじっと見つめ、考える仕草を少しの間してみせてから話を始める。

「俺は元々、市庁舎で働いていた。一応、出納係長だ。けど、互助会、まぁ困りごとがあった市民の相談窓口も仕切っていたんだ。今は夜、自警団を組んで見回りもやっている」

 マイヨが視線で続きを促した。

「で、本題、ここ絡みの話だ。繁華街の一角で胡散臭い『人捜し屋』の仲介をやっている奴がいると評判になった。『人捜し屋』は貧民窟の一番奥にあって百発百中ってな」

 大柄男が思い出しながら、ぽつりぽつりと話す。

「続けて」

「俺が最初に知ったきっかけは、法外な料金を取られたって市庁舎に訴えてきた市民が何人もいたからだ」

 マイヨはここで、手で話を制止する仕草をした。

「法外な料金? 俺のときは仲介屋にいくばくかカネを払っただけで、ここではタダだった」

「そうなのか!? 俺のところに来た相談じゃ、安い客でも一〇〇アウレウス、ときには三〇〇とか五〇〇ってのもいた。気になるんで利用したことある市民を探し出して聞き取りもやった。カネをその場で払えなかった市民を見つけて話も聞いた。借金のカタか何かのように家やら店の権利を奪い取られたとか、最悪、利用したらしい親戚が帰ってこなくて数週間後に山の中腹で死体となって発見されたって」

 金貨五〇〇枚は確かに法外だ。マイヨはこの男の話を最後まで聞くことにした。

「ある夜、俺は実態調査しようと物乞いになりすまして張り込んだ。客は入口の扉越しにやりとりして、水を一口飲むくらいの時間でその場を去った。何人か見守ったが、失望したって風の客はいなかった」

「それで」

「何日か続けて雨が降った夜、雨宿りのフリをして中の様子を見ようと入口の脇まで近づいた。そうしたら地元の奴らに脅されちまった」

 大柄男の話に、人捜し屋を利用したときに身の危険を察知した自分の感覚は何も間違っていなかったとマイヨは納得した。

「それからもう何日か張り込んだ、ある夜明け前、髪の長い男が人目を避けるようにやってきた。中へ入るとすぐ出てきた。入ったときと違って、大きな麻袋を持っていた」

 髪の長い男と聞いて、マイヨは不快感を抱きつつも、重要な情報を手に入れたことを喜んだ。

「その後は?」

「出てくると、ここの地元の奴らが群れるように集まってきた。長髪の男が麻袋からカネを配って、集まった奴らもその男も立ち去った」

 大柄男が言ったときだった。

「誰もいませんぜ!」

「静かなもんでした」

 大柄男に言われて様子を見に走っていた若い男二人が戻ってきた。

「ちょうど良い。お前ら、ここ絡みの話、知っていることあったらこの兄ちゃんに教えてやれ」

「ここ、っすか」

 中肉中背の男の一人目が考え込む。

「あー」

 二人目の男が思い出したような声を出すと、話を始める。

「アニキが前に話してくれた、ここに何度か出入りした髪の長い男」

「お前、知っているのか?」

「信じてくれるわけないと思って、同僚とかには話していないことがあって」

 全員の耳目が一気に二人目の男へ集まった。二人目の男は、剃り残した無精髭を少しだけ撫でながら話を始める。

「あいつアレッポの野郎と会っていた」

「え!?」

「何だそれ!?」

 驚く面々とは対照的に、マイヨはある一言に注目しつつ、冷静さを保つ。

「あれは一年近く前だ。あの日は夜回り担当で、明け方、偶然物陰から見たんだ。アレッポの野郎が話しながら、髪の長い奴に深々と頭を下げていた」

 大柄男も一人目の若い男も、話をした二人目の男を、どうして今まで話さなかったのだとでも言いたげに見つめている。マイヨはすぐさま、このまずい空気を断ち切りに出る。

「ちょっと待った。アンタら、いや、君たちも皆、市庁舎の人?」

 マイヨの質問に、大柄男が即答する。

「こいつらは俺の部下で互助会の相談係。何日かに一回、市庁舎の夜回りをやってくれていた」

 ピルロの市庁舎の人間。これまで聞いた話も信憑性がそれなりにあるとマイヨは判断する。

「話は続きがあって」

 二人目の男が言った途端、全員の視線がその男に集まる。マイヨは大柄な男たちが興奮して飛び掛かるようなことになったら、話をしている男を守ろうと心を決めた。この中で一番有力な情報源になりそうだからだ。

「……な、何でも、アニェッリから都の座を奪い取るとか、ルカ市長と錬金協会のあの会長を吊し首にするって、俺、聞いちまって、怖くなって」

 話したところで、二人目の男が膝を半分ほど落としてしまう。その様子に、場の空気が一層硬くなる。しかし、マイヨは空気に流されない。現時点ですでにいくつかの情報が手に入った。この彼からはまだ聞き出せることがあるはずだ。そのためにも、怒りにまかせた発言を許して場の雰囲気を壊すわけにはいかない。

「そんなことを聞いたら確かに怖いな。それに、あの若い市長サンを吊し首なんて、信じられないだろうよ」

 場の空気を整え直すように、マイヨは二人目の男の肩にそっと手を置いた。

 二人目の男が小さく頷いたときだった。

「ってことは……」

 大柄男が視線を泳がせながら言いにくそうに切り出す。

「ルカ市長が亡くなって、次は」

「アントネッラ様は大丈夫なのか!?」

 聞き役だった一人目の方が反射的に口にする。マイヨは冷静に三人の様子を見る。

「おい」

 話の流れを戻そうと、冷静な口振りで言葉を発したのは大柄男だった。

「……そうだ、兄ちゃん。どうして、何しにこんなところへ? 俺も、こいつらも話したんだ。あんたも話せや」

 大柄男の見た目と少年のような声のギャップ。マイヨはやはり慣れないな、と思いながら聞いた。

「俺は調べに来たんだ。ここで怪しげな商売をしていた『人捜し屋』とやらが『どうやって』相手の特徴を聞いただけで人捜しできたのか、そのからくりをね」

 マイヨの言葉に、三人の男たちが少しの間、目を点にして黙り込む。やがて。

「言われてみれば……そうだ。確かにおかしい!」

 そう言ったのは、大柄な男だった。マイヨは「何もおかしくないだろう」と返しそうになるが、堪えた。ここの文明では人工衛星を使って探すことなどできない。同時に、彼らの興味を引くことができた以上、この流れなら味方にできるかもと計算する。

「なぁ。その、からくり探しの話、俺らに手伝えることはあるか?」

 それまでほとんど話さなかった、一人目の男だった。

「もしあるようだったら、そのときに言うよ」

「本当に、もしできることがあったら言ってくれ」

 大柄男だった。

「あんた名前は? 夜とかどの辺にいるんだ? 俺はパルミーロ。こいつはマッティア。話してくれたこいつはジャンニ」

 名前を聞かれたマイヨは何と名乗ろうか考える。今ここで本名を名乗るのは得策ではない。

「俺、サルヴァトーレ」

 名乗りながら内心、本物がここに来ることはないよな、などとマイヨは苦笑した。


146:【Pirlo】陰謀も思惑も関係なく、ピルロの人々は復興にいそしむ2025/07/01 00:08

146:【Pirlo】激突! 復讐v.執念v.陰謀(0)2020/05/11 20:00



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 緊急事態宣言は延長戦と言いつつ、もしかしたら週末に一部が解除されることで一抹の不安を感じずにはいられない今日この頃ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。


 今回もお読み下さり、心から感謝いたします。ありがとうございます。

 ブックマークしてもらえたり感想とかいただけるととっても嬉しいです。


 C98の新刊、DYRA7巻。

 次回5月17日のエアコミティアでも、BOOTHで頒布しておりますので、是非よろしくお願い致します。

 なお、6巻まででしたらメロンブックスさんでも取扱がございます。


 トリプレッテ。

 鋭い人は今回のエピソードでそれが何か、何となく程度にはわかっちゃったかも知れません。わからなくてもそれはそれで何も問題ないです。

 それにしてもRAAZの考えなしっぷりに呆れ果てる方が先かも知れませんけどね。ふー。


 これからも応援どうぞよろしくお願い致します。


 次回の更新ですが──。


 5月18日(月)予定です!

 日程は詳しくはtwitterでお伝えします。よろしくお願いいたします。


 次回も是非、お楽しみに!


 愛と感謝を込めて


 ☆最新話更新は、「pixiv」の方が12時間ばかり、早くなっております☆


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