103:【PIRLO】ハーラン。それがもう一人の姿なき登場人物
前回までの「DYRA」----------
タヌと合流できたDYRAは、街に火を点けて回っているのがRAAZであることを突き止めると、止めさせるべく後を追った。一方、レンツィ家の地下室までたどり着いたRAAZは、アントネッラからピルロとレンツィ家にまつわる真実を聞いていた。聞き終わったそのとき、思わぬ乱入者が現れた。
「──どうせアンタはここで死ぬんだから。教えてあげるわよ」
アントネッラと呼ばれた女の、開き直りにも似た声が二人の耳に飛び込んだ。
「──お兄様なんて、とっくの昔に死んでいるのよ?」
DYRAとタヌは、聞こえてきた内容に互いの顔を見合わせた。とりわけタヌは、まさかそんな言葉が聞こえてくるとは夢にも思わなかったとでも言いたげな表情だ。
「──アレッポは、私を殺そうとして、間違えて片思いだった大好きなお兄様を殺すんだから、ホントにバカよねぇ」
心底から楽しそうに笑いながら暴露したアントネッラに、赤い外套の人物は取り立てて反応を示すことはなかった。
「──身体が弱い妹を演じていれば、市民の同情を集めるのだって、とっても簡単だったわ。ホント」
「──それで、やったことはさしずめ、『ホムンクルス詐欺』といったところ、か。真実を知る人間たちに『兄を復活させるための材料集め』と称して、実は自分の野望に邁進、と」
聞こえてくる男の声は、アントネッラが話したことなど興味もないと言わんばかりだった。
「──けど、ピルロをここまで発展させたのはお兄様じゃなくて、この私! だから、私はピルロのために永遠に生きる必要があるのよ? わかる?」
「──それで、私の可愛いDYRAを?」
「──ちょっ! ラ・モルテを『私の可愛い』って、アンタ変態?」
アントネッラの人を小馬鹿にするような言い方は、普通の男が聞けばイラッと来るそれだ。だが、相手が相手だ。通用する気配は微塵もない。物陰で聞いているタヌは心底からまずそうな顔をした。
「──『ホムンクルス詐欺』だけじゃ飽き足らず、永遠の命を望んで『賢者の石詐欺』まで、か」
赤い外套の人物はそう言って、地下室の中央に置いてある、大型のガラス容器とその中身にちらりと視線をやった。
タヌも、大きなガラス容器の存在に気づき、そちらを見ようと顔を上げようとしたときだった。
「!」
「静かに」
タヌの口元を後ろからDYRAがとっさに塞いだ。
ガラス容器の中身は、人間だった。
今まさに、勝ち誇った声で話をしている女とほぼ変わらぬ顔立ちを持った背格好の男──ルカレッリ──だった。
「──覗き見に来た錬金協会の悪趣味な奴を処分したとき、ラ・モルテと評判が立った女がいたのはすぐにわかった。あのとき、門の前、一番前で見ていたのがバルコニーから見えたもの。だから、今日せっかく捕まえたのに」
アントネッラがそこまで言うと、独白劇場はもういいとばかりに、赤い外套の人物が大剣の切っ先をアントネッラへ向けた。
「──せっかくだ。キミの話を聞いてやった私の質問にも答えてもらおうか?」
「──はぁ?」
「──昨日の夜だかに爆発だか崩落した山の……そう、プロパンガスと、窒素を使った製氷技術、それに、布の大量生産をするための紡績工場の基礎技術。これらをキミたちに提供したのは、誰かな?」
「──あら。錬金協会の嫉妬? バッカみたい。魔法の泉も氷も、紡績も、全部ピルロの皆が必死になって考え出し、産み出したのよ? 言い掛かりはやめてくれないかしら?」
アントネッラの口振りに動揺が浮かんでいるのが、物陰から聞いているDYRAとタヌの耳にもわかる。
「──嘘をつくのは良くないな? ガスを発見してから、樽に収めるのはどうやった? ロクに技術もない上、しくじったから山で事故が起こった。大方、考えなしに気でも紛らわそうとタバコでも吸ったんだろ? 閉ざされた空間ではガスが充満される。そこで火をつければ、見事、木っ端微塵だ。おかげで証拠も満足に見つけられなかった。だが、逆にそれで私は確信した。ガスの恐ろしさを知らない者が、無神経なことをしたのだろう、と」
アントネッラの表情が硬くなったのがDYRAとタヌのいる位置から見えた。
「──だからわからせるのも兼ねて、報復にはこちらもキミたちの魔法の泉こと、ガスを使わせてもらった」
「──火をつけて回ったのは、アンタなわけ!?」
「──ああ」
言いながら、赤い外套の人物は、ポケットから小さな何かを取り出した。片手の中に十分収まる程度の四角い小さなものだった。先ほどから街灯の足下の樽に投げつけ、火を放っていたものだった。時代が時代なら、「使い捨てライター」と呼ばれていたものだ。そう。樹脂製の容器の中に入っている液体は他ならぬ、液化されたプロパンガスだ。
「──街はある意味、プロパンガスが充満しきっていた。幸い、街灯の下で考えなしにタバコを吸ったり、密室で琥珀をこする、つまり静電気を起こすバカがいなかったのが救いだった。たったそれだけだ」
プロパンガスが漏洩しているところに火をつけても、それだけでいきなり大爆発するわけではない。それは技術が発達し、小さな容器に大量のガスを圧縮充填できるようになったことで発生するようになった事象だ。圧縮充填でないなら、ガスの量に応じた規模の火が出るだけのことだ。
DYRAはそっとタヌの口から手を離した。
タヌは、彼らが何を話しているのかさっぱりわからないと言った感じでDYRAを見る。DYRAは耳打ちする。
「先ほどから投げていた小さなものが具体的には何かまではわからない。けれど、あの中に街灯の樽の中身と同じものが入っていたんだ。その小さいものはどうも、簡単に火を点ける道具らしい」
タヌは目を丸くし、口を大きく開けて驚きの仕草をしてから、大きく首を縦に振った。
「──答えてもらえなかったことは、自ずと答えが出るだろう。ではアントネッラ。話は終わりだ。あの世で兄様と戯れていろ」
ここまでのやりとりをすべて聞いていたDYRAとタヌはもう一度顔を見合わせ、互いの顔を見て、頷いた。
「止めろ!」
物陰に隠れていたDYRAが立ち上がり、姿を見せた。タヌはDYRAの足を引っ張ってはいけないと身を屈めたまま片隅の方へ移動する。
アントネッラがDYRAを見た。
「ちょっとアンタ、ラ・モルテなんでしょ? 何とかしなさいよ、この変態男」
アントネッラが言い放った、まさにそのときだった。
「DYRA!」
名前を呼ぶのが早いか、銃声のようなものが聞こえるのが早かったか、赤い外套の人物はDYRAの手を掴んで彼女を引き寄せると、庇うように身を屈めた。同時に赤い花びらの嵐が二人の周囲に舞い上がった。
「RAAZ!?」
一瞬の出来事とはまさにこのこと、としか言い様がなかった。
DYRAと赤い外套の男の側に、たった今までそこにいたはずの、明るい金髪の女が倒れていた。右肩に焦げ跡のような大きな傷跡がついており、服は血だらけだ。
「えっ……ええっ」
一体何が起こったのだ。物陰から隠れて見ていたタヌは動揺を露わにした。
そのときだった。
「これ以上、ゴチャゴチャ言うの、止めてもらえるかなぁ?」
突然、タヌがこれまで一度も聞いたことのない声が聞こえた。声色から、それは落ち着き払った男のものだとわかる。
赤い外套の男はDYRAを離すことなく、声のした方に目をやった。声は、大きなガラス容器を挟んで反対側の、誰もいない遠い出入口の方からだった。
「人の家に勝手に入って、物色した挙げ句、火まで放つとはいただけないなぁ」
声の主が言っていることを、タヌはまったく理解できなかった。今はとにかく黙って聞くしかない。
「充電池で回せる、貴重な衛星通信の端末だったのになぁ」
その言葉を聞いたところで、DYRAを抱きしめたまま、赤い外套の男はゆっくりと立ち上がった。
一歩一歩、近づいてくる。タヌの目にも、声の主の顔が少しずつ見え始める。髪の色はハッキリとはわからないものの銀灰の色合いで、短くさっぱりした髪型だ。顔には髭もある。背はかなり高く、体型もしっかりした感じだ。横も縦も大きいという言葉は、こういう人物を指すときに使うのだろう。さらに、見たこともないような大型の銃に似たものを手にしている。タヌの目を引いたのはこの人物の服装だった。これまで一度も見たこともない、体型がハッキリとわかるような風なのに、関節部分や胸部、肩部にはこれまた初めて見るような、鎧と呼ぶにはあまりにも薄っぺらい感じのもの──プロテクター──が装備されているのだ。
大型の円筒形の容器の近くで、突然現れた男は立ち止まった。
一方、DYRAの金色の瞳も、この男の顔を捉えた。多くはないものの、皺が刻まれた肌、そして赤とも紫とも、ピンクとも取れる、奇怪さを感じずにいられないガラス玉のような瞳の色が印象的な、若いとは決して言えぬ男だ。
しばらくの間、地下室は水を打ったように静かになった。
やがて。
「核の炎に焼かれて死んだと思っていたんだがな?」
吐き捨てるような口調で先に切り出したのは、赤い外套の男だった。
「なぁ」
突然現れた髭面の男は、おもむろに切り出す。
「どうしてお前は、マッマを抱いているんだよ?」
髭面の男の奇怪な色の瞳は、DYRAをしっかりと捉えていた。
「お前……マッマを放せよ?」
髭面の男はDYRAをじっと見つめながら距離を詰めてくる。DYRAは自分を庇う男の、マスクでの奥の表情が今、どんな風になっているのか気になった。それ以上に、物陰に隠れているタヌがいつ見つかってしまうか、気が気でなかった。自分を守ろうと片腕で抱き寄せている赤い外套の男へ、耳打ち程度の小声で伝える。
「RAAZ、放せ。タヌが……」
赤い外套の男の、DYRAを抱く腕に力がこもる。
「聞け」
男は、これまた耳打ち程度の小声で返す。
「私が突き飛ばしたらガキと逃げろ。時間くらい稼いでやる」
「わかった」
RAAZにこんことを言わせるのだ。今の状況があまり、いや、非常に良くない。DYRAは小さく頷いた。
「ネズミが一匹ともう一人、いや、あと二人、か」
髭面の男は、棒読みのような口調で呟くと、手にした大型の銃器を柱の一角の方へ向けた。DYRAは視線だけを動かし、その銃口がタヌのいる方に向けられていないのを確認する。
大型の銃器の銃口が火を噴いた。と同時に、DYRAは赤い外套の男から突き飛ばされた。そのまま、低めに積み重ねられた氷の上に背中から落ちる。すかさず後転して体勢を立て直すと、足から床に着地した。そこは奇しくもタヌが隠れている場所の側だった。
「タヌ」
しかし、タヌは硬い表情で別の方を見ていた。
「タヌ……どうした!?」
DYRAはタヌの表情を見るやすぐさま、彼が見ている方へ視線をやる。背の高い小間使い姿の人物がいた。いた、と言っても立っているわけではない。腹部を撃ち抜かれて倒れていたのあ。なのり、倒れて呻くこともなければ、血を流して苦しむ様子もまったくない。それどころか、その小間使いの身体は砂のようになって消えていくではないか。
「あれって」
「ああ。あれは確か……」
DYRAとタヌにとっては見覚えのある光景だった。二人はフランチェスコでまったく同じ現象を目にしている。だが、今はそこを気にしているときではなかった。ここから無事に逃げおおせなければ。
「タヌ!」
DYRAは我に返ると、タヌの手を引き走り出した。数刻前、ここから脱出してきたばかりなので、外へ繋がる階段への扉がどこにあるかはわかっていた。突然現れた謎の男のことや、砂のようになった存在のことを気にするのは後でいい。
あちこちに山積みになっていた氷が一部とけた弾みで崩れた山があるせいで、地下室が迷路のようになっており、思うように進めない。先ほどは案内されたからすんなり進めたのかとDYRAは舌打ちした。だが、いつしか二人の足が少しずつゆっくりとなる。
カラン、という何か、軽いものが落ちる音が聞こえた。DYRAはそれが、赤い外套の男が目元以外を隠していたマスクを外した合図だと察した。
「どうしてお前がここにいる?」
聞こえてくるやりとりに、二人は思わず足を止めた。DYRAは耳を貸しつつも、目ではどう進めば外へ繋がる扉に着くか行き方を確かめる。
「クソガキが。マッマを返せよ?」
髭面の男が素っ気なく告げるなり、三度、大型の銃器が火を噴いた。DYRAも反射的に振り返った。赤い外套の男がすかさず赤い花びらを舞わせながら剣を構え、自らを目掛けて飛んできた弾を流れるような所作で、赤い剣で真ん中から真っ二つにした。ここでDYRAはタヌの手を引き、再び走り出した。
「寝言は寝てから言え?」
「ゴチャゴチャうるさい奴だ。けど、まぁ、今日は再会できたから、それでいい」
髭面の男が言い終わるや、またしてもあの銃器が火を噴く音が響く。
「ちっ! DYRA!!」
大型の銃器から放たれた弾が出口の方へ走るDYRAとタヌの背中へまっしぐらに向かう。背中からぶつかってきた声で状況を理解したDYRAは、反射的にタヌを庇うと、横っ飛びした。
「うはあっ!」
弾は出口の扉に命中し、扉は跡形もなくなった。螺旋の階段が丸見えだ。しかし、DYRAはタヌを抱きかかえたまま爆風で吹っ飛ばされた。出口のすぐ側から部屋の隅の方へと、背中から壁に激突し、床に倒れた。
「DYRAっ!!」
タヌは自分を庇ったDYRAの首に、扉の破片が突き刺さっていることに気づくなり、悲鳴にも似た声を上げた。
「だ、大丈夫!?」
DYRAはタヌの声を聞くなり、痛みをこらえつつ、自らの首に刺さった破片を引き抜いて投げ捨てた。次に、DYRAは破片が刺さった箇所に自らの手を当てる。同時に青い花びらが舞い上がり始め、首の傷の治癒が始まった。
「タヌ。先に行け」
「えっ」
「私は大丈夫だ! 早くしろっ!」
DYRAは今はとにかく、いや、何が何でもタヌを先に逃がさなければと声を荒げた。
「で、でもっ……」
タヌの言葉は続かなかった。
「タヌ君! 早く行くんだ!!」
聞き覚えのある声が地下室の頭上から響き渡る。
「え? マ、マイヨさん?」
DYRAとタヌが先ほど地下室へと下りたときの大穴のところから、マイヨの姿が見える。
タヌはとっさに、DYRAの空いている方の腕を掴むと、肩を貸すような体勢を取った。
「一緒に行こう!」
突然のタヌの振る舞いに、DYRAはビックリした。普通の状況であればタヌが頑張ろうとする厚意には感謝してもし足りないくらいだ。しかし、RAAZにあんな言葉を言わせたあの相手とこの状況ではとても喜べるものではない。
「ったく!」
階上から見ていたマイヨも、まずいとばかりに地下室へ飛び降りると、DYRAとタヌの元へ走り寄った。
「タヌ君! 早く!」
「お前も退け、マイヨ」
DYRAがタヌの肩を借りたままの状態で制するが、マイヨは聞いていないのか聞こえていないのか、二人の楯になる体勢を取りつつ、戦闘を始めた二人の男たちへ視線をやった。その手の周囲には黒い花びらが舞い上がっていた。
「DYRA。奴はマトモに戦って勝てる相手じゃない! あのケダモンに勝てるのはRAAZだけだ」
しかし、マイヨの言葉とは裏腹に、二人の男の戦いはDYRAやタヌの目にも、思わぬ展開になっていた。
「お前への用は今日は終わったって、言ったろ?」
髭面の男は言うなり、赤い外套の男の攻撃をかわしながら体勢を入れ替えてしまう。大柄な体格に似合わない、あまりにも滑らかで素早い身のこなしだった。そして、この男の次の動きこそ、誰もが予想していないものだった。
「何!!」
「くそっ!」
一瞬、姿が消えたのではないかと思うほどの速さで走ると、そのままマイヨを肘鉄で突き飛ばし、DYRAとタヌの目の前に立ったのだ。突き飛ばされたマイヨは、もんどり打って倒れてしまう。
「ええっ!!」
タヌが悲鳴を上げたときには時、すでに遅く、DYRAとタヌから半歩程度と離れていない距離まで近づかれていた。
「少年」
タヌが絶体絶命かも知れないと思った矢先、髭面の男は穏やかな声で話しかけてきた。タヌは膝を僅かに震わせる。それでも、気丈に構える。
「……ああ、キミのことだったのか」
いきなり知り合いか何かのような調子で語りかけられたタヌは、訝るような表情を浮かべた。
髭面の男は、次にタヌに抱えられているDYRAを見た。
「マッマ。可哀想に。あの男に……」
言いかけた言葉は続かなかった。
「うわっ!」
突然、髭面の男の胸元から赤い刀身が現れたことに、タヌは仰天した。DYRAに肩を貸していたことも忘れるほどの勢いで後ろの方へ吹っ飛んだほどだ。
「……死ねよ。この、出来損ないが!」
赤い外套の男が背中から自らの剣で髭面の男を突き刺していた。刀身からは赤い輝きと白い閃光とか混じった光が放たれている。
「おい。そんなんじゃ、痛くも、痒くもねぇよ? ガキ」
意にも介さないとばかりに、髭面の男は二歩ばかり歩くと、背中から貫通した刀を抜いてしまった。血が流れているのがわかるが、当の本人は意にも介していない。
「あとな。俺にはハーランって名前がちゃんとある。名前を捨てたガキにゴチャゴチャ言われる筋合いはない」
赤い外套の男が反射的にDYRAの手首を掴み、再び引き寄せた。このとき、髭面の男はクスッと笑うと、タヌの腕を掴んだ。
「えええっ!」
タヌが悲鳴に近い声を上げた時、ハーランと名乗った男はタヌを自身の肩に担ぎ挙げると、その場からかき消えた。花びらもなく、宙に溶けるように。
「タヌッ!!」
同時に、タヌの姿も宙に溶けて消えた。
「一体、どうしてっ、……っ!」
DYRAは背中の激痛に呻き声を上げながらそう言うと、その場に両膝を落とした。
自分がいながら。
「っ……くそっ!」
「ったく……何で、こうなるかなぁ……」
倒れていたマイヨも身を起こした。
「ISLA。お前、何を知っている?」
「さぁ、ね。それ、今話すこと? 誰かさんのせいで、こっちに火が回ったらアレだよ」
立ち上がり、体勢を立て直すと、黒い花びらを舞い上がらせる。
「いったん。出直しってことで」
そう言い残して、マイヨはその場から姿を消した。
DYRAは痛みが少し和らいだからか、周囲の音を聞く余裕が戻ってきた。
「おい。そろそろここも危ないんじゃないか? お前も退散したらどうだ? RAAZ」
「そう、だな」
二人の周囲に赤い花びらが舞い上がる。赤い外套の人物に介抱され、DYRAもまた、姿を消した。
改訂の上、再掲
103:【PIRLO】ハーラン。それがもう一人の姿なき登場人物2025/06/10 21:50
103:【PIRLO】うごめいていたその人物がついに姿を現した2024/12/22 20:23
103:【PIRLO】突風の如く現れた男2019/05/02 22:00
CHAPTER 103 出発へ2017/12/14 23:00