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断罪の旅人  作者: 玖月 瑠羽
最終章 断罪の旅人
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8話 緊急会議

 通信端末の通話ボタンを押すと、いつものように真剣な声色で「もしもし」と言う隊長の声が聞こえる。今は任務中と言う事もあり、通話先から他の部隊の声が微かに聞こえた。どうやら、他の部隊も協力してくれているらしく、聞き覚えのある声がチラホラ聞こえた。


「お疲れ様です、白詩隊長。御心五十鈴です」


『あぁ、五十鈴か。どうした、お前から電話が来るなんて珍しい。いつもなら、テレビ通話かメールでの報告のどちらかだろう』


「そうですね。いつもなら、そのように対応したかったのですが――想定外の状況で得た情報だったため、至急報告する必要があり、通話した次第です」


 いつもと雰囲気が違うからか、隊長は『少し待て』と言うと端末越しから『お前たち、緊急性のある情報が入った。スピーカーで流すから情報をまとめろ』と言う声が聞こえた。聞き覚えのある声もチラホラ聞こえる中、今までの事を脳内で整理してから伝える事にする。


「白詩隊長、先ほどミョルニルと接触しました」


『ミョルニルと? あの博士が接触するなど、あり得るのか』


「何もかも準備が終えている段階なら、間違いなく会いに来ます。後は発動する時期を待つだけなので、彼奴は私を誘き出した訳です。そして、もう何をしても手遅れな段階だからこそ、私に情報を与えたのです」


 白詩隊長に今までの情報を伝える。その情報から、急に通話越しから『もしかして』と言う、女性の声が聞こえた。すぐに慌ただしく動き出す音が聞こえるのだが、隊長は何も言わずに無言でいる。何か考えているのだろうと思いながら、先ほどまで座っていた椅子に腰かける。テーブルの上には、先ほどまであったはずのカップ等が消え、何も置かれていない状態である。


『あくまで、可能性だが――ミョルニル博士は、お前との再戦を望んでいるのではないか』


「再戦ですか」


『あぁ、お前が旅人ではなく人間としてミョルニル博士と殺し合った日の事を思い出せ。あの時は、自身の娘の肉体を用いて、来日の神を疑似的に召喚しようとしたのだろう。しかし、お前が阻止した結果、神卸しは不完全な形で行われた。今まで自ら行った実験において、誰かの邪魔を受けて失敗した経験など無いんじゃないか』


 隊長の言葉を聞いて、ミョルニルが行ってきた実験の事を思い出す。確かに、一度として実験中に妨害を受けたと言う情報は無かった記憶がある。確かにそう考えると、ミョルニルの計画を妨害したのは俺が初めてだった気がする。


「確かに、そう考えると隊長の仰る通りかもしれません。ただ、再戦なんてミョルニルが望む用には思えないのですが」


『よく考えてみろ。会う必要もなく、計画を進めれば良いはずなのに、わざわざお前の目の前に現れた。そして、自身の計画をさらした。これは、お前に対しての挑戦状だ。そして、予想だがミョルニル博士は俺たちが行おうとしている計画も理解している可能性がある』


「それは、まさか『原初への回帰』の情報が博士に渡っていると? 我々の世界は、境界の向こう側にある。それ故に、境界の外にある世界の全てが入ってくることは出来ないはずです。それにも関わらず、情報が流出するなどあり得――いや、まさか」


 一瞬だが、脳裏に過った博士の言葉を思い出した。博士は、確かに『初代と契約を結んだ』と言っていた。つまり、初代との契約によって情報が漏れた可能性があると言う可能性がある。そう考えると、博士との行動が少しずつ分かってきた気がする。


『あぁ、初代だ。あのやろぉ、ミョルニル博士に話したに違いない。お前の話だと、初代と契約を結んだと言っていたのだろ。それなら、間違いなく奴から情報を得ている可能性がある。旅人が監視する役目を終え、終極の一巡をもって旅人の監視を終え、世界の供給を辞める。完全なる消費の世界へとなる計画だが、その計画を悪用している可能性もある』


「博士が用意した楔は、役目を終えていると言っていました。つまり、各世界への情報を抜き取った可能性があります。その情報が来日の神に関連するものであるのならば、博士は大規模な事象を起こそうとしている可能性があります」


『あぁ、そうなってくると直近で進めている対応を停止し、抜かれた情報が無いか探す必要がある。すぐに部下と他部隊の隊長に報告する。後、あの野菜嫌いの偏食バカ王様にも報告するか』


 相変わらずの国王に対する暴言に、引き笑いしかできなかった。国王と隊長は、長い付き合いだから暴言を吐いても許されている。いや、国王の周りにいる大臣たちも同じこと言っていたし、もう大臣公認だから言っている可能性もある。だが、国王としての仕事はちゃんとしており、決めるところはしっかりしている。ただ、偏食かで、たまに仕事から逃げ出す癖がある。そのため、国王捜索隊として多忙なはずの無月隊長が呼ばれ、瞬時に捕獲して仕事をさせているらしい。


「偏食バカ王様って、国王に対してバカを言えるのは、多分ですがどこを探しても無月隊長だけなような気がしますよ。まぁ、逃げたり隠れたりするのプロレベルですけど」


『まぁ、あいつに関しては隠れ場所の傾向と、精神的な状況下から当たりをつけているからな。最終的には、あのバカ王様の弟を使って、おびき寄せつつ捕獲する。まぁ、その間にも俺の仕事が増えるんで、さっさと見つけ出さなきゃならないんだがな』


 平然といつもの口調で話す隊長に、なんとなく安堵している。隊長はいつも書類仕事をしているが、本来なら書類仕事ではなく現場に出るべき人である。全ての世界へ供給されているエネルギーを管理しているのは、他でもなく無月隊長なのである。特殊危険物とでも言えば分かってもらえると思うが、世界へ供給し続ける事は本来危険な行為である。供給と消費がイコールで結ばれていない状態は、その世界に対して崩壊または消滅を意味している。その為、旅人はそう言ったことに注視しながら、世界の監視を行っている。


「本来なら、隊長も動く案件ですよね。でも、国王からの指示で書類仕事をさせている。私には理由が分からないです」


『簡単なことだ。バカ王様――いや、国王はタイミングを見ているのさ。どのタイミングで俺を投入すべきか、そのことに対して慎重に状況を判断している。この報告書だって実際に確認しつつ、部隊をどのくらい出すべきか。他の世界の情報はどうなっているか。そう言った情報をまとめながら、仕事から逃げているし』


「仕事から逃げちゃダメでしょ」


『まったくもって、その通りだ』


 呆れた声で答える隊長に同情してしまった。だが、手伝うなど言ってしまったら、その瞬間に国王捜索部隊の一員として登録されてしまう。仕事しながら国王探しなど、オーバーワークになり、疲労で倒れる未来が見えてしまう。だから、隊長の部隊に所属する部下全員は暗黙の了解で、捜索部隊にならない様に立ち回っている。


「そう言えば、この前も他世界の監視結果報告の書類から逃げてましたね。確か、あの世界は戦争が絶えない世界でしたね。異世界から来た宇宙人から地球人類を護る為にロボットに乗って戦うとかなんとか。今回は何を見て逃げたのですか」


『あぁ、ミョルニル博士関連の報告書だ。あの博士が立ち寄った世界の情報を集め終えたばかりでな。アカシックレコードの情報を整理し、そこから誰かが手を加えた痕跡が何か所か見つかった。それについての報告書類だったんだが、あのバカ王様――影分身して逃げやがったんだよなぁ。現在、俺抜きで捜索しているんだが未だに発見できないらしくてな。この後、国王捜索隊に呼ばれているんだ。まぁ、逃げた先はおおよそ見当は付いているから、すぐに捕まえて今後の方針について確認を取るから問題ない。それよりも、五十鈴から提供された博士の情報が重要だ。副隊長たちが今しがた帰ってきたんだが、そっちでも進展があったらしいからな』


 電話越しから「お前ら、すぐに国王と第一から第八部隊の隊長たちを呼んで来い」と言う副隊長の声が聞こえた。どうやら、あちらでも動きがあったのだろう。予想だが、王様を無事捕獲した事で書類を渡しに行った可能性がある。俺が得た情報も王様に報告し、今後の動きを考えるのだろう。


「なんか、王様の件については、お疲れ様ですとしか言えませんね。とりあえず、私はこのままミーアたちと合流します。隊長、我々はどう動けばよろしいでしょうか」


『そうだな。ミーアと合流後、テュイル達も集めて一度状況整理を行おう。此方はバカ王様を探さなければならないから、オンライン会議になるだろうな。情報の整理も含めて、今後の方針を決めたい。済まないが、全員が揃ったら一度連絡をくれ』


「承知しました。では、全員揃い次第連絡します。では、失礼します」


 隊長にそう告げてから通話を切った。隊長からの情報を脳内で整理しながら、他の世界に博士の痕跡が見つかった事に気になった。あの博士が痕跡を残すなどあり得るのだろうか。隊長が言っていた「俺との再戦」が脳裏に過る。


(博士が再戦を望んでいるか。全ての世界が因果の果てへ到達した時に起きる現象を、無理やり引き起こそうとしている。本当にそのようなことが可能なのだろうか。どちらにしても、終極の一巡から起こる世界の再構成に耐えられるのは、現状では俺と隊長のみだったはずだ。他の旅人たちは、隊長たちがいる世界へ退去する必要がある)


 隊長たちとの会議では、ミーアたちを強制転移させる準備を提案しなくてはならない。博士との戦いは、間違いなく誰にも邪魔をされない空間で行われる可能性がある。きっと博士と戦闘中も、此方側でも爆弾を投下してくるだろう。それをミーアや竜仙たちに任せるしかないといけない。そんなことを考えながら、通信端末を胸ポケットにしまい、竜仙たちの待つ宿屋へと向かう。


 宿屋へと向かっている間も、先ほどの爆発や地震の対応で走り回っている。その姿を見届けながら目的地の宿屋に着き、竜仙たちの待つ部屋へと戻る。正直に言えば、花火問題は事故と言う事で片付けたいところだが、竜仙達が調査に向かった可能性がある。部屋に到着すると、竜仙達が資料をまとめていた。


「すまない、遅くなった」


「旦那、戻ってきたばかりで済まないが、先ほどの地震について「あぁ、それミョルニル博士が起こした花火の暴発事故だろ」話が――は?」


「先ほどまで、ミョルニル博士と茶会をしていた。奴が何をしようとしているのかも大体聞き出せたが、戦闘はせずに逃がした。隊長には報告済みで、これから本案件の対応について会議が行われる。花火の件について、今分かっている段階で良いので情報を教えてくれ」


 豆鉄砲を食らった鳩の表情になっている竜仙の代わりか、ミーアが代わりに現在得た情報について説明してくれた。やはり、打ち上げ花火による爆発事故だったようだ。話を聞く限り、発射台が安定していなかったらしく一発目の発射で、台座が倒れてしまい爆発したらしい。これも博士の計算だったのではないかと思えてしまう。


「取り合えず、隊長たちとの会議だ。後で爆発事故について改めて報告を聞こう」


「そうだね、今は会議の方が重要だものね。会議の準備をするから、竜仙さんとテュイル君の事をお願いしても良いかな? 私だと流石に効果なさそうだし」


「あぁ、分かった。こっちは俺に任せて、回線の接続の方を頼む。竜仙、テュイルが今どこにいるか分かるか? いい加減豆鉄砲喰らった鳩から戻らんか」


 竜仙の頭にチョップを喰らわすと、無事に正気に戻ったらしく「ッハ!? 儂は一体」と驚いた表情をしながら言う。それほど衝撃的な事だったのだろうかと思いながらも、すぐにテュイルを呼び出すように指示を出した。何かを言いたそうな目線を向けるが、通信端末を取り出し連絡を取り始めた。


「さて、こっちも報告内容をまとめておくか。後は、あの武器の使用許可を貰う必要だな。博士が相手だと愛刀の刻竜が必要になるんだよなぁ」


「あの逆刃刀が必要な状況とはなんだ」


「テュイル、無事戻って来たようだな。逆刃刀の件については、ちょっと特殊でな。博士と戦うとなると、どうしても必要になる」


 そんなことを言っていると、ミーアが回線を繋ぎ終えたと報告があった。そのまま会議を開始すると、いつもの第零部隊のほかに第一部隊から第十三部隊までの全部隊が映っていた。そして、何故か王様が縄でグルグル巻きにされたまま玉座に座らされている。無月隊長が捕獲したに違いないと思い、あえて触れないことにした。そんな中、無月隊長が書類を右手に持つと話し始めた。


『さて、これより緊急会議を始める。まず初めに、国王が重責から逃げて開催が遅くなり申し訳ない。俺が無事に捕獲し、逃げないように厳重に縛って置いたからもう逃げられないだろう。さて、皆のおかげで各世界に配置されているアカシックレコードから、必要なの情報を得られた。今まで得られた情報を皆に共有する。この場所にいない旅人たちについては、今からメールを送るので確認してくれ』


 そう言うと、俺の胸ポケットに入っている通信端末が振動した。胸ポケットから通信端末を取り出し確認すると、添付ファイル付きのメールが送られていた。添付ファイルを確認すると、幾つか見覚えのある内容が書かれていた。皆に情報が渡ったと言う事で、会議が始まった。内容としては、俺が報告した情報も含めて現段階で判明したミョルニル博士が行おうとしている計画等が書かれていた。会議は進んでいく中で、無月隊長から俺に対して何か報告はあるかと聴いてきた。それについて、俺が考えられる可能性を伝えた。


「あくまで、私の予想ですが博士は『入念に計画を練っていた』可能性があります。私が博士とあった際に、彼はあまりにも余裕を持った表情でした。彼は『終極の一巡』を意図的に起こそうとしている。まるでPCのHSDをSSDを入念にデリートするように、全ての世界から自身の情報を消し去りたいと思っているのだと思います。だから、私が考えられることですが、終極の一巡を一度だけ起こすのではなく、二回以上行う可能性があり得ます」


『何故、そう思うのか聞いても良いですか』


 第一部隊隊長のレフィス・グラファルト隊長が質問した。当然、俺とミョルニル博士の件は他の旅人たちにも伝わっている。それ故に、何故そこまで考えられるのか質問が来るのも想定の範囲内だった。


「博士の目的は、彼自身の消滅です。それも、アカシックレコード上に残っている事すら許さない、完全なる世界からの消滅です。我々が収集したアカシックレコードの記録に記載されている博士およびレーヴァの記録を消し去りたい。その為に、博士は終極の一巡を意図的に発動させるつもりです」


『意図的に起こす事は理解してます。何故、二回以上行われると思われるのですか』


「それについては、確証はありません。ただ、初代と協力関係を築いたことが気になります。初代は、遥か昔に旅人の収集したアカシックレコードの情報を、終極の一巡を利用して『一部データを削除させた』と言う記録を読みました。一度目はブラフとして利用し、二度目に完全なる削除を行おうとするかもしれない。博士が実行した計画は、蜘蛛の巣のようなものです。一つ失敗したとしても、並行して実施している別の策が動いている場合があり、常に第二第三の計画を先読みしなければならない。故に、かもしれないと言う可能性も考慮しないといけません」


 ミョルニル博士と初代が協力関係である事を伝えると、一部の旅人がざわつき始めた。だが、それを抑制するかのように、無月隊長は手を叩き視線を向けさせる。レフィス隊長は納得したらしく、黙って頷くと無月隊長の方へと目線を向ける。


『五十鈴、ありがとう。先ほどの事を踏まえ、起こりえる可能性は全て潰す事を考えろ。しかし、そうなるとやはり『五十鈴の逆刃刀』が出番になるか。国王、あの逆刃刀の使用の許可を――って、そうだったわ。縄で縛って布で喋れない様に縛ってたんだったわ。後で、許可を貰っておく』


「無月隊長、質問があります。何故、五十鈴の逆刃刀が必要なのでしょうか? いつも使用している大鎌でも宜しいのではないでしょうか」


 テュイルが質問をする中、画面側にいる他の旅人たちも同様に逆刃刀の件について質問が出ていた。それに対して第八部隊の隊長であるフィル・トゥーム隊長が説明をしてくれた。


『あぁ、あの逆刃刀はちょっと特殊でな。刻竜の素材を基に作成された刀だ。終極の一巡が起こった際に所有者にかかる衝撃を和らげる効果がある。後は、所有者が監視している世界に滞在する旅人を一斉に帰還させる事も出来る。その効果のため、緊急時以外に使用することを制限しているのだ。また、使用するためには同族の因子を持つものが必要でな。この中で使用できるのは、第零部隊の御心五十鈴だけになる』


『先ほど、雅龍が説明した通りだ。それと――そうだな。この場にいる者たちには話しておいた方が良いか。済まない、国王のその口に巻いている布を外してくれ。国王本人に説明させた方が良い話だからな』


 そう告げると、国王の隣にいる二人の家臣が無月隊長の指示に従った。いや、国王の家臣に命令するのはどうなのかと思いながら、国王の言葉を待つことにした。


『マジで私の扱い酷くないかなぁ。無月君、少しぐらい手加減してくれてもいいじゃないかぁ』


『うっさいわ、このダメ国王!! さっさとあの話をせい』


『私、これでも国王だよ⁉ 君、私に対する扱い酷くないかなぁ⁉』


 なんと言うか、国王に対して罵倒できる隊長に恐怖心を憶えたが、お互い旧友の中らしく特に気にしていない容姿だった。周りが『それで良いのか、国王』と思ったことは触れ内で置いた。


『あぁ、はい。そうだね。君たち旅人に結婚の人数を指定している件だよね。はいはい、分かってるとも。何故、結婚出来る人数を指定しているのか。それについて、君たちの能力制限のため。そして、無事に帰還するためと伝えている。だが、それはあくまで表向きの話しだ。本当の話をすれば、君たちが他の世界を監視するうえで今回のように意図的に終極の一巡を起こされた場合の防衛のために人数指定をしているんだよ』


 いきなりの暴露に皆が驚いた表情をする中、国王はそのようなことを気にすることなく話を続ける。


『本当に特例中の特例の事象だけどね。元々、旅人は一度だけ終極の一巡――もう、言い辛いから一巡で良いか。えっと、一巡に耐えられる加護が付いている。でもね、あくまで一度だけなんだよ。それ以降は、耐えられずに消滅する可能性がある。それに対抗するために結婚と言う名の契りを結んだ者たちの祈りが必要なんだ。契りは強固な結界となり、それだけで何回か一巡の衝撃を堪え抜く事が出来るんだ。でも、こんな不足な事態は起こりえない事なんだけどね。今回の事を経て、特例として本現場で戦える者と駄目な者を選ばなければならない。でも、さっき無月隊長が言っていたように、逆刃刀を使用する許可を出す。君たちには、旅人の権限として御心五十鈴君たちがいる世界へ行ってもらい、対応をしてもらいたい』


 国王が真剣な表情で告げるのだが、縄で縛られている状態で説明している為か、何故か緊張感がまったくない。もう話すことはないようで、国王は頬を膨らませながら「縄を解けぇ」と叫んでいる。その叫びもむなしく、また家臣たちに口元を布で縛られた。国王の威厳とは何かと一瞬考えてしまったが、あえて無視することにした。


『そう言うわけで、これより五十鈴がいる世界へ向かってもらう者たちを選定する。一時間後に、個別に連絡をする。五十鈴、テュイル、ミント――いや、そっちの世界ではミーアだったな。そして、竜仙。お前たちはそのまま俺たちが到着するまで、現地の人間たちの協力と準備を頼む。ミョルニル博士が何をしてくるのか分からない状態だ。不測の事態に備え、回復道具等の準備は怠るな』


「「「「了解しました」」」」


『では、今回の緊急会議は此処までとする。皆、これは三大厄災と同じ危険な戦いになる。気を引き締めて取り掛かってくれ‼ 以上』


 無月隊長の言葉に皆が「了解です」と言うと会議が終了した。ミーアが通信を切り、テュイルと竜仙は戦闘に備えての話を始めた。その間、俺は竜仙達がまとめた花火の爆発事故に関する報告書を確認する。これから起こる戦いに備え、各自で行動を開始する。

どうも、お久しぶりです。

はい、私です。

毎日忙しすぎて、執筆する暇もなく。

なんか、鬱ではないかと言われるし、今まで出来てたことも出来なくなる。

いやはや、ダメですねぇって思いながら日々頑張っております。

ちゃんと、執筆は継続してます。

何とか書ける時間を作りつつ、完結まで頑張ります。


では、次話で会いましょう!!

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