5話 観光と言う名の散策
冒険者ギルドの調査した次の日、俺は一人だけで市場へと向かった。竜仙達には別件の理由で、もう一度冒険者ギルドに向かってもらっている。帆無穂無からの連絡で、シャトゥルートゥ集落の冒険者たちがバルド王国に来るらしく、竜仙達は彼らの回収しに行った。そのため、俺は一人で動くことになった。無月隊長には昨日の情報は報告済みで、ミョルニルを釣り上げるために囮になることを選んだ。
市場へと向かうなか、獣人やエルフ、それにドワーフと言った多くの種族とすれ違った。この国では人種差別がないようで、種族によって販売されている品物も違う。市場で食材などを見つつ、ミョルニルの気配を探ろうと散策する。一人でいる時のほうが奴も警戒せずに、何かしらのアクションをしてくると予想し、ぶらぶらとあてもなく街を散策している。
(それにしても、やはり人が多いな。まぁ、何名か俺を監視している奴はいるようだが、危害を加える気配はなさそうだ。隣を通り過ぎた際にチラッと見たが、人ごみに紛れ込んでもバレないようにナイフを携帯していたな)
人混みを歩きながら近くにある本屋に入り、一冊の本を手に取り数ページのみ読む。内容としては、簡単に作れる野営にお勧め料理のレシピが載っている。此方を見ている監視者たちの気配を感じながミョルニルの気配を探しているが、監視者の気配や通行人の気配以外はまったく感じ取れない。こうして街を散歩していれば、彼奴から何かしらのアクションがあると予想した。だが、結果として連れたのは監視者たちである。ただ、監視者と言うより俺に対してどう話しかければよいのか分からず、尾行しているファンのような気もしなくもない。
(すれ違った際に監視者たちの顔をチラッと見たが、冒険者ギルドで握手を求めてきた子が数名だった。ふむ、やはり旅人は有名になりすぎたのが原因か。旅人は、決して知られず、世界を監視するのが役目だ。まぁ、そのことは今はどうでも良いか。しかし、奴はどこにいるんだ)
約二分ほど立ち読みしてしまったが、なかなかに面白い内容だった。この本から微かに放たれる『この世界に存在しないはずの魔力』を感じ取ったため、実際に手に取って読んでみたのだが読む限りただの料理本であった。手に持った本を閉じ、近くにあった新聞と一緒にそのまま会計へ向かう。微弱な気配も逃さないように、気配を探り続ける。竜仙達の気配は普通に追えるのだが、求めているのはそれではないとため息をこぼす。購入を終え、また街を散策する。今度は気配だけではなく空気中の魔力や、生き物が放つオーラも追う事にした。
(本当なら、この手は使いたくはないのだがな。奴を探すためには手段を選んではいられないか。久しぶりに気配ではなく魔力で探るわけだが、きっと疲労でしばらく動けなくなるだろうな。とりあえず、どこかの喫茶店でお茶をしながら魔力探知を行うか)
街を散策しながら、手ごろな喫茶店を見つけた。そのままコーヒーを注文し、席に座ると購入した新聞を読みながらミョルニルではなく、レーヴァが保持している魔力を追う。死体とは言え、奴の持つ魔力を追うことは可能だ。人間では感知できないが、死んだ人間からは魔力が漏れ出る。その魔力は空気中を漂いながら新たな形で精製される。それが精霊なのか魔物なのかは、その時次第である。
(レーヴァの持つ魔力の色は、確かコバルトブルーだったな。この世界の魔力の形は楕円形だが、彼奴のは『十八角形』だから見分けはつく)
ゆっくりと深呼吸をして目を閉じる。頭の中で『魔力を見る機能を切り替えるスイッチ』をイメージし、そのスイッチをOFFからONへと切り替えてから目を開いた。今まで見ていた光景と変わらない『当たり前の日常風景』が見えるが、その中を歩く者たちからは身体を覆うように一人一人色の違うオーラが見える。ワインレッドやコバルトブルー、サワーグリーンなどの色鮮やかなオーラが見える中、そこから糸のような細い線が伸びている。この糸は、日付が変わるごとに発生するモノで、人が行動を始めた際に発生する魔力残滓である。この糸はすべての生き物が持つモノで、起床から就寝まで必ず発生する現象である。その糸や人間や星が放つオーラを見分けながら、レーヴァの放つ魔力を探す。
(この星の放つエネルギーがミントグリーンで助かった。世界によっては地球から太陽を見るような目が痛くなる光を放つ場合もあるから、この魔力を見る機能は使いたくないんだよな。あぁ、やっぱり目が疲れる)
旅人になってから各世界ごとに、供給している『エネルギー』に違いがあることを知った。色で例えるとすれば、赤色にもワインレッドや朱色など多くの種類がある。それと同じように世界毎に形や色が違うのだ。本来なら気配で探るよりも魔力などのエネルギーで追うのが手っ取り早いのだが、気配を察知するよりも高い精度が求められる。そのため、気配を察知するよりも集中しないといけないので、疲労度は段違いである。
(レーヴァの魔力なら知っている。狂いの欠片となったとは言え、奴の力は覚えている。追えるはずだが、俺がこの世界にいることにはすでに気が付いているはずだ。それに、他の世界に配置されていた楔が撤去されていることもだ。ただ、何も仕掛けてこないという事が不気味だな)
意識を集中しながら、レーヴァの放つ魔力を探す。周りには奴の放つ魔力は見つからなかったが、何やら見覚えのある魔力の残滓が見つけた。色はコバルトブルーではないが、どこか美しい赤紫色のオーラが糸となって漂っている。よく目を凝らしてみれば、間違いなく十八角形の魔力の粒だった。まるで、レーヴァの魔力と『別の魔力を混ぜ合わせた』ような色をしている。
「此方、ブラックコーヒーとサンドイッチになります」
「あぁ、ありがとう」
店員がコーヒーとサンドイッチを持ってきたので、魔力を見る機能を切り替えるスイッチをOFFにしてコーヒーを受け取る。コーヒーカップの中には、ミルクも砂糖も入っていないブラックコーヒーが淹れてあった。サンドイッチはベーコンとレタス、そしてトマトが挟まっているBLTサンドイッチのようだ。魔力を見るのを閉じた事で、体に脱力感に襲われた。先ほど届いたコーヒーを飲みながら、先ほどの赤紫色のオーラの糸を思い出す。あのような形をした魔力は初めて見た。自然に作られる魔力やエネルギーについては、円形から六角形が普通である。それなのに、あのオーラは十八角形だった。まるで、誰かの手によって作られたような形である。
(レーヴァのオーラの形は十二角形だ。そうなると、やはりアレはミョルニルのモノなのか。はぁ、疲労で頭が回らん)
魔力やオーラと言ったエネルギーを目視で確認するのは久しぶりで、想定していた以上の疲労が襲ってきた。考えてみれば、エネルギーを見るような状況に一度もなったことがない。旅人の研修で何度か練習でやったくらいだ。確か、研修があったのが千年前だったはずだ。それだけの年月が経っていれば、体が鈍っていても仕方がない。そのようなことを思い出していると、脳裏に無月隊長と話し合っていたあの日の事を思い出した。
(良いか、五十鈴。魔力を色や形で見て『軽い息切れ程度』で済んでいるのは、お前が人間から旅人へと神化したからだ。普通の人間が行おうとすれば、相当な練習を積まない限り心筋梗塞になる恐れがある。そうだな、例えるならば『箱根駅伝をスタートからゴールまで、休憩せずに一人で走り切る』くらいの疲労だな。旅人には、魔力の色や形を見る力――つまり、脳がその処理に適して進化している。だから、軽い疲労程度で済んでいる。間違っても、この技術を旅人基準で人間に教えるちゃダメだからな)
「そう言えば、白詩隊長がそんなこと言っていたっけか。この案件が片付いたら、特訓しないとダメだな」
今になって隊長が言っていたことを理解した。確かにこの力を人間に伝授するのは、自殺行為に等しいかもしれない。何名かに伝授しようかと思っていたのだが、今の疲労状態を考えても教えるのは危険かもしれない。まずは、この状況に身体が慣れていない段階で教示するのは危険である。なので、今回は断念する事にした。
「それにしても、あの紫色のオーラが目に行ったな。どこか見覚えのある色だったが、一体どこで見たんだろうか。レーヴァと似た形をしていたが、やはりどこか違うような気がする。あれが、ミョルニルの魔力なのだろうか」
先ほど見た赤紫色のオーラの糸の方向を思い出し、ゆっくりとコーヒーを飲みながら広場の方へと目を向ける。そこには街の地図が描かれている看板が立っている。それを見ながら先ほどの糸が伸びている先を当てはめ、大まかではあるが場所を把握した。先ほどのオーラの糸がミョルニルのオーラなのか不明であるが、魔力の形状を思い出しても追う必要がある。なんせ、ミョルニルの情報は少ないのだ。我々が追っていたのはレーヴァであり、レーヴァに兄がいる事すら知らなかったのだ。
「ミョルニルの情報は、あくまで状況証拠で伝えはしたが確定ではない。彼奴はこの世界で何を起こそうとしているのか。はぁ、やはり実際に会ってみないと分からないか」
サンドイッチを食べながら、ジッと先ほど買った新聞を読む。書かれている内容は、やはりと言えば良いのかアストリア家と俺についてだった。旅人様が国に来たことで、海の向こうの国の王も来るとか、アストリア家の過激派の者たちで処刑されなかった者が奴隷となり、その子ども全員をシャトゥルートゥ集落の長が買い占めたと言う情報だった。現在、シャトゥルートゥ集落には隊長を含めた旅人たちがいるから問題はないだろう。
「アストリア家についての情報は、ホムホムにも伝えているはずだが。ホムホムは一体どういった理由で、過激派の連中を購入したのか。人手が足りなかったのか、それともミョルニル関連で――いや、あそこには無月隊長がいるからそれはない。理由は不明だが、ホムホムには後で連絡を入れて聞いてみるか」
一通り新聞を読み終え、ある程度だが体力も回復した。先ほどのオーラを追うため、会計を済ませて店を出る。オーラの糸は時間経過で消えてしまうため、先ほど発見したオーラの糸があった方へと向かい、魔力を再度目視で確認する。運が良かったのか先ほどのオーラの糸はまだ残っていたので、それを掴みオーラの形と魔力を記録する。また疲労で動けなくなる訳にはいかないため、魔力を見る機能を切断した。
「さて、確かこの方角には国が経営している庭園があったはずだな。本当に其方へと続いているのか、念のために五分毎にオーラの糸を確認しながら行くとするか」
喫茶店を後にして、オーラの方向へと歩いて向かう。しばらく歩いていると、観光用の無料パンフレットが置かれていた。オーラが伸びている先を知りたかったので、一枚だけ貰いパンフレットを読む。これから向かう先には、バルド王国が誇っている庭園があるらしい。バルド王国が管理しており、市民の憩いの場として入館料が無料らしい。元々は、現王妃が国王と結婚する前に住んでいた屋敷だったらしい。今は空き家になってしまったが、王妃の粋な計らいから憩いの場として提供することになった。今でも王妃が愛したバラが咲いているらしく、デートスポットにもなっており、屋敷の中に喫茶店スペースを作り経営していると書かれていた。庭園の見どころには『青いバラのアーチ』と『街が一望できる展望台』らしい。また、庭園の手入れは一流の庭師が行っており、庭師に会えると恋愛が成就する等が書かれていた。
「なるほど、庭園があるのか。庭園なんて何年ぶりだろうか。それにしても、人の姿が減っているような気がするな。先ほどまでいたはずの監視者たちの姿もなく、エルフ、ドワーフ、獣人たちも、浮浪者たちの気配すら、庭園へ向かうに連れて減っている。人払いの結界が張られている可能性はあるが、その気配も感じられない。とりあえず、隊長に報告はしないとな。どうやら本命と遭遇する可能性があるようだしな」
この世界には存在しないはずのオーラを追う為、何かあればすぐに対応してもらうように報告をする必要があった。本来なら通話での報告が望ましいのだが、どこに奴がいるか不明なので念のためにメールで現状の報告を入れて目的地に向かう。庭園が見えてきた頃には、人の気配は無く、俺一人だけがこの場所にいる状態になっていた。まるで、誰かに誘われているような感覚になったが、そのまま庭園の正門の前で立ち止まる。
「此処が庭園か。パンフレットに書いてあった通り、屋敷を喫茶店として提供しているのか。正門も解放されているようだが、流石に警戒せずにはいるのは危険だな。武器は携帯は問題ないな。よし、中に入るか」
庭園に到着するとそのまま中に入り、目の前にある庭園の地図が描かれた看板を見た。地図を覚えてから、オーラの糸を再度確認する。庭園の地図とオーラの糸が伸びている方向を照らし合わせると、展望台の方へと向かって伸びているように見える。庭園の中を歩いていると、微かにだがバラの香りがする。その方向へと目を向けると、とても綺麗なバラが咲いていた。
「此処が、王妃が暮らしていた屋敷か。立派な屋敷だな。それに庭師の手入れが行き届いているのか、バラのアーチも素晴らしかったな。此処まで立派なバラは見たことがない――いや、あったか? うぅむ、あまりにも多くの世界を旅してきたから、記憶があやふやになっているな」
白や赤、白桃色のバラが咲く庭園の中を歩いていく。バラの香りに懐かしさを覚えながら、庭園の奥にある噴水広場へと到着した。この世界で噴水を作り上げたのは、この庭園が最初だったと本で読んだ記憶がある。バルド王国に向かうのに情報を得る必要があったため、いろいろと情報を得たのだが、その中でこの庭園の人気とも言える『芸術的な石造の噴水』がある。
「どう見ても『ヴィーナスの誕生』の絵画の中央に立っている女性だよな。何故、この貝殻の上に乗る女性だけを噴水にしたんだ? 折角なら布を持ってる女性とかも作ればよかったのに」
目の前の噴水を見ながら、少し不満を漏らした。なんと言えば良いのか分からないが、いろんな人間が異世界から召喚または転生すると、手が付けられない状態になるのだなと再認識してしまった。この世界に『ヴィーナスの誕生』と言う名画を再現する行為に、この名画を書いた画家はどう思うのだろうか。異世界だから『盗作』ではないと言えるのか。そんな事を考えていると頭が痛くなってきた。
(さて、そろそろ魔力を追うか)
噴水の方まで伸びていたオーラの糸は徐々に太くなっており、目的の人物まで近づいていることは確かである。だが、それよりも不自然なことがある。庭園に入ってからずっと、人や動物に出会っていないことだ。気配を探知しようとしたが、この庭園内に俺以外に誰もいないのだ。だが、オーラの糸は徐々に太くなっている。人がいないのに、オーラは太くなっている事に違和感を覚えながら、噴水より先の方へと延びているオーラの方へと目線を向ける。オーラの先は方向には、この国を一望できる展望台があるとパンフレットに書いてあった。
「人っ子一人いないこの現状で、オーラだけは太くなっていく。この太さと伸びている線から予想しても、間違いなく一望できる展望台がゴールのはずだ。なのに、気配が感じ取れない」
有るようで無い、無いようで有ると言う謎の現象に頭を悩まさせながら、懐に装備しているヴィレッタとナイフを確認する。愛用のナイフを抜き、刃こぼれがないか確認して鞘に戻す。ヴィレッタに弾丸が装填されていることを確認し、周囲を警戒しながら歩いて向かう。バラのアーチのほかに、コスモスやアネモネに似た花が咲いている。草花に目が行ってしまうのは、草花に微量ではあるが魔力を帯びていたからである。それも、この追っているオーラのから出ているモノと同じタイプのものがである。
「魔力の残り香が、草花に付着したという事か。博士は草花が好きだったな。人間は人体実験の道具としか見ていなかったあの男が、唯一草花だけは大事にしていたな。残り香の大半がアネモネに付着している。あの男が愛した花であるアネモネとなると、ますますこの先で待っているのはミョルニルだろうな」
博士が愛した花。今思えば、この庭園の造りは、どことなく最後に博士を殺した場所に似ている。徐々に展望台に近づくに連れて、あの日の事を思い出してきた。白兎との意識の融合を行っているため、徐々にだが博士を殺した時の光景が脳内に再生されていく。
海上の上に建てられた研究施設の屋根が開閉され、今日のような雲一つない綺麗な青空だった。研究施設の真ん中には、博士の娘が入れらたカプセル装置があり、博士はその装置の起動準備をしていた。そう言えば、その装置の周りにはアネモネの花が咲いていた。まるで、死者への手向けの花のように、装置の周りを囲うように咲いていたのだ。
「まさか、本当にいるとは、な」
展望台の目の前に到着すると、一人の青年がアネモネの花を見つめながら立っていた。ぼさぼさな赤黒いショートヘアに、翡翠のような綺麗な瞳の童顔。だが、どこか近寄りがたい雰囲気を出している。白衣に黒い生地のタックワイドパンツを着ており、どこかで購入したのか木製のステッキを持っている。その姿と雰囲気から間違いなく「レーヴァ」であると認識してしまう。だが、今までの情報から目の前の男が「レーヴァ」ではなく「ミョルニル」だと分かる。それ故に、警戒心からか、その場から一歩も歩くことができない。
「お前なら、私の居場所に気が付くと思った。あの日以来だな、久々利 白兎」
俺の方を振り返ろうとはせず、目線だけを此方に向けて言う。その声は、間違いなく博士本人の声だと分かる。博士の声は、人を安心させる。それはまさに死神のように無慈悲に、残忍に、その声によって心を惑わされ、実験の素体になった人間たち。この男は生かしてはならないと、あの日の俺は心の底から思う。だからか、懐かしい博士の声に一瞬だが殺意が湧いた。今すぐにでも、この男を殺せと本能が叫んでいる。だが、何の情報も得られずに殺す事は、今の段階ではできない。いや、そもそも一対一で戦って勝てるのかも不明な中で、戦闘は避けるべきだと無理やり思考を切り替える。懐に装備している拳銃に伸びていた手をひっこめて、博士が何をしようとしているのか知るために、拳銃とナイフを抜くのを我慢して答える。
「あぁ、久しぶりだな。ミョルニル――いや、御心博士と呼んだ方が良いか」
「ふ、その名は貴様が奪った名だ。それに価値などない。久しぶりの再会だ。お互い語り合うとしよう」
博士はそう告げると、そのまま展望台のテラスへと向かって歩き出す。
その姿を追うように、俺もまた警戒しながら歩き出す。
どうも、お久しぶりです。
仕事が忙しく、中々書くことができなかった私です。
何とか、書き上げました。
あぁ~本当に投稿頻度が下がってしまい申し訳ありません。
まだまだ忙しくなると思いますが、少しずつ書いておりますので、
頑張って完結させます( ;∀;)
では、次話で会いましょう ノシ




