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プロローグ

興味を持って下さり、ありがとうございます。

まだまだ企画段階の所が多々ある小説なので更新は遅いです。また、修正も多いです。

頑張って執筆しますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

——嗚呼、神様。


皆がそう言ってあいつの前に跪いた。


神様。


お前が本当に神様なら。


何故俺のことを救ってくれなかった。


「貴方は」


神様は最後に残った俺に向けて言った。


「何故ここに来たのですか」


とても懐かしい、優しい声。


「……俺は」


救ってもらいたいんだ。

お前に。神様に。


「お前を殺しに来た」


俺の口から、本心は出ない。


俺は服の下に隠し持っていた拳銃を神様に向けた。

これでいい。神様なんていない。いなくていい。殺さなきゃ。消さなきゃ。


誰のお陰で、こんな物騒な物の扱い方を知っているのかも忘れ、誰のお陰でここまで来れたのかも知らずに。


「それが、貴方の望みなのですか」


「そうだ」


「本当に?」


「本当だ」


と、うそぶく。


「けれど貴方には、私を殺すことはできません」


神様の言葉は絶対だ。

俺の人差し指は引き金にかかったまま動かなくなる。


「っ……神様なんて、」


いない。いない。いない、いない、いないいないいないいないいない!!

俺の望みを叶えない神様なんて、こんなに小さい願いも届かないなんて。


この願いは小さい。


「お前は、神様じゃない……!」


「っ……?!やめなさい!」


俺の指は、もう神様の言うことを聞かなかった。


…。

……。

………。


「ぅ……」


なんだ……。

眩しい。機械的で人工的な光。あまりにも強烈なその光は、俺の視界を焼いた。

その光が強烈な照明であることに気付く。


…ああ、そうか、俺は手術室にいるんだ。


「じゃあ、始めようか」


誰かが言う。


「神様に逆らった罰だ」


冷酷で残酷に。


「この罪は、死で償ってもらわないとね」


俺は視界の端に細長い針を捉える。

病院で見たことがある。


……注射器。


次の瞬間、口内が血で犯された。舌が態態その味を伝えてくる。不味い。鉄の臭い。

全身の血が逆流したみたいだった。気持ち悪くて何度も咳き込む。血を吐き出す。吐く、咳き込む。

脳は泥酔したみたいにぼーっとした。けれど、的確に苦痛を訴えてくる。


死ぬ。


死ぬんだ。


心臓は握り潰されたみたいに痛い。

俺の喉から叫び声は出ない。出るのは鮮血だけ。


神様はいない。


俺が殺した。


身体は自分の意思ではピクリとも動かず、もがき苦しむことさえ許されなかった。


あいつは神様じゃない。


俺は神様なんて殺してないのに。


「…鈴霧」


遠のく意識の中聞こえたのは、俺に注射器の針を刺した人のものとは別のものだった。


「彼を助けなさい」


その言葉だけで、ふっと苦痛が和らいだ気がした。


「大丈夫。貴方は死なないわ」


その声は優しくて、柔らかくて。

神様の声を聞いたような気分だった。


——神様。


——俺を、救ってください。

神様は、幻想。

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