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57 包囲

「おーい! おーい! 吸血姫様ぁー! 聞いてくださーい。こっち、こっちですよ、神様が用がありますよーーー!! 吸血姫様、ビカムを助ける方法がないですかね? 何かあったら教えてくださーい!!」


 「うん? ゴミ虫は相変わらず、うるさいのー! 妾は病み上がりで、これからバカ犬へのお仕置きがあるんじゃ!」


 「いやいやいや! あんたたちふたりでビカムを助けたんでしょ?! どうして、そっちに発想が言っちゃうのかなー? そうじゃないでしょ! まずはビカムを助けることが、先決なんじゃないですか?」


 「ビカム殿はお休み中だしのー! 妾も一緒にお休みすればいいのかの! ちゅーちゅーしたくなるぞ! じゅるっ!」


 「ち、ちょっと、ちょっと! それはあきまへん! そんなことをしたらビカムは逝ってしまいます。・・・って、そういうことですか? 今は、手っ取り早く、ビカムを回復する手段はないんですね?」


 「じゅるっ! おっと、いけない、いけない。そうじゃったのー。本能のまま行動してはまずいな」


 「うーん。これは困ったねー。吸血姫様が復活されたのはいいんだけど、ビカムはそのままだし・・・・。なんか手はないかなー! 回復スープを飲ませ続けてもいいんだけどさ、きっと、相当な時間がかかるよね!」


 「あっ! 神様! あれを使ってはみては?」


 「うん? 狼耳のお姉さん! 何か思いついたの? 言ってみて!」


 「TSキノコですよ! ビカムさんを女勇者にすれば、気合で起きるんじゃないですか?」


 「TSキノコって、まだ、持ってたの? うーん! それはまた悩ましい問題だねー。バカマニュアルに記憶なくすかも? とか書いてあったしなー。とんでもないことになったら困るし、でも確かにそれなら気合で起きる気もするし・・」


 「きゃーーーーーーー! 神様ぁー! 兵隊がいっぱい来た~!」


 「一気に取り囲まれています! 罠だったのかもしれませーーん!」


 「えっ! 何? 何が起こったの? ぎゃーーー村に敵が来てるよ! あいつら、さっきの兵隊だね! って、あいつら人じゃねーよ! ゴブリンとかオークじゃねーか! まずいよ! 今、ビカムを攻撃されたら、さすがにまずいよ」


 「ぎゃーぎゃー騒ぐでない! ゴミ虫が!! 妾がいるのに、そんなことはさせん! 外のザコどもは妾が蹂躙してくれるわ! 行くぞ! 眷属ども! バカ天使のお仕置きは、一時中止じゃ!」


 「くるくるくるくる、目が回る! はぁ、はぁ。もうダメだす! 体中から水が流れてサキエルちゃんは瀕死だす」


 「くるくるくるくる、目が回る! はぁ、はぁ。なんとか許してもらえたのか? 俺は関係ないのによー」


 「なんかバカ天使は解放されて、吸血姫様が眷属どもを連れて、戦いにいったよ! 大丈夫かなー、って、今は吸血姫様しか戦えないし、お任せするしかないよね。バカ天使がもう少しましだったら良かったのにね! カスだしね!」


 「もうダメだす! うちは犬耳姫のベッドでお休みするだす!」


 「ふざけるな! 俺だよ、俺が犬耳姫のベッドだよ! お前はビカムのベッドで、変態同士仲良くしてろ!」


 「この変態天使!! バキッ!! バキッ!! えいっ! とうがらしだ!」


 「ぎゃーーーーーー! 死ぬ! 痛みで死ぬだす!」


 「ぎゃーーーーーー! なんでそんな容赦ない攻撃してくんだよー!」


 「・・・バカ天使どもは、うさぎさんと狼耳のお姉さんに任せておけば大丈夫だね。それよりも、敵の罠だったのかな? 奇襲をかけられて、村長の家が完全に包囲されちゃったよ。吸血姫様は大丈夫かなー?」


 「この吸血姫様に刃向うバカどもめが! よう参った! ご褒美に、妾の技で黄泉の世界を堪能させてやろう!! くらえっ! 黄泉比良坂送り(ハーデスセンド)!!」


 「ブーン、ブーン、ブーン ぎゃーーーーーーーーー!!!」


 「それっ! 敵がひるんだぞ! いけっーーー! 眷属ども!!!」


 「おおおおおー!! 必殺技出して、敵の前衛を消し飛ばしたよ! 吸血姫様は、やっぱり凄いね。でも、敵もワラワラと湧いてきて数が多すぎるよ! まずいよ! どうすんだよ! もし、吸血姫様がやられたら、アウトだよ!」


 「神様ぁ~! 助けてー! 怖いよー!」


 「ぼ、僕が、お姉ちゃんを守るよ! ブルブル!」


 「神様、ここはもう、TSキノコに賭けましょう!!」


 「うーーーーーーん。そうだね。もう、それしかないね! 女勇者なら、あっという間に殲滅するだろうしね! このままじゃ、吸血姫様も危ないしね! よしっ! お姉さん、やって! ビカムにそれを食べさせて!」


 「はい! 分かりました! では、ビカム様、あーーんですよ!」


 「うーーーん! うーーーん! あーん! ばくばく、もぐもぐ!」


 「成功です。食べました!」


 「うん! 頼むぞ、女勇者ビカム!! おっ! 光出したね! よしっ! 寝息が、すーすーに変わったよ! ビカムさん起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、神様たち敵に包囲されて大変だよーーー!!」


 「うーーーん? く、苦しい! な、なんだ、こ、これは!」


 「また、女になっただすよ! キモイだすな!」


 「ああ、コロコロとよく変わるよなー!」


 「バカ天使どもはうるさいんだよ! 大人しくしてろ! それよりも早く、早く、回復魔法を使って!!! 君、じゃなかった、あなたは全回復魔法を使えるから! それで、一瞬で治るはずです! 急いでください!」


 「そ、そうか・・・えぃ!! ふーーーーーーう!」


 「やったー!!! 成功だ!!! ギューーーンって一気にHPバーが回復したよ! さすがビカムだよ! 勇者復活だよ! って、喜んでる場合じゃなかったね! 敵がいっぱいで吸血姫様が戦っているので、助太刀をお願いします!!」


 「何! 魔王の手先か!? ウサ耳姫!!! 今、参りますぞ!!!」


 「ベッドからピョンと飛び跳ねて、戦いに行ったねー! さすが女勇者ビカム! 彼女は弱点もないし、絶対に負ける訳がない最強勇者だからね! もう、安心だね! いくら敵がいても負けないよ!!! 大丈夫だよ!」


 「わーーい! 助かったー!」


 「そうね! うまく言ったわね! ほら、いい子、いい子。もう大丈夫よ!」


 「うん! 良かったね! お姉ちゃん!!」


 「よしっ! じゃ、ま、そういうことで、神様は敵が殲滅される様子と敵のボスを見て来るよ! みんなはここで犬耳姫を看ていてね! それとバカ天使はオイタをしないように、一緒に行くからね! ほら、行くよ!!!」


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