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54 瀕死

 「嫌だす! 行きたくないだす!」


 「そうだよな! もう、俺だけでも、勘弁してください!」


 「ダメだね、勘弁できないね! 駄々こねてるんじゃねーよ! 神様が行くといったら、素直に従うのが天使なんだよ。そんなの、認める訳がねーだろ! もう、早くビカムの後を追わないと、あいつ何するか分かんないんだからさ!」


 「神様が、一人で行けばいいだす!!」


 「そうだ、そうだ!! 俺たちは関係ないぞーーー!」


 「もう、うるさい!!! いいから、来い!! 羽を掴んでやるよ!! バサッ、バサッ!! これで逃げられないだろ!!!」


 「ギャーーーーーー、やめるだす! 助けてくれだす!」


 「ギャーーーーーー、鬼畜だー! 天使殺しだー!」


 「あーーーー、うるさい!!! そんなの無視だね。よしっ!! じゃ、行こうね。それっ! 帰るぞ! 王国へ!!」


 「「やめろーーーー! あっ! あーーーーーーーーーぁ」」


 「よしっ! 着いたねー! ほんとに王国に戻って来たねー! 黄金のキマイラの羽、凄いね! って、そんなこと言ってる場合じゃないね! ビカムはどこに行ったんだろうね! うーん、まずは、王宮に行くのがいいのかなー!」


 「もう、好きにすればいいだす! シャムネコ、うちは、もう命をあきらめただす!」


 「そうだなー。きっと助からないな! 俺たち!」


 「うーん、このままでもいいんだけど、仕方ないか! お前ら勘違いしてるみたいだけど、落とす命なんてないよ! お前らは神様が命を吹き込んだ存在なんだから、たとえ塵になっても、神様が何度でも復活させられるんだけどね!」


 「「えっ!! えーーーーーーーーーーーー!!」」


 「それをもっと早く教えるだす! ビビって損しただす! ビビった分を返してくれだす! ・・・無敵のサキエルちゃんだっただすな!」


 「そうなのか? なんだよ、それを先に知ってれば、ビカムなんて、ビビることなんてねーじゃん! 不老不死のシャムシエル様が天下を取れるじゃん!!」


 「・・・お前ら、あまり、いい気になるなよ! 神様しか復活させることは、できないからな! あんまりバカばかりで言うことを聞かなかったら、即座に御払い箱にするからな!!」


 「またまた~! 神様はすぐにお説教するんだからー。ちょっとキャッホーしただけだす! いい気になんか、ならないだす!」


 「そ、そうだよな! あまりに嬉しかったので、ついつい口が滑っただけだよな!」


 「なんか信用できないけど、まあ、いいや! って、何、何、あれ、何? 向うから来る3人は? って、えーーーーーーーー! ビカムが犬耳姫と吸血姫に両側から抱えられているよ! 3人とも血だらけだよ! 何がどうなってんだよ!」


 「ありゃ、そうだすな! 痴情のもつれで、逝かれただすか?」


 「そうだな! チーン! 南無南無! 念仏でも唱えとくか!」


 「ふざけんな、お前ら!! ビカムのHPは、HPはどうなってんだよ! ・・・って・・・・・・えーーーーーーーーーーーーーー、135、って、瀕死じゃん! マジで逝きそうじゃん! この王国で、何が起こったんだよ!」


 「い、い、ところに・・・ゴ、ゴミ虫! 逃げるのじゃ! 早く! ガクッ!」


 「や、や、やられてもうた! はよう、ビカムちゃんを! ガクッ!」


 「うーーーーん、ぐぅー、うーーーーーん、ぐぅー」


 「おいおいおいおい! ありえねー! どうしたんだよ! ふたりともガクッ! とか止めてくれよな! このふたりとビカムがこんなにやられるって、どんな敵だよ! ヤバいよ! 最大のピンチだよ! どうすればいいんだよ?!」


 「うろたえてるだす!」


 「そうだな! でもチャンスか!? 今ならビカムを永久に・・・」


 「クックック! シャムネコも悪よのー!」


 「いやいや、バカサキエルほどではありませんぜ」


 「「ワッハハハハハハハ!!!」」


 「じゃ、ま、そういうことで!! やっちまうか!」


 「バサッバサッ! バサッバサッ!」


 「痛いだす! 何するだすか! 神様!」


 「痛てててて! やめろよな! 羽がもげるだろ!」


 「バカ天使がくだらないことしてるから、お仕置きしたに決まってんだろ! 次、バカやったら、もう容赦しないからね! お前ら2匹を串刺し団子にして、ケルベロスに、死なない程度で、ずっとしゃぶらせるからな!!」


 「なっ! 何をぶっとんだことを言ってるだすか!」


 「ほんとほんと。なんだよ、それ! 酷すぎるよな!」


 「お前らが、こんな大事なときにとんでもない悪だくみごっこしてるからだろ! 全面的にお前らが悪い! それしか認められません! 反論は一切聞きません。以上。そんなことより、どうするか考えろよな!!」


 「まったく、無茶苦茶だすな!」


 「ほんとだよな! やっぱとんでもねー、我儘じじいだったな!」


 「ほんとだすな。って、あっ、神様! あそこ! お城のほうから、殺気だった兵士が、駆けて来ただすよ!」


 「ほんとだな。あれは追手だな。これは逃げるしかないな!」


 「マジかよ・・・・?! 何が起こったのかも、何も分からないのに、逃げるしかないのかよ! そうだ!! ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、犬耳姫とウサ耳姫が大変だよー!」


 「うーーーーーん! うーーーーーん! ぐぅーぐぅー」


 「ぎゃーーーーーーー! 起きろよな! 起きて回復魔法使えよな! ・・・ダメじゃん! これで起きないって、最悪じゃん! ビカム、重症だよ! どうしよう・・・これは、マジで、やばいね!」


 「とにかく逃げるだす!」


 「そうだな! ここは逃げの一手だとシャムシエルちゃんの頭脳が言ってるしな!」


 「確かに、ここにいては危険だね! よしっ! じゃあ、すぐに逃げるよ! お前らは吸血姫と犬耳姫ね! 神様はビカムを抱えていくから!! あーー、でも、お前ら、相手が気を失っているからって、エロいことすんじゃねーぞ!」


 「な、なにを言ってるだすか! こんなときに!! 信用ないだすなー」


 「そうだよな! ちょっと役得するだけだよな!」


 「バカ天使!! それをするなって言ってんだよ!! ちゃんと運べよな! とにかく遊んでる暇はないんだからさ! ・・・で、どこへ逃げれば・・・そうだ!! NPCの村! あそこなら大丈夫だろう。ほら、行くよ!!!」


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