52 殲滅
「バキッ! ボカッ! ドカッ! ボワッーー! ガブッ! ドカッ! ボカッ! バキッ!」
「あちゃーー! 完全に包囲されてボカボカに殴られているよ! あっ! また炎に包まれた! あっ! 今度は叩き潰されてる。サンドバックだね! でもビカムも抵抗しないね! いいようにやられてるんだけど、大丈夫なのかな?」
「ボワッー! バキッ! ボカッ! ドカッ! ボワッーーー! ガブッ! ドカッ! ボカッ! バキッ!」
「ニカッ! キラーン!」
「あっ、なんだよ、あれ? 今、ビカム笑ったよ! キマイラとかにボコボコにされているのに、一瞬の隙をついて白い歯キラーンとかしてるよ! あれは何の意味があるの? 余裕をかましてるの? 相手をバカにしてるのかなー?」
「そんなの知らないだす!」
「そうだよな! 部下にそんなの聞くなよ! さっさとマニュアル読めよ!」
「なんかムカつくねー! まあ、いいや。アホなマニュアル見るよ! 仕方ないしね! あっ、これだ! 『微笑回復』:戦闘中に笑うと回復します。キラーンが出たら、クリティカルで全回復! だって。なんだ、それ!」
「やっぱりアホだすな! そのマニュアル!」
「まあ、笑う門には福来る、っていうからな。それだろっ!」
「なんか、シャムネコが偉そうに語り出しただす。生意気だすな!」
「語ってねーよ! 諺を言っただけだろ! バカサキエル!!」
「なんだすかー! やるだすかー! さすがにそろそろ、ニャーニャー泣きたいだすね!」
「はいはい! 三文芝居はその辺で終わり! そんなことに行数を使うなよな、もったいない! まあ、あれで全回復なら、ビカムは負けないね。HPを見るまでもないね。リア充っぽくてムカつくけど、クリティカルで全回復だもんね」
「でも、敵もどんどん援軍が来てるだすよ!」
「ほんとだなー! どこから湧いてくるんだろうな!」
「すごい数だねー。もう1万とか、2万とかいそうだね、これ。街が真っ黒になっているよ。・・・あっ! ビカムが怒りだした! まずい! まずいよ! ビカムがタコ殴りにされるより、こっちのほうが百万倍もまずいよ!!!」
「ガブッ! バキッ! ボカッ! ドカッ! ガブッ! ドカッ! ボカッ! バキッ!」
「ピキッ! なんか、腹立ってきたなー」
「ガハハハハハ!! それそれ、やれやれー! なぶり殺せー! どんな汚い手を使ってもいいぞ!! どんどん攻めて、HPを削るんだ!! そして、あとかたもなくバラバラにして、食い尽くしてやれーー! ガハハハハハハハ!!」
「さてっと、うちらはそろそろお暇の時間だす!」
「そうだな、じゃ、ま、そういうことで!」
「こらっ! ちょ、ちょっと待てよ、お前ら! 勝手に逃げんなよな! ちゃんと最後まで責任もてよな! どうすんだよ、これ! 街の人が巻き込まれるだろ! きっと、ビカムのやつ、街ごと消滅させるよ! 神様、怒られるよ!」
「怒られて当然だす! 神様のせいだす! 部下に責任を押し付けるのは最低だす!」
「そうだよな! 責任者は神様で、俺たちは通りすがりの天使だもんな。関係ないね!」
「うるさい! もういいよ! お前らなんか知らないよ! うーん、仕方ないね! ビカムが爆発する前に街の人だけ、いったん天界に瞬間移動させるよ! 最後の手段を使うよ! バカ天使が役に立たないんじゃ、これしかないね!」
「ふーん。反則技の登場だすね! まあ、いいけど!」
「ああ、それこそ、怒られるな! まあ、神様のせいだから、俺は関係ないけど!」
「ほんとに、サイテーなやつらだね。・・・なんて、言ってる場合じゃないね! 『う~ん、えぃ、やぁ!』 はぁ、はぁ。なんとか成功したみたいだね。これで最悪でも街がなくなるだけで、大量の死者がでることは免れるね!」
「ピキッ! ピキッ! お前ら、いい加減にしろ! 僕、怒るぞ!」
「ガハハハハハ! こいつは面白い! 自分が、今、どんな状況なのか分かってないのか? 我ら魔王軍の総攻撃は、耐え切ることも、逃げ切ることもできぬのだ! もちろん、いまさら謝っても、許さんしな!!! ガハハハハハ!!」
「ゴドルフのやつ、あいつこそ、自分がどんな状況かまるで分ってないね! あいつアホだね! アイパッチの海賊狸だって、分かったのにね! もうすぐビカムの虐殺ショーがはじまるよ! 一瞬で殲滅かもしれないけどさ!」
「ガブッ! バキッ! ボカッ! ドカッ! ガブッ! ドカッ! ボカッ! バキッ! ガブッ! ドカッ! ボカッ!」
「ピキッ! ピキッ! ピキーーン!! あーーー! もう怒った!!」
「うわっ。ついにキレたよ!! なんだよ、あれ! 光の輪を次々と出して重ね始めたよ! すごいよ! 本気のビカムが出るよ! まだまだ出してるよ! どんだけ出てくるんだよ! ボスのサイクロプスが目を丸くしているよ!」
「な、なんだ、こいつ! まだ、そんな力を残してたのか! やれっ!! 一斉に攻撃してあの光の輪を蹴散らすんだ! ひるむな! あんなものは子ども騙しだ! おいっ! こらっ! お前ら逃げるな!! ドカッ! バキッ!」
「なんかゴドルフのやつ、焦り出したよ! 逃げるやつも出てきてるよ! まあ、狸でも分かったんだから、そういうやつが出てきてもおかしくないけどね! でも、もう遅いね! 今のビカムからは逃げられないよね!!」
「フッ!! ビカム永久輪舞!!」
「スパン!スパン!スパン!スパン! スパパパパパパパパパパパパパッ!」
「バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ! バシューーーーーー!!」
「うわっ、うわっ! ついに出した! なんだよ、あれ? さっき重ねていた無数の光の輪が一斉に飛んで行って、敵を切り刻んでいるよ! うぇーー! 辺り一面に赤とか青とかピンクの血煙が上がって、視界がぼやけてきてるよ!」
「ぞぞぞっーーー! ・・・・ビカムさんは危険だす!」
「ぞぞぞっーーー! ・・・・ビカム様はあんなことができたんですね!」
「お前ら顔が青ざめて、ビカムさんとかビカム様とか、今までと、ぜんぜん違うじゃん! って、まだ、光の輪が飛び回って、敵を切り刻んでるよ! 断末魔を上げることも許さない技って凄すぎるね! あれは、いつ止まるんだ?」
「ぜ、全滅だす! ガクブルブルブルッ!」
「体中に返り血を浴びまくって、血の海に、ぽつんと佇むビカム様! ガクブルブルブルッ!」
「いやー、本当に凄いね! さすがの神様もこれほどとは思ってなかったよ! さすがレベル19580だね。20分の1程度の999じゃ、いくら数が多くても相手にならないんだね。って、あー、サキエルがまた失禁してる! 汚ねーな!」
「あ、あんなにいた、魔王軍が全滅だす! ふ、震えが止まらないだす!」
「そ、そうだな! も、もう天界に帰りたい! こんなとこ嫌だーーー!」
「バカ天使たちは、完全にビビったようだね! ブラッド・リメンバーの街が、完全に血の海になっちゃったよ! 人々を天界に逃がしておいて正解だったけどさ・・。でも、このあと、どうするんだ?? って、誰も聞いてないか」




