51 ブラッド・リメンバー
「あーーー、もう、いいや! もう訳が分かんないけど、物語を進めるよ! もういいよ! 記憶失ったり、リアルかゲームかなんていいや! かも、とか、えへへ、とか書いてあったしさ! こんなの知らねーよ! 対応できねーよ!」
「問題から逃避して、投げ遣りになっただす!」
「ああ、そうだな! やっぱ、このじじい典型的なお坊ちゃまだな!」
「じゃ、ま、そういうことで! さっさと行くよ!」
「うんうん! そうだ、そうだ! 天使は大バカで、ビカムが正しい・・。って、あれっ? あれっ? うーん? なんかおかしいねー! ま、いっか! 次の街に行くよ! なんか大きな城壁があるねー! あそこに行ってみようね!」
『ビカムがおかしいだす! これは一大事だす!』
『そうだよな! さっさと行くよ、とかねーよな! めんどくせーとか、虎耳娘は? とか言うのがビカムだよなー!』
「さっきから、こそこそ、うるさいんだよ! 物語を進めるんだよ! ・・・なんか、この街は城壁も立派だし、門番もいるし、ものものしいね! ・・・どうもー! 旅の者ですけど、ちょっと、街に入りたいんですけど・・・」
「おい、お前ら!! なにが、『どうもー』だ!! そんなんで、このブラッド・リメンバーに入れる訳がないだろ! 通行証は・・・」
「おいっ、こいつら・・・」
「あっ!! えーーと、もしかして、勇者のご一行様ですか?」
「そそそ、それです! そうなんです。これが勇者ね! それで私が、お供の魔法使いで、その辺の2匹が使い魔の1号、2号です。・・・って、ここブラッド・リメンバーって言うんだ。すごい名前の街だね!」
「これは、失礼しました! どうぞ、お通りください!」
「サキエルちゃんを1号とか言ってるだすよ! このじじい! しかも自分を魔法使いとか・・・。お笑いだすね!」
「いやいや、お前は2号だな! 俺が1号だから! そんでもって魔法使いはねーよな! 魔法なんて使えねーじゃん! 知らんけど! キャハハハ!」
「やれやれ、シャムネコはバカだすなー!」
「うるせー! お前にだけは言われたくねーよ!」
「ハーレム! ハーレム! リア充! リア充!」
「はいはい! そこっ! 黙れ! さっさと行くよ! それとビカムは何それ? 何を連呼してんの、そんなのないからね! ・・・さて、どうしようかねー。よしっ、じゃあ、街の中央に広場があるみたいだから、行ってみようね!」
「ここはなんだすか? 大きな噴水があるけど、人がいないだすよ!」
「そうだな、広場なのに、誰もいないなー! なんだろうなー!」
「あれっ? おかしいね! なんだろうね! こんな大きな街なのにね! って、あそこの窓の人、今、隠れたよ! あっ、あそこの人も! 何、何、これ? まさか・・・・・罠? やばいの? 何がどうなってんの?」
「なんだよ! やっぱ、リア充じゃねーじゃん! ボッチじゃん!」
「ボッチとかそういう問題じゃねーよ! 確かに人がいないけど・・・って、なんだ、なんだ、回りからいっぱい出て来たよ! 囲まれてるよ! キマイラ、サイクロプス、ヒュドラ、グリフォン、ドラゴンなどなどが勢揃いだよ!」
「ガハハハハハハハ! 吾輩は、魔王軍のゴドルフ大将軍様だ! 吾輩が治める魔王軍の最大拠点にまで乗り込んでくるとは、いい度胸だ! バカ勇者!! ここで、バラバラに引き裂いて、骨一本まで食らい尽くしてくれるわ!」
「あちゃーー。なんか、ボスまで出て来たよ! 超大型サイクロプスだよ! 15メートルくらいあって、大木のような巨大棍棒を持ってるよ! 街ごと魔王軍の拠点だって! これはビカム君でもヤバいかな? って、何してんの?」
「痛っ! ふーーーーー!」
「何で、この状況で鼻毛を引っこ抜いて、ふーとかしてんの? 何なのそれ? それ余裕なの? それならいいんだけどさー! あのさー、ゲームじゃないからね! HPが0になったら、それで一巻の終わりだからね!」
「こいつらのこと? レベルたったの999だよ! 負ける訳ないじゃん!」
「おい! 貴様ら! 何をさっきから訳の分からないことを言っている! 舐めてんのか! バカ勇者め! いっぺん死ね! ブォーン! ブォーン! ブォーーーーン!」
「あぎゃーーーーーー! いきなりゴドルフの巨大棍棒が起こす強風で飛ばされちゃったよ! はぁ、はぁ! ビカムは? ビカムはどうした? って、あいつまだ噴水のところにいるよ! なんともなくて、佇んでいるよ!」
「ピューーー! じゃ、ま、そういうことで、うちらは、さよならだす!」
「ピューーー! そうだな、俺たちは関係ないもんな!」
「ち、ちょっと待ったーー! 神様をどこかに降ろせよ! ビカムの様子が分かる、あの城壁の上、とりあえずあそこ! あそこに連れて行くんだよ!」
「仕方ないだすなー。さっき、羽を直したサキエルちゃんのお手柄だすな!」
「ほんとだよな! シャムシエル様がいなかったら神様アウトだったな!」
「はいはい! それでいいからさ。ふーーー。それで、ビカムは? あーーぁ、なんか、総攻撃を受けてるよ! タコ殴りになってるよ! 魔王軍、軽く1000はいるねー! って、ゴドルフが高笑いしてるし、ヤバいのかなー?」
「負ける訳ないとか、ほざいてたし、大丈夫だすよ」
「そうだよな、くたばっても俺たちは関係ないしな!」
「それはダメだろ!! ま、今はそんなこと言ってる場合じゃないね! ここじゃ、よく見えないから、近くの塔の上に行くよ! 放っておくわけにはいかないしね! ビカムが危なくなったらさ、また、真・融合を使うんだよ!」
「無理だす! あれは使えないだす!」
「そうだよな! あれは1回使うとしばらく使えないんだよな!」
「そうなの? 使えねー、天使だな! ・・・まあ、仕方ないね! とにかくここにいても、戦いの様子が良く分からないからね! ほら、行くよ!!!」




