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50 復活

 「よしっ! じゃあ、ビカム君を起こしてみようね! 性格が戻っちゃうのかどうかは分からないけど、そこは神頼みだね! ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、性格は女のときのままが神様は嬉しいよーーー!」


 『神頼みって、自分が何者か分かってないだすな!』


 『そうだよな! そういう自覚を持ち合わせていない、ご都合主義のお坊ちゃんだな』


 「うーん。あれっ? あれっ? 男になってる!!」


 「バカ天使は、こそこそうるさいよ! 成功だね。戻ったね。元々さ、君は、男だったんだから、それで正解だよ! それでいいの! いろいろ大変だったけど元に戻って良かったよね! うんうん。それでこそ勇者の大冒険だもんね!」


 「良くねーよ! なんで男にするんだよー!」


 「え?! 何、何、女勇者のほうがよかったの? TSしたかったの? そっちが本命!? もしかして、それであんなに気合入ってたの? なんなの? 君は? それは、さすがに神様も知らなかったし、思いもよらなかったよ!」


 「ビカムが、男に戻って、怒ってるだすよ!」


 「そうだな! こいつは、いつも予想の斜め上を行くよな!」


 「あーーぁ、せっかく、あんなことや、こんなことしようと思ったのに!」


 「やっぱり、変態だす! これがビカムだすな!」


 「そうだな! さすがに、これはシャムシエル様の頭でもついていけないな!」


 「バカ天使、うるせー! 女勇者で魔王を倒したかったのにさ!!」


 「えっ!! 何、何、もうさ、君の言ってることがさっぱりなんだけど、どういうこと? それは何のことを言ってるの? 魔王を倒すのに男も女も関係ないでしょ! 神様は別にどちらでもいいんだけど、ビカム君は男でしょ!」


 「じゃ、ま、そういうことで! 女勇者の1択で!!」


 「こいつ、やっぱりおかしいだす! キノコ食っておかしくなっただす!」


 「そうだな! ここまでとはな。前はもう少しバカさ加減が、ユルかったよなー!」


 「バカ天使はうるさいんだよ! 僕は女勇者で始めるの!」


 「え? え? 何、何を始めるの? ・・・って、もしかして、もしかして、ゲームだと思ってんの? ゲームなら、そういうのもありだし、そういう人もいっぱいいるだろうけどさー! これはゲームじゃないからねー」


 「あれっ?? リアルなの? まさかー。そしたら、僕、超リア充じゃん!」


 「まさかーって、神様がまさかーだよ! 今までずっとゲームだと思ってたの? 君はね、トラックに跳ねられて、この世界に転生して、神様と一緒に魔王を倒す使命を持った勇者! それで、今は大冒険の真っ最中です。分かった?」


 「無理だすよ! こいつの頭はいかれただす! これはもう手遅れだす!」


 「そうだなー! さすがの名外科医のシャムシエルちゃんも、末期廃人の手術はできないな!」


 「バカどもを消し炭にしていいかな? えいっ! ビカムファイヤー!」


 「ぎゃーーーー。あちちちちっち!!! それ、誰も許可してないだすよ。こいつ聞くふりだけして、容赦なく、とんでもない炎を出しただす! 焦げるだす! すべすべお肌が焦げるだす! 助けてくれだす!」


 「ぎゃーーーー。あちちちっち!!! 俺も炎に包まれた! こいつ何なんだよ! 凶暴だよ! 要危険人物だよ! いかれすぎだよ!」


 「・・・まあ、さ、バカ天使はどうでもいいけどさ。ビカムには困ったねー! いーい! もう一度言うよ! ビカム君は、このセントラルワールドに転生して、魔王を倒す最強勇者だから。そんでゲームじゃないよ!」


 「神様がゲームって言ったんじゃん! ・・・・でもリア充かー」


 「いやいやいや。・・・・ゲームとかねー、あーーー、言ったかなー、言ったかもしれないね! でも、普通分かるだろ!! って、それよりも、ニヤケながら『リア充かー』とか言うのやめてくれない? キモイんですけど」


 「それなら、毒キノコなんて食わすなよなー! 死ぬところじゃん!」


 「食わしてねーよ! てめえで食ったんだよ! 自ら死を選んでたんだよ! って、全部ゲームだと思ったから? リセットすればいいとでも思っていたの? どんだけ凄い勘違いだよ! さすがに、神様、ガクブルだよ!」


 「ふーーー。ようやく火が消えただす! それにしても、まだやってるだす! リアル、ゲーム談義を!」


 「無駄だよな! 結論はビカムだから! 以上! だよな」


 「そうだす! それが唯一無二の真実だす! ビカムに多くを求めるなんて、それはもう犯罪だす!」


 「何が犯罪だよ、バカ天使! お前ら炭になったんじゃねーのかよ! その辺で、大人しくしてろ! 今、大切なことを話してて、お前らと遊んでる暇はねーんだよ。それにしてもこれは何だろうね。神様、設定マニュアルを見てみるよ」


 「そっかー、そっかー! リアル充で、最強のハーレム勇者なんだ!」


 「なんか、やる気出してるだす!」


 「やっぱ、おかしくなってるな!」


 「えーと。『TSキノコ』。ここだね。なになに、男と女の性別が入れ替わるので注意しましょう。うんうん、それは知ってるよ。それだけかよ! って、なんか下にあるよ! 老人に優しくないね、こんなの眼鏡がないと見えないよ」


 「じじいのお守りは面倒だすなー! うちが読んであげるだす!」


 「そうだなー。って、なんでお前も眼鏡、出してんだよ! 偉そうに言って見えてないんじゃん!」


 「良いだすよ! そんな細かいことは!」


 「細かくねーよ! そんでもって、またそれかよ! もう、飽きたよ!」


 「おーい! おーい! じゃ、次のハーレムはどこ??」


 「ビカムは普通に戻っただすな!」


 「そうだな! また元のビカムだな!」


 「お前らウザい、あっち行ってろ! ようやく見えるよ。なになに、『注意:食べると、大切な記憶を失い、現実とゲームの境が曖昧になるかも? えへへ』って、ふざけんな! 何なんだよこのマニュアル! って、誰も聞いてないか」


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