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49 余韻

 「よしっ! それじゃ、まずはビカム君、じゃなかったか、今は、さんか?・・・まあ、敬称略だね。おーい! ビカム! 訓練ご苦労さま! ちょっとこっちに来て、このキノコを食べてほしいんだけどさー!」


 「そんな暇はない! 早く魔王を倒さねば!」


 「・・・頭が悪くなってるだす! ネジが10本くらい逝かれただす!」


 「・・・唖然呆然! これは一大事だよな! でも、なんかこのじじいは嬉しそうだよな!」


 「そうだすな! ニコニコしてるだす! こっちはこっちで気味悪いだす!」


 「いやーー! ビカムの口からこんなことを聞ける日が来るとはね! 感無量だよね! これは、ほんとーに戻すのはおしいよね! このままのほうが・・・って思っちゃうよね! でも仕方ないね! ビカム! ちょっと休憩して!」


 「うん! 何か用なの、神様?」


 「そう、用があるんだよねー! ちょーーーと、用があるんだよねー。体を動かして、お腹が空いたでしょ! そこで、これ! このキノコを食べてみようか! ね、ね。美味しいよ! 一口食べてみようね!」


 「お腹空いてないし、そんなことより魔王の居場所を探さないと!」


 「完全にいかれただすな! これは重症だす! うちらは、今、この世の、最もあり得ない奇跡を見てるだすよ!」


 「本当だよな! これほどとはな! さすがの名探偵のシャムシエルちゃんもこの犯人は分からなかったよ!」


 「犯人? 頭の悪いバカ天使にはお仕置き! はっ! はっ!」


 「ぎゃーーー。羽が、右羽が半分なくなっただす。サキエルちゃんの大事な羽が切られただす。こいつ何しただすか! まったく見えなかっただすよ!」


 「ぎゃーーー。俺もやれれてる! ようやく直りかけたのに、また羽を切られてる! 何だこの切れ味は! 剣を振っただけで、かまいたちを発生させたのか! こいつ只者じゃねーよ」


 「うんうん! 神様はそれも知ってたよ! だから言っただろ、こいつは強いって。まあ、バカ天使の羽なんて、切れようが、もげようが知ったことじゃないね! それにしても困ったねー。なんとかキノコを食べさせないと!」


 「なんだ、神様もくらいたいの?」


 「いやいやいや! ち、ちょ、ちょーーと待ってね! 違うから、そんなのくらいたくないです。はい。ほんとに凶暴になってるねー! これはこれで困ったねー! もう、ビカムにキノコを食べさせるには、あの手しかないね! なんか懐かしい感じがするのは、気のせいかもしれないけど、4行目に入ってるよーー!」


 「すーすーすー」


 「寝たねー! もしかして、こっちも変わってるかもって、ちょっとドキドキしたけど、それはなかったね! よしっ! それじゃ、天使ども、キノコを食べさせるんだから、手伝うんだよ。って、何してんの? お前ら」


 「今、羽を接着剤でくっつけてるだす! シャムネコ! ちゃんとつけるだすよ! 天使ちゃんは身だしなみが大事なんだす! 神様、ちょっと待つだす!」


 「よしっ! これで大丈夫だろう。ちゃんと接着剤でつけたぞ! じゃ、俺もやってくれ! サキエル!」


 「おうだす! シャムネコは『ごはんつぶ』でいいだすな! うんうん! じゃ、ま、そういうことで、終わっただす!!」


 「バカサキエル!! ふざけんなよな! なんで、お前は接着剤で、俺は『ごはんつぶ』なんだよ! お前、いかれてるよ! ビカムのこと言えねーよ!」


 「良いんだすよ! そんな細かいことは! 気にしちゃダメだす。それにサービスして、2粒にしといただす! サキエルちゃんは優しいだす!」


 「細かくねーし、優しくもねーよ! アホが! お前、いつも、いつも、ふざけんなよなー!」


 「はい、はーーーい! いつまでも遊んでんじゃねーよ! バカ天使が! お前らの羽なんて、どうでもいいよ。適当につけとけば治るだろ! それよりも、さっさとビカムにキノコを食べさせないと、物語が進まないだろ!」


 「なんかムカつくけど、仕方ないだすね!」


 「ああ、ほんとにムカつくけど、また、特務機関とか言いだすからな!」


 「よしっ! じゃ、食べさせるから動かないように、手と足を抑えつけておくんだよ! こいつ強いから注意しろよ! 本気を出されたら、お前らなんかあっという間に、塵にされちゃうからな! じゃ、行くよ!」


 「分かっただす! 全力で行くだす! ふんっ!」


 「おう、本気の天使をだすか! ふんっ!」


 「すーすーすー。う~ん、むにゃむにゃ、ぱくぱく、ごっくん!」


 「よしっ! 飲み込んだよ! 食べさせるのは成功だね! とっても残念な面もあるけど、仕方ないよね! 物語を壊しちゃダメだしね! おっ、光だした! 今度はそんなに苦しんでないねー! うなされてる程度で済んでるね!」


 「う~ん。う~ん。う~ん! う~ん! ぐぅーぐぅーぐぅー!」


 「おぉぉ! 戻ったね、成功だね! この寝息は昔のビカムのだね! これでさ、性格が女のときのだったら、神様キャッホーなんだけどさ! まあ、そんなことはないよね! どうせまた、すぐ眠いとか言うハーレム野郎だよね!」


 「当たり前だす! もっと悪化してる可能性もあるだす!」


 「そうだな! 真実はいつもひとつだよな!」


 「はいはい! でも、まだ起こさないよ! 神様少し、真面目な勇者の余韻に浸るからさ! お前らはその辺で遊んでていいよ! 神様、神様、ビカムの性格だけは女勇者のままでいますように! って、これは誰も聞いてくれないね」


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