44 闇鍋
「ビカム君たちはどこに行ったんだろうね! あっ、なんかあっちの方から煙が上がっている。あそこでなんかしてるね。森の中の草原とかかな。あそこでバーベキューでもしてるの? それはそれで、意味が分かんないけどさ?」
「きっとあそこだす! すぐに行って逆矢印・恋のキューピットの刑にするだす! ピュー-!」
「やろうーー!! こんなところでお楽しみかよ! 許せん! ピュー-!」
「あっ! こらっ! 待て、天使ども! うかつに近づくと敵の罠に嵌るだろ! お前ら少しは考えて行動しろよな! もう、本当にアホなんだから。お前らが飛んで行ったら、神様が追いつくの大変だろー! 待てーーーーー!」
「あれっ!! ビカムしかいないだす!」
「なんだ、ひとりか!」
「はぁ、はぁ、何、何なのここ? なんか鍋があるよ! グツグツいってるよ! そんでもって、ビカムの顔が紫色とピンク色になってるよ! やられちゃったの? これって毒殺? 何なの、毒殺されたバカ勇者で終わりですかー!」
「これは逝っただすね! 合掌だす!」
「これはダメだね! いろいろな毒キノコを食わされたね!」
「なんだよ、それっ! なんで、こいつこんな草原で、そんなの食ってんだよ! 何してんだよ! 大バカだろ! ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、顔が紫とピンクに染まってるよー! 大変だよー」
「うーん! うーん!」
「唸ってるよ! どんだけ毒キノコ食ったんだよ、こいつ! ちょっとHP見てみるよ! ぎゃーーーー、HP残り985万じゃん! どんだけやられてんだよ! しかも、カチカチとどんどん減ってるよ! どうすんだよ! バカ天使!」
「もう、手遅れだす! あと10分でチーンだす!」
「そうだな、坊さんでも呼んでくるか、って、ここにいたよ!」
「そそそ、神様がさ、南無南無とかお経をあげて、って、ちげーよ、バカ天使! 神様はお経なんてあげねーよ! ・・なんか手はないのかよ! こんな終わり方はダメだろ! 今までの苦労が全部吹っ飛ぶだろ! それはないだろ!」
「しかし、これは、やられただすね! どう見てもプロの仕事だす」
「そうだな、さすがの名探偵シャムシエル様も、こんな真実までは見抜けなかったな!」
「傍観者になるな、バカ天使! そうだ! 汚いけど戻させて胃洗浄だ! それだ! まだ間に合うよ!! よしっ、バカ天使! お前らが協力しろ! ビカムに抱き着いてすりすりしろ!! すぐ、うぇーーーーってやるぞ!」
「ギャーーーーー、それはないだすよ! バサッバサツ! 痛たたた! 羽を掴むのは反則だすよ!!」
「時間がないんだよ! まずはお前逝け!! それっ!! ほらほら、ビカム君、天使が抱き付いてすりすりしてるよ! キモイよ! 最低なシーンだよ! うぇーーーーーーって、やりたくなるよね!」
「うぇーーーーーー! キモッ!! うーん、うーん」
「うぇーーーーーー! もうダメだす! この世の終わりを見ただす! 狼耳娘にぱふぱふしてもらわないと復活できないだす」
「言ってろ、バカ天使!! ・・・よしっ! もう少しだ! 次、お前だシャムシエル! こらっ! 逃げんじゃない!! 往生際が悪いぞ! バサッバサッ!! やるんだよ!! 少しは役に立て!」
「ギャーーーーー、もげる、羽がもげる!! やめてくれー!!!」
「ほらほら、ビカム君、2匹目もすりすりしてるよ! またまたとんでもないシーンだよ! キモイよ!! とんでもなくキモイからね!! さっさと、うぇーーーってやって!! 全部吐き出すんだよ!! 」
「キモすぎる! うぇーーーーーーー!!!」
「痛てててて!! うぇーーーーーー。ギャーーー、羽が、羽が取れそうだ! キモイし、痛いし、どうにかしてくれー! 死ぬ、逝ってしまう・・・」
「ふーー、なんとか死者の国から戻っただす。おお、シャムの羽がとんでもないことになってるだすな! 復活したサキエルちゃんが、セロテープで止めておいてあげるだす! よいしょっと! ほんとにサキエルちゃん親切だすなー」
「はぁはぁはぁ! いらねーよ、そんなもん! それじゃ、応急処置にもなってねーよ! バカサキエル!! はぁはぁはぁ!」
「おっ、ビカムは少し落ち着いたようだね! HPの減りが遅くなったよ!! あと385万4587まで落ちたけど、減り方が遅くなったから大丈夫かな? これなら少しは持つね! あとは胃洗浄だけど、どうすればいいかなー!」
「こんな可愛い天使を、とんでもないことに使って、じじいはいい死に方しないだすよ!」
「ほんとだよな!! 天使の羽を半分ちぎるなんて、畳の上では死ねねーな!」
「うるさいっ!!! バカ天使が少しは役に立っただろ!! 神様は偉いんだからいいんだよ!! おっ! そういえばサキエルって、水の天使だったな!! よしっ! もう一度、こっちに来い!」
「ギャーーーーー。羽は掴むなだす。シャムネコになるのは嫌だす!! それで・・・・またこの世の終わりを見せるんだすか?」
「さてと、俺は用事があるから、天界に戻りますね!!」
「シャムネコ!! 逃げるなだす!! 許さんだす!!」
「痛ててて! バカサキエル!! もう半分ちぎれてるんだから掴むなよな」
「ほら、お前ら、遊んでるな!! サキエル! お前はビカムの口に放水しろ!! 喉の奥に向けて一気に放水して、水をガバガバ流し込め! 大量に入れていいから、さっさとやるんだ!!」
「なるほどだす!! それならやるだすよ!! 死んでも知らないくらいにやってやるだす!! ジゃーーーーー、ジャーーーー、ジャーーーーー!!!」
「ガボッ! ガボッ!・・・うぇーーゴボッ! ゴボッ!!」
「まだまだやるだす!! いけーーー!! ビカム死ね!! 死ね!! これで逝ってしまえ!! ハーレムはうちのものだす! そんでもって神様のせいだすからな! ギャハハハハハハ、ジャーーーーー!!!」
「ガボッ! ガボッ! ゴボッ! ゴボッ!・・・・ぐぅーぐぅーぐぅー」
「おぉぉぉ、成功だよ! やったよ!! ビカムが普通に寝たよ!! ようやく顔も紫とピンクから戻ったよ! 一時はどうなることとかと思ったけど、これなら、起せばなんとかなるよね! 良かったよー! ふーーーーーだよ!」
「ちっ! しぶといやつめ! じゃ、ま、そういうことで、まだまだ続けるだす! ジゃーーーーー、ジャー・・・・痛たたたたた!」
「こらっ! バカ天使! ほんとに殺すつもりでやるんじゃねーよ! ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、早くHPを回復しないと大変だよ! それで、何でこんなことになってんのか教えてほしいよー」
「うーん・・・あっ! ぱふぱふは?」
「起きたねー! 良かったねー! でも、何、そのぱふぱふって? 何なの? 君はさ、毒キノコをたらふく食べて、顔を紫とかピンクにして、倒れていたんだよ! 周りには、あの少年さえいなかったよ。何があったの?」
「あれっ? 狼耳娘のお姉さんとの『ぱふぱふ♡ぱくぱく♡闇鍋大会』は?」
「アホだすな! そんな手に引っかかっただすか? ギャハハハハ! これは面白すぎるだす! こんな青空の下で、どこが闇鍋だすか? 目隠しでもされただすか? ギャハハハハハ」
「プロの仕事じゃなかったわ! ド素人に引っかかったプロの変態だったわ。さすが、真実は小説よりも奇なりだな。諺としては、真実じゃなくて、事実だけどね!」
「ぱふぱふ目隠し、キスしてぱくぱくは?」
「・・・こいつ、やっぱり止めを刺すべきだっただす! 裏山してただす!」
「・・・ああ、そうだな! さっさと埋めちゃえば、良かったな!」
「はいはい。もういいよ。ホントのバカだよね! それにしても、少年もお姉さんもどこに消えたの? もうさ、明らかに、敵だから、見つけて倒さないとダメだね! ビカムは、まず回復ね!! そんで、ほら、行くよ!!!」




