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43/62

43 少年

 「さあ、ようやく村に来たよー。新大陸で始めての村だね! いろいろありすぎるほどあったけど、気を取り直して情報集めだね。魔王がどこにいるとかが、分かるといいけどねー! おっ、少年がいるね。あの少年に聞いてみようね!」


 「ガキだすよ! ガキが情報もってる訳ないだす!」


 「ガキは信用できないよなー」


 「ガキに用事はないね」


 「ガキガキうるさい! こいつら本当にカスだねー! どうしょうもないカスだよね! 少年がいい情報を知っているかもしれないじゃん! 魔王を見たって言うかもしれないじゃん! さ、勇者が聞き役だからね。ほら、行ってきて!」


 「やだよ! クサエル! お前いけ! お仲間だろ?」


 「それ、ひょっとしてうちのことだすか? 誰が! クサエルだす! このバカ勇者、とんでもないだす。それになんで、あんなガキが仲間だすか!! キィーーーー!」


 「ププププッ! まあ、お漏らし天使だからなー! 仲間とか言われても仕方がないよな!」


 「シャムネコまでいい気になりやがって・・・今に見てろだすよ! 仕返しは100倍返しだすからね!」


 「はいはい。もうさ、いい加減にしてくれないかなー! すぐに揉めるからなー、この3バカトリオ。ほんとに、使えねーやつらだよね! って、お前らがまた遊んでるから、少年のほうから、こっちに来ちゃったよ!」


 「ねぇ、ねぇ、あんたたちさー。強そうだからさ、この先の森にあるお姉さんの家に、お使いに行って来てよ!」


 「へっ? 何、それ? いきなり何を言ってるの、この子は? なんで、お姉さんの家にお使いに行くのかなー? 何しに行くのかなー? 森の中へのお使いって、勇者の仕事じゃないね! それに何故、そこにお姉さんがいるの?」


 「ガキ! お姉さんの耳はどんな耳?」


 「うーんとね! 勇者の声が良く聞こえるように、大きい狼の耳にしたって言ってたよ!」


 「よしっ! 案内せい!! 少年!」


 「こら、ビカム! 何が、よしっだよ! 何が、案内せいだよ。それに何、その狼の耳にしたってのは? そのお姉さん、怪しさ満載だね! ・・・って、これって、もしかして、途中で道草食ってとかいう超有名な超ベタなパターン?」


 「子どもを疑うのはよくないだすよ!」


 「そうだよなー! 純真な子どもを疑うなんてサイテーな野郎だね!」


 「おいおいおい! お前ら、さっきと言ってること違うじゃん! 何それ? さっきは、ガキは信用できないとか言ってたじゃん! なんでそうなるの? 意味が分かんねーよ! お前らは!」


 「そんなこと言ってないだすよ!」


 「空耳でしょ! 神様も、もう歳だなー!」


 「じゃ、ま、そういうことで、森に行くぞ!! 天使ども!」


 「「「おーー!!!」」」


 「なんか結束してるよ! ビカムが仲間を率いるリーダーぽっくなってるよ! 神様びっくりだよ! それはそれで、いいんだけどさー。どーも怪しすぎるよね。森にいる狼耳お姉さんってないよね! ねっ! ねっ! ねーー!」


 「うわーーーーーーーーーん。このおじいさんがいじめるよーーー!」


 「あーーー泣かしただす!!」


 「聖職者にあるまじき行為だな! このじじい!」


 「坊主泣くな! こいつは悪者だからな! お兄さんがいるから大丈夫だ!」


 「・・・・うん! ありがとう、お兄さん」


 「よしよし! じゃ、森のお姉さんのとこに行くよ!」


 「えーーー。何、この展開、何なの? 神様一人が悪者になってるよ! そんでもって、ビカムが子どもを助ける本物の勇者っぽくなってるよ? ありえねー、こんなのねーわ! それに、子どもも一緒じゃ、お使いじゃねーじゃん!」


 「あるだすよ。ありなんだす。おおありくいだす! なんちってだす!」


 「正義の味方は天使と勇者! 悪者は神様! 真実はいつもひとつ!!」


 「何が真実はいつもひとつだ、バカ天使! ふざけんな! って、ビカムは、子ども連れてどんどん森の方へ行ってるし。あいつ、最初の頃の寝ぼけた態度がすっかり変わったよね、悪い意味で! ハーレムに掛ける執念を感じるよね!」

 

 「人は変わるものだす。それを見抜けない愚かな上司が神様だす」


 「そそそ、疑うことしか知らないやつには、真実は見えないよなー」


 「もーう、腹立つねー! このバカ天使ども! 普通に考えて、森にいるお姉さんになんでお使いが必要なの? お姉さんだよ? お婆さんじゃないよ? 少し考えれば分かるでしょ? 真実はひとつのおバカ天使さんよーー」


 「フッ! うちの本命は狼耳娘だす! ドストライクだす!」


 「フッ! 森の中といえば、熊耳姫だからな! そりゃ行くよな!」


 「あーーーそうね。はいはい。そういえばそんなこと言ってたね! ほんとにこいつら、欲望のためなら、ベタな罠かどうかなんて関係ないのね。罠に嵌ることより欲望を優先するのね。それは真実だわ! 紛れもない真実だね!」


 「あとは、ビカムをどこで葬るかだすな! チャンスは逃さないだすよ!」


 「おう! 逆矢印・恋のキューピットは、いつでも放てるぞ!」


 「こいつら、何なの? まるで勇者の仲間を語るペテン師だね。あきらかに敵だよね。魔王の手先って言ってもいいよね。・・・・はーぁ。ま、こうしてても仕方がないから、ビカムの後を追わなきゃね! ほら、行くよ!!!」



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