18 王様 リターンズ
「おおおおおおお! 我が愛しき姫よ! よくぞ無事で!!!」
「あれっ、お城に来てますわ。あっ! ビカム様、キスは? あら、隣で、すやすや寝ていらっしゃいますね。可愛いー♡」
「ぐぅーぐぅーぐぅー」
「ふう、これで、少しは物語が進むかなー。ひさしぶりに使ったから、疲れたねー。200年ぶりくらいかなー、ワープ使うの。ビカム君は、前のセリフで寝たんだろうけど、それも計画通り! さっさとお姫様、渡して冒険に戻らないとね!」
「キャサリンよ。もっと近くで、その可愛い顔を見せておくれ!」
「王様とお姫様の感動のご対面だね。うんうん。バカは寝てるし、いい感じに物語が進むよね。これだね。これこれ、神様が望んでいたのは! ワープした甲斐があったね!!」
「お父様!!!」
「キャサリン!!!」
「おおお、泣けてくるねー。いい話だなー。どのくらい囚われていたのか知らないけど、やっぱり勇者の冒険物はこうでないとね! ・・・お姫様キャサリンって言うんだね。はじめて知ったね。って、そんなことはどうでもいいね」
「あれっ? 猫耳お姉さんは?」
「あっ、バカ勇者が起きた! まずいね! これは、速攻で寝てもらうしかないね。ビカム君、お姉さんなんていないよ。ビカム君は夢を見ていたんだなー。残念だねー。いい夢だったんだろうねー。神様はなーんも知らないけどね。そう何も知らないよ。もう一度言うよ、なーんも知らないからね!!」
「ぐぅーぐぅーぐぅー」
「ふーー、寝たね! 危なかった。じゃ、さっさとここから去らないとね!」
「勇者ビカムよ、よくぞ、姫を助けてくれた。褒美を取らせよう。なんなりと申すがいい!」
「あーー、そういうの入りませ・・・」
「姫をください! 姫と結婚させてください、って、ビカム様は言ってましたわ!! そうですわよね? ビカム様! うんうん、って頷いてますわ!!」
「しまったぁーー! バカがもう1人いたーーー!! 寝てるビカム君の頭を勝手に掴んで、頷かせているし。何なの、このお姫様! 王様、感動のご対面から一転、顔が青ざめているよ って、そういえば、なんでお姫様は寝なかったんだ?」
「それと、専用の大浴場と超大型ベッドを所望すると言ってましたわ!」
「うーーーーーーむ、そうなのか? 勇者ビカムよ?」
「うんうん、って頷いてますわ!!」
「なに、なに、この茶番は。小学校の学芸会でも、もっとまともな劇するよ。ひどすぎるよね? ねぇ? ねぇ? ねぇ? いくらなんでも、ないよねー」
「ならば、もうひとりの犬耳姫を救ってまいれ! さすれば、望みを叶えよう!」
「お任せください! 勇者ビカム、必ずや犬耳姫をお救いいたします!」
「えっ!! まあ、妹も側室にすればいいですわね!」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーー。こら、ビカム、こら、王様、こら、お姫様!!! いったい、君たちは何をしてるの? 何を言ってるの? 突っ込みどころ満載の流れにしないでくれないかなー。何なの、この展開?!!」
「犬耳姫いたねー。やったね。神様、ほら、行くよ!!!」
「じゃ、ま、そういうことで。って、これを神様が言うの?? なんかさー、むちゃくちゃな展開だねー。お決まりのセリフが入れ替るし、もう大変な騒ぎだよ! ビカム君がやる気になったのはいいんだけどさー、なんか違うよね!!」
「ビカム様、ご無事で!! 早く戻ってくださいね。うるうる」
「うん、へーきだよー! もちろん、すぐ戻るよー」
「はいはい。もうダメだ。とにかく、ここを去ろう! ・・・犬耳姫ねー。うーん、ひどいかもしれないけど、それって、どうでもよくね! ねぇ? ねぇ? ビカム・ハーレムを加速させても仕方ないよね、って誰も聞いてないか」




