11 村長
「はいっ！ 今日はセントラルワールドの村、ブルーレイクで、情報収集です！ まずは村長さんのところに行くよー。ちゃんと歩いてねー」
「うーん、行きたくないなー」
「あーー、そうだよねー。ま、ビカム君ならそう言うよねー。うんうん、そんなのお見通しだ！ って感じだよねー。でもね、村長さんが待っているので、行かないとダメなんだなー」
「犬耳娘が待ってるの！」
「いったい何を聞いてるのかなー、村長さんだよ、村長さん。そんなね、猫耳の次が、犬耳娘の日とかね、都合よくいかないの！！ なしだよね。あるとしたら敬老の日くらいだよ！ うんうん、それなら神様、納得だよ！ ね！」
「分かったワン！」
「なにがワンかなー。それぜんぜん分かってないよね？ ね、ね、ね。それってもしかして犬耳娘との会話の練習？？ ないわー、それはないわ、それ通じないわー、っていないからね。出さないからね！ 神様！」
「ワンワンワン」
「それ、出せ出せ出せ！ってこと？ もう、いいからさー。それ止めようね！！ ちっとも話し進まないし。ほら、ビカム君が犬真似してるから、村長さん、お出迎えにきちゃったよ！ まいったねー」
「これは、これは伝説の勇者様と神様！！ こんな、むさくるしくて、何もない村に、ようこそ、おいでいただきまして、ありがとうございます。わたくし、この村の村長を努めますマイケル・クラークと申します。今日は、お日柄も良く、勇者様と神様ご一向が村をお尋ねになった記念日としてですね・・・」
「ぐー」
「マイケルさん。長い、長い！ そんな長い挨拶いらないからね。ビカム君、あ、このぐうたら勇者ね。こいつ4行目までのセリフは、耐えられずに寝てしまう特技があるから、注意してね！」
「あっ！！ それは伝説の七星刻！ まさか、聖母様！！！」
「へ？ へ？ なになに、なに聖母って？ それってどれ？ なんのこと？ いきなり何がはじまったの？ 新展開？？？ もうついていけないよ、神様」
「瞼の目！ 聖母様の証！！」
「えーーとね。それ違うから、絶対に違うから！ なんか間違っているから。何度でも言うよ。それ、ないから。ただの落書きだから！ 刻印じゃないし、この前神様がキュッキュ、ギャハハハって、書いたやつだからね！」
「このお方が、聖母様だったなんて！」
「なーに、訳の分からないこと言ってんのかなー。そんな話、どこにもないから、それ刻印じゃないし、ら・く・が・き！！！ それにビカム君、男だから、お母さんにはならないから。って、キモイよ！ 村長さん、本気で言ってるの？？」
「うーん、うるさいですわねー、寝れないじゃないの？」
「おーいぃぃぃぃ！ なーに、してるのかなー、ビカム君！！！ まーた、なんか変なスイッチ入れたの！？ そういうのは、やめてね。やめようね。神様ね、TS勇者を許した覚えなんて、これっぽっちもないからね」
「お任せください！ わたくしの子どもに魔王を倒させますわ！」
「なし、なし、なし。それ本当に違うから！！ って、あーーーーーそれ、自分で働きたくないだけでしょ！ ね、ね、そうでしょ？！！ もう、いい加減にしてくんないかなー。ふざけすぎだよね！」
「子どもを降ろせだなんて、ひどい！！！ 鬼畜！！」
「あ、あのさー、もうどうしてくれよう！！ このビカム！！ 神様がそんなこと言うわけないでしょ。って違うから、そういうことじゃないでしょ。どこでそんなんなっちゃうかなー。なんで君が子ども産む流れになってるの？？」
「じゃ、ま、そういうことで。子育ては任せますわ！ 神様！」
「もうダメだ！！！ ダメだ、ダメだ、ハチャメチャだ！！！ さすがの神様もこのまま物語は進められないね。この村、封印決定！！！ 二度と来ません！！」
「ま、いっか！ 犬耳娘いなかったし」
「えーっとね、まーだ、そっちのほうが良かったね。ほんと、どっちもどっちだけど、まだ良かったよ。神様、鬼畜とか言われて、クラクラしてるからね。次、行こうね。ほら、行くよ！！！」
