表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プーとかテディとかファーなんとかみたいな物さ

 

「お前、死んだ、次、世界、行く!」


 舌足らずというか言葉を知らないようなそんな感じの……少女のようであり少年のようでもあって熟女のような色気もあって老人のような厳かな雰囲気を持つ妙な奴に絡まれた俺は――――誰だっけ?


「お前、死んだ、だから、記憶、ない!」


 とりあえず俺は死んでしまったらしい、何してて死んだとかはわからないようだ。


「お前、チート、やる、違う、世界、転生!」


 よくわからないが次は簡単に死なないようにしてくれるって解釈でいいのか?


「そう、お前、魂、強くなる、不老不死、怪力、物理無効、魔力無限、全魔法取得」


 ほう、それは強そうだな、というか魔法なんてあるのか。


「違う、世界、科学、ない、でも、魔法、ある」


 科学がなくて魔法はあるってことは文明的にあまり進歩してないってことなのかな、それはちょっと不便じゃないか?


「なら、お前、作る、世界、変える!」


 いや俺にはそんな家電とか作ったりする知識とかないから、精々作れて……割り箸とか竹馬とか竹とんぼぐらいじゃなかろうか、折り紙でもできるだろうけど紙自体は作れないしな。


「仕方ない、とりあえず、お前、転生、行ってくる!」


 そう言われて俺は下に落ちていく、ような浮遊感? を味わいながら下へ下へと落ちていった。

 死んだ人間の魂が天に昇るっていうけど転生する魂は地上に落ちるっていうのかね? ま、いいけどチートかチートって確かゲームとかで使うズルって意味だったような。

 あんまりズルとかしたくないんだけどな、ゲーム……じゃないし、別にいっか。


『…界に……魂よ……が声…聞……え、我……う、我を……、……守り、我を守……る者を!』



 なんか聞こえた、途切れとぎれだけど――――なんか眠くなってきたな、魂が寝るってどんな状態か分からないけど、それはそれでいいか。




 次に目が覚めたとき俺は知らない天井を眺めていた……生まれたのだろうか、俺は――――というか記憶残ってるんですけど。

 輪廻転生っていうのか、こういう物って普通は記憶なんて残らないだろう、無神論者っていうか宗教とか興味なかったし詳しくは知らないけど。


「あれ、起きた?」


 そんな声が聞こえて俺は突然宙に浮いた……否持ち上げられた。

 そうだよな、今俺って赤ん坊なはずだし持ち上げられてもおかしくはないよな。そんな俺の目の前には小学三年生ぐらいの女の子が居た……というか俺を抱えているのはこの子だろう。


 夜空のように深く暗い黒髪にそれに反するような日中の晴天の様な青い瞳の少女、その服装は生前の知識からすると所謂ゴスロリ服という感じの……誰だろう、見た感じ流石に母親ではないのは分かる。

 それでは、俺の姉だろうか? そんな疑問も次の瞬間吹き飛んだ。


 ――――鏡だ、少女が唐突に取り出した手鏡、そこに写っていたものは……熊だった。

 熊、それも小熊……いや熊のぬいぐるみだろうか?


 割とリアルではないがもさもさした毛が抱き心地が良さそうである。

 そうか俺は熊のぬいぐるみに生まれ変わったのか……まあそんな訳はないけどな、そもそもぬいぐるみは生きていない。


「まずは貴方の名前を決めなきゃね、『プー』『テディ』んー奇を衒って『ファー』「それ以上は駄目だ!」」


 俺はつい口を挟んだ、何せ前世で有名どころの熊ばかりだったからだ、最初の二つはさんとかベアとかついてなきゃ別にいいかと思った、次はアウトな気もするがするので止めたが、どうやら俺は喋れるらしい。


「あら、貴方……自分で喋れるのね、じゃあお名前言えるかしら?」


 名前……ぶっちゃけ前世の記憶はほとんどない、それは名前すらもだ。あるのは精々見てたアニメのキャラの名前とかだけど。


「あー名前は覚えてないかな、死んで生まれ変わる途中だったから綺麗に消えちゃってるっぽい」


 ありのままを話した、どうせ熊のぬいぐるみだ何がどうなってこうなのか分からないが突飛拍子もない話をしても信じてくれるかも知れない、そんな淡い希望を抱いての事だったんだけどどうにもこの少女には重い現実だったらしい、口を塞いで後ずさり、そんなそんなと言いながら泣き始めた。


 どうしたものかと俺はその場でオロオロし始めた、何せ今の俺は熊だ、それもぬいぐるみの、女の子が泣いてしまった時の対処法などわからないのである。そんな時だった。

 バッ――――そんな感じの音が響いてそちらの方を見ると開け放たれたドアがありその中央にカエルが立っていた、それも俺と同類の(同じぬいぐるみ)


「お嬢! どうしたんだっ……てめぇ新入りぃ、お前がお嬢を泣かせたのか!」


 カエルは現状を見てそう判断したのか俺に向かって飛びかかってきた。カエルだけに凄いジャンプ力だった。

 飛びかかってきたカエルは俺の顔面をタコ殴りにする――――と言ってもお互いぬいぐるみなわけで全然痛くないんだけどな。


「や、やめて、違うのアーノルド、これは私が悪いんだからっ」


 俺からカエルを引き剥がしてぎゅうっと抱きしめる少女、カエルが「ぐぇ」とか呻いている……人形のくせに苦しいのか?


「ちょっ、お、嬢、くるじぃ……」




 カエルはそのままぐったりとして動かなくなった、少女は「アーノルドぉ!」と叫びながらまた泣き出してしまった……俺にどうしろと言うんだこの状況。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ