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2.目が覚めて

(ハルト以外)レギュラー顔合わせの回。



 簡素なベッド、小さい棚、長方形テーブル、背もたれの無い椅子がいくつかあるだけの部屋に少女は寝ていた。

 寝息を立てる少女はピクリとも動かない。白い肌が陶器のように映り、眠っているとより、等身大人形をベッドに横たえているかのようだった。


「──ん、うっ……」


 陶器人形が眉根を寄せて目を覚ます。酷く嫌な夢を見た気がした。具体的な内容は忘れてしまったが、額は汗で湿っぽく、少し目も痛い。

 若草色の瞳は不思議そうに木の骨組みが露わになった天井を見つめ、次に左右を、やがて体を起こし、暫くしてここが山の中でないことに気付いた。


 頭が飛ぶのではないかという程の挙動不審ぶりで周囲を見渡す。

 陽はすっかり山に隠れてしまい、カーテンの隙間から覗く空は真っ暗だった。部屋は天井から吊り下げてある白い灯りに照らされ、部屋を隅々まで見渡せる。

 調度品のないサッパリした部屋。生活感が無いというより、広々としているという印象を受けた。必要最低限のものしかないという環境は彼女にとって馴染み深く、しかし個室を与えられた経験のない彼女には広すぎて落ち着かない。


 よく見れば服装も以前と違う。

 使用人の制服は装飾も前掛けも消えて綺麗な白のワンピースに、皮靴は綺麗に洗われた両足分がベッドの脇に揃っている。


 上掛けを払うと、手足にあった傷には丁寧に包帯が巻かれていた。あんなに苦しかった病の感覚も消えてしまっている。


「わたし……死んだのでしょうか……」


 ボソッと零した自分の言葉に、胸が痛んだ。

 当然だ。彼女は死を覚悟してはいたが、死にたかったわけではない。

 死は怖い。必死に生きたい。

 胸が痛むということは、まだ死んでいない。自己完結ながら、その結論に少女は酷く安堵する。


「さっきから何を百面相してんだ」

「わひゃあっ!?」


 いつの間に部屋に入ったのか、少女のやや後方には黒髪の青年が立っていた。

少女の瞳に映る彼の紅い瞳は探るように少女を睨め付け、気遣う様子は微塵も感じられない。

 歓迎とは程遠い雰囲気。少女を疑った目は警戒の姿勢を隠そうとしなかった。全く状況が掴めないといった間の抜けな表情でも、気を許そうとしない。


 彼の片手には配膳用のお盆が乗せられ、透明なカバーが掛けられていた。湯気で白くなったカバー裏の存在に、少女のお腹は大変正直になる。


 くぅ~~~……


「…………」

「…………」


 暫し、沈黙。

 やがて口火を切ったのは、青年の方だった。


「飯、食えよ」

「はい……いただきます」


 燃料と呼ぶに相応しい食事しか知らない少女は、そのスープで今度こそ死ぬのではないかと思うほど、夢中になってユキ印の手料理に舌鼓を打った。



 *************



 綺麗に空になった食器をテーブルに置き、青年は椅子を引っ張って少女の傍らに腰掛けた。先程よりは警戒は薄れているものの、やはりまだ疑った目に変わりはない。少女が食事する様をひたすら無言で観察し、タイミングを見ては水を差し出していたが、気を許すにはまだ値しないと判断された。


 そんな疑惑の目を向けられていることに最初から気付いていない少女は、満たされたお腹にご満悦だった。緩みきった顔で食べたものの余韻に浸り、味を思い出しては消えないように頭に刻みつける。

 その様子をジーっと観察する青年の存在を漸く認知すると、弾かれたように青年の方へ向き直り、心の底からあどけない笑みを浮かべる。


「きちんと挨拶もせず、すみません。わたしはアランと申します。先程はとてもおいしいお食事をありがとうございました」


 アランが深々と頭を下げながらの礼に、青年は「あぁ」と答えた。


「レンだ。あの飯はオレの同居人が作ったものだから、礼はそいつに言ってくれ」

「わかりました。それで、その同居人さんはどちらに」

「もうすぐ来る」


 言うが早いか、部屋の扉が慎ましく開き、緑混じりの金髪の少年が顔を覗かせる。


「えーと、これは入っても大丈夫だったりする?」

「なんで入りにくそうにしてんのかがオレにはわからない」

「あ、じゃあ入ります。はい」


 そそくさと入ってくる少年は、髪と同色の瞳をアランに向けて微笑むと、空になった食器を見つけて満足そうに頷いた。


「食欲があったみたいでよかったです」


 少年に続いて入って来たのは、少年と同じ色をした髪と瞳の男性で、黒縁の眼鏡がよく似合っている。持っていた服をテーブルに置き、レンと同じように椅子を引っ張って座った。


「お加減はどうですか。勝手ながら服を洗わせていただきました。こちらが、乾くまでの着替えです」


 差し出された服を受け取って、アランは軽く頭を下げる。

 白地の布束からは仄かに石鹸の香りがして心地良い。


「だいぶよくなりました。ありがとうございます。あ、申し遅れました。アランです」

「これはご丁寧に。私はこの孤児院“日向の里”の院長を勤めている、ノヴァという者です」


 ノヴァは洗練された優雅な仕草で軽く礼をし、アランも落ち着いた様子で深々と礼を返す。


「そしてこちらが、私の甥の」

「初めまして。ユキです」

「あなたが同居人さんのユキさんですか!」

「え?同居人?」


 急に目を輝かせ、羨望の眼差しを向けてくるアランの反応に、一瞬怯んだユキはサッとレンに視線を向けた。初対面のはずなのに既に自分のことを知っているとなれば、情報源など簡単に特定できる。寧ろ気になるのはその具体的な内容だ。

 口元を手で隠しながらボソボソと尋ねる。


「ねぇ、どういう説明したの?」

「飯作ったのはユキってやつだから礼ならそいつに言え、とだけ」

「礼?」

「感動で泣くくらい美味しかったんだそうだ」

「あっあぁ、なるほどね」


 困ったような笑みを浮かべるとすぐにユキは視線をさ迷わせた。少し赤らんだ頬に指先で軽く爪を立てる。


「いや、そんな大層なものじゃないから」

「そんなことありません!とてもおいしかったです。本当です」

「あ、ありがとう……」


 アランが褒めれば褒めるほど、ユキの顔は赤みを増していく。

 とうとう俯いてしまったユキに、アランは頭に疑問符を浮かべ、レンは関心を示さず、ノヴァは忍び笑った。


「そういえばハルトがいないな」

「あ、ハルトなら行かないって。今みんなを寝かせてるんじゃないかな」


 まだ頬の熱いユキは俯きがちに答える。話題が変わったことで冷静になれたのか、頬の色は少しずつ戻っていた。


「ま、いないならいないでややこしいことにならずに済みそうだし」

「うーん……否定はしないよ」


 辛辣な態度のレンにユキは苦笑し、その様子を眺めていたアランは自然と笑みを零した。


 アランは小さい頃から人の感情に敏感で、ちょっとした態度や言葉遣いからその人の心情を極めて正確に捉えることができた。辛辣なようなレンの態度は端から見れば毛嫌いしているように映っても、アランの直感はそうは感じなかったらしい。

 ハルトという人物は二人から一目置かれている。恐らくノヴァも二人と同じくらい彼ないし彼女を信頼している。

 ハルトは人望厚い人物なのだと、アランはそう思った。


 しかし良い印象ばかりではなかった。

 それは本当に勘としか言いようがない、違和感。


(これは、不安……?)


 まだ会ったことのない人に不安を感じるのは至極当然のこと。ここで悩んでも仕方がない。ただの杞憂に終わるならそれにこしたことはない。

 結局アランは、それ以上ハルトについて考えるのをやめた。


「ところで、なんで君はうちの庭に倒れてたの?」


 すっかり頬の色が元に戻ったユキが、不意に尋ねた。


(庭に倒れてた?)


 虚を突かれたような顔をするアランは、暫し考えるもその意味がよくわからなかった。そもそもここがどこで、どういった経緯で自分がここにいるのかもわからないのだ。


「わたし、この施設に倒れてたんですか?」

「えぇ。夕方頃に私が見つけ、そのまま保護させていただきました」


 間髪入れず答えるノヴァの言葉に嘘は見受けられない。

 しかしそれはアランを更に困惑させた。


 彼女の記憶では、最後に見た景色は山奥の月夜。寝ぼけて山を下ったとは考えにくい。


「憶えていませんか?」

「はい……ごめんなさい」

「謝ることではありませんよ」


 ノヴァは安心させる穏やかな眼差しでまっすぐアランを見つめた。

 星の色をした瞳に、アランは少しの生気を貰った気がした。


「なら、あんたは最後にどこにいたんだ」


 ノヴァとは対照的な目でレンが問う。


「あんたが最後に憶えている場所は」

「夜の山の中に……」

「夜?」

「山って……なんでまたそんな所に」


 アランはさも当然のことのように、淡々と答えた。


「居ても邪魔になるので、棄てられたんです」


 怖い眼差しだったレンは目を見開き、

 ユキの表情が困惑の色を濃くして、

 それまで笑みを絶やさなかったノヴァも真剣な面持ちになった。


「最後の記憶はその山で見た月なんです」

「……そうですか。ごめんなさい、軽率なことしちゃって……」

「はい?……あ、いえ全然気にしないで下さい。はい」


 暗い雰囲気になったことに気付き、アランは慌てて明るい声を作った。

 実のところ、アランは自分の発言がそうさせたことの自覚はなかった。ただの事実であり、理不尽だったかもしれないが、そうなった経緯については既に納得済みだったからだ。


 何かまずいことを言ってしまった。

 それくらいの認識でしかなかった。


「つまり、アランさんは今のところ帰る場所が無い、ということですか?」


 ノヴァの声はそれまでよりずっと静かなものになっていた。

 少し細められた目にアランは寒いものを感じた。

 威圧感。圧迫感。真偽を図る緑がかった金の瞳。


「そう、ですね……」


 思わず萎縮してしまったアランの声は次第に小さくなる。

 やはり何かまずいことを言った。何が気に障ったのだろう。

 人に迷惑を掛けないことがモットーの彼女としては、早く訂正して謝りたい気持ちでいっぱいだった。


「あっあの、」

「なら、暫くここにいますか?」


 遮るように言われ、アランは一瞬押し黙ってしまう。

 ノヴァの表情はいつの間にか温厚なそれに戻っていた。呆けたアランは彼を見つめる目をぱちくりさせる。


「え、と……?」


 漸く絞り出した声はあまりにも間抜けだった。


「そもそも貴女を保護したのは私です。最後まで面倒をみる責任があります」

「そんな、そこまでご迷惑をお掛けするわけには……」

「それはつまり、紳士にご婦人を寒空の下に放り出させたいということですか?」

「い、いえ!そういうわけでは……」


 少し低くなった声音と強い物言いに、アランはたじろいだ。爽やかな笑みなのに怒っているような雰囲気があり、耳の奥でゴゴゴゴという音が聞こえる気がした。


「えと、その、泊めて頂けるのはとてもありがたいです。でもここは皆さんの意見も聞いた方が……」

「だ、そうですよ。どうですか。レン、ユキ」


 ノヴァの視線が二人に移る。それまで黙っていた二人は特に悩んだ様子もなく、夕飯の献立を訊かれたみたいに軽く返した。


「ノヴァさんがいいなら別に異論はない」

「レンに同じ。院長の意向に従います」

「だ、そうですよ。まだ何かありますか」


「ハルトさんという方はいいんですか?」

「別にいいだろ。この場にいないあいつが悪い」

「それに、ノヴァさんの決定って言えば納得するだろうし」


 レンもユキも、大して気にした様子はない。

 この時アランは、都合が良すぎる、打算的だ、といった考えはなかった。

 度が過ぎるお人好しは猜疑心をブロックし、彼女の心境は申し訳ない気持ちが大半を占めていた。その反面、行き場の無い現状を鑑みれば巡ってきた好機は是が非でもあやかりたいという本音もある。


 断る理由が無い。寧ろ渡りに船だ。

 身元不明の自分を受け入れてくれる所などそうそう無いということくらいわかっている。


 しかし──


「…………」


 どうしても、よろしくお願いしますとは言えなかった。


「……まぁ今すぐに決めろとは言いません。とりあえず今晩はゆっくり体を休めると良いでしょう」


 率先して立ち上がったノヴァは二人を退室するよう促す。困った顔をするアランを気遣う彼に異を唱える者はおらず、レンもユキも空の食器を持ってから軽く挨拶をして部屋をあとにした。


「それでは、おやすみなさい。──あぁそれから」


 閉じかけた扉が動きを止めた。


「病のことなら気にしなくていいですよ。私が魔法で治しておきましたから」

「え……?」


 アランが聞き返す前に、扉は音を立てて閉じられた。

 再び静寂が訪れた部屋は、起きたばかりの時と同じ雰囲気に戻る。

 物がほとんどないせいでやけに広く感じる部屋は、自然とアランを落ち着かせた。一息ついて、目を閉じた。


(ノヴァさんは、魔法使いだったんですか)


 神秘と精霊の世界“アスタニア”

 あらゆる神秘で溢れているこの世界で、亜人間もそのひとつだが、最も広く知られている神秘は【魔法】の存在だ。

 万物に宿り全ての現象を司る精霊に語りかけ、人の手では起こり得ない神秘を

起こす技術を魔法と呼び、それを行使する者を【魔法使い】と呼ぶ。

 魔法使いは己の意志を持ち前の魔力に溶かし精霊に伝えることで、その精霊が司る事象を再現することができる。つまり、魔法とは精霊の力を借りた神秘だ。


 精霊の存在は未だ謎に満ちており、わかっていることは、この世界に精霊が関与しないものは無く、それぞれの精霊は多岐に渡る【色】を持つということだ。

 この【色】の存在は魔力と密接な関係にあり、魔力にも【色】がある。【色】は近ければ近いほど精霊の力を強く引き出せる、といった具合だ。


 また、魔法使いと言ってもその種類は大別すると二種類に分かれる。

 魔力に色を持たず、道具を用いてその都度色を付ける【魔術師】。

 魔力に固有の色を持ち、道具に頼らない【魔導師】。


 魔術師は融通性は高いが道具がなくては魔法を使えない。

 魔導師は特有の色を持つが故に偏った魔法しか使えない。


 天賦の才がそのまま力量に直結する魔法使いは、誰でも成れるが平等ではない。魔法の行使にはリスクも伴うため、魔法使いの人口は亜人間と同数と考えられている。

 アランのように魔法使いの存在は知っているが実際に見たことはないという者も当然いる。


(そっか、魔法で治してもらってたから、あんなに苦しかった身体がこんなにも楽になるんですね……魔法は凄いです)


 凄いのはあくまで魔法。何故かアランはそう思った。

 何故か、魔法使いが凄いとは思えなかった。


(……よし、寝ましょう。寝て、その間に今後のことを考えましょう)


 気付けば既に彼女は横になっていた。渡された服を枕元に置いて布団をかけ直し、自然と訪れた睡魔に安心して身を任せた。

 土の香りがしないベッドは、速やかにアランを快眠へと誘った。



 *************



 アランの部屋をあとにしてすぐのこと。

 大した反論をしなかったものの、レンはやはりアランを信用する気はなかった。得体が知れないというのが主な理由だが、そんな存在が自分のホームに紛れ込むことをそもそも快く思っていない。

 自然と評価は厳しいものとなった。


 対してユキの評価はかなり甘かった。彼女は帰る場所もなく、頼れる人もいない、とても素直な人格者の女の子。

 この中で唯一、真偽の整合性がとれているユキの優しさは、アランに味方していた。勿論、不審者だという認識もある。だがユキはレンほど深刻に捉えていなかった。


 ノヴァは何も語らなかった。それまでの会話は彼なりの真摯さはあったものの、身内であるレンやユキは、ノヴァの笑みがアランを探っているのだと気付いていた。

 ノヴァの提案は、言ってみれば傍において監視するということに他ならない。だから二人も反論しなかった。この現状は、ノヴァの信頼の高さに寄る所が大きい。


 夜気に沈む暗い廊下をゆっくり歩きながら、三人は話し合っていた。


「で、どうだった」

「うん、彼女の記憶を覗いた感じでは、嘘はついてない」

「棄てられたと言ってましたが、それについては」

「どこかの貴族の奴隷だったみたいです。そこの主人が、彼女の病気を治すより新しい使用人を呼んだ方が効率的だと言っている場面が視えました。どうやらよくわからない病だったみたいです」

「奴隷、か。じゃあ亜人間の可能性が高いな」

「どうだろう?簡単に棄てちゃうくらいだし、人間の奴隷かもしれないよ。どうしても知りたいなら、そういうのは君の方が得意でしょ」

「……生きてる奴にはやりたくない」

「わかってる。だからやれとは言わないし、寧ろやってほしくない。とにかく焦らないこと」


「レンは、彼女のことがまだ疑わしいのですか」

「はい、勿論。先程はああ言いましたが、オレはオレの基準であいつと接します。……場合によっては、辞さないですよ」

「レンが正しいと思ってやったことなら、私は貴方を責めません」

「……ありがとうございます」

「ハルトにも、そのように伝えましょう。彼女が早々に彼に斬られたのなら、それも運命です」

「さすがに止めましょうよ。話した早々斬りに行くとか、本当にやりかねないです」

「まぁ、せっかくノヴァさんが助けた命だ。魔法まで使わせたわけだし、初日くらいなら庇ってやらなくもない。……たぶん」


「私は魔法は使ってませんよ」

「え?」「は?」

「ついでに言うと、彼女は泥汚れが酷かっただけで、身体に悪い所はありませんでした。怪我も病もありませんでしたよ」


「でもノヴァさん、さっき病は魔法で治したって」

「それに、あいつの手足の包帯は……」

「あれは嘘ですよ。手足の包帯だって、ああしておけば私たちに対する警戒心が少しは緩和されると思ったので、それっぽい所に適当巻いただけです」

「「…………」」

「大成功でしたね」


 嬉しそうに笑うノヴァに、二人はなんとも言えない表情しかできなかった。


(……あれ?てことはノヴァさん、どうして彼女の病のことを知ってたんだろう……)


 不意に思い至った疑問を、しかしユキは直接訊くことはなかった。隣を歩くレンが神妙な面持ちで黙っていたからだ。


(レンも、同じことを考えてる……)


 しかし彼も何も言わない。正直者の彼が黙るなら、自分もそれに習った方がいいのかもしれない。

 レンは自分よりずっとしっかりしてるのだから。


 やがて見えてきた扉の隙間から零れる光。そこはノヴァの部屋、院長室だった。話し合いをするには都合の良い場所であり、今頃先客がソファーをひとつ占領している情景が三人の目に浮かんだ。

 鍵の掛かっていない扉はすんなりと開き、行儀悪くソファーに寝そべる青年はにこやかに視線を送った。


「おかえりー。それじゃ、色々聞かせてもらおうか」


 身を起こして居住まいを多少直すハルトの目は、初めから疑心を湛えていた。

投稿しようと思った日にページ開いたらなんかエラー起こって、本文が5000字ほど消えてた時は一瞬現実逃避した。

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