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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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58) いろいろ変化したのね。

 久しぶりにニジーナさんの奇声を受け、一瞬意識が飛んだ。

 奇声を発したニジーナさん本人は、オイラとステータスプレートの表記を交互に二度見している。


「な……何をどうしたら、こんな数値になるのよさ?」

「え?何か拙い事でもあったの?」


「拙いとかそんなレベルじゃ無いんだけど?」

「あぁ、レベルの事か。オイラのレベルって何かオカシイらしいよ?神殿で言われた。」


「にょ?レベルもそうだけど、ステータスが異常なのよ?」

「異常?やっぱ色々低すぎて変なのかな?」


 やはり、知力と知恵以外が低いのか……その二つの数値は半分以下だもんなぁ。

 体力なんて、魔力の表示の10分の1程度だし……サクッと死んじゃう様な虚弱体質なのかも知れん。


「いえいえいえ……知力、知恵、魔力の三つが異常なほど高いのよ?」

「え?高いの??」


 おお、逆だったか!?そっちの方が高かったのね?

 だったら、他の数値はどうなのよ?普通?低いのか?


「加護や身体強化魔法を受けている表示じゃないのよさ?」

「加護って、職業に就いた時の?」


「そう、職業に就いた場合の加護は本来の数値の後ろに“+”が付くのよ?」

「あ、うん。それは確認してるから解るよ。」


 身体強化魔法で全体の数値に“+”が付いて、特化型の身体強化魔法なら指定したステータスに“+++”が付く。

 また、奇術師ギルドで付いた加護は、体質に“+++”となっていて、その影響でオイラの体力は増えている……と、思う。たぶん。

 なので、身体強化と加護を合わせた場合は“++++++”となる。

 んで、その異常と言われた数値が気になるので聞いてみるとする。


「オイラの高い数値って、他の人に比べてどの程度なの?」

「知力と知恵は他の召喚者の倍、魔力は10倍程度高いのよ?」


「ナニソレ?」

「それは、私のほうが聞きたいのよさ?何をすればこんなに上がるのよ?」


「何をって……毎日普通に魔力が尽きる寸前まで魔法の練習をしてただけだよ?」

「その方法だと、通常はスキルや特性が発生するのよ?例えば“魔術の取得”や“属性魔法(行使)”などね?」


「んじゃ、“属性魔法(行使)”がマイナス方向になってる事には突っ込まない?」

「低下方面の特性は事例があるから、問題無いのよさ?」


 そこは問題無いのか?無いのね?無いんだ?そうか……


「でも、他に何か特別な事をやった覚えは無いんだけどなぁ。」

「その数値に気付いたのはいつごろ?」


「ユウコ龍に呪いを解いてもらってから、かな。」

「ユ、ユーコって……誰?」


 肘を付き顎に手を当てて考える仕草から、ゆっくり両手をテーブルについて立ち上がり……睨まれた。


「うお?悠古の森の長老龍だよ?そういや名前を聞いてなかったな……」

「ほえ?」


 ニジーナさんは一瞬呆気に取られていたが、少々の間を置いてストンと椅子に座った。


「ま、まぁ……いいのよさ?」


 あぁ、なるほどね。自分が頑張っても解けなかった呪いを解除されたのは、プライドが傷つくわな。

 落ち込まれると大変だから、話の流れを変えなきゃな。


「ところで、能力的な数値は努力しても上がらないのかな?」

「上がるわよ?でも、上限があると言われてるけどね?」


「なるほど、オイラの数値は上限を超えてるって事で良い?」

「えぇ、比較的に能力が高くて上がりやすいと言われている召喚者でも、その数値は見たことが無いわよ?」


「じゃあ、オイラの“限界突破”っていう特性の所為かな?」

「それも考えられるけど、解呪後に数値は上がったりしてる?」


「そういや、魔力以外は上がってない。」

「だったら、変化点は“呪われて解呪まで”という訳さね?」


「あ、そうかも?呪いの効果があった時期にちょっとだけ上がってたわ。」

「なるほど、なるほど。他に気付いたトコロは?」


「んー、特に気にしてなかったからなぁ。覚えてないや。」

「そっか、思い出したら連絡するのよさ?」


「合点承知。」


 新装備についての説明を受けたあと、問題だったという通信手段についての話になった。

 その機能は、街中限定で数分しか使えないと解ったらしい。要するに“使い捨て”だったようだ。

 貰った次の日の朝に使用して終了って事になったわけだね。

 今回のは冒険者ギルドで使用する“伝言”と同じ要領で、冒険者ギルドで送受信できると……

 普通に伝言でいいのでは無いかと思ったが、機能拡張は開発中という事だ。



~~~~~~~~



 今回もニジーナさんを城塞内部の通用門まで送り届けた。

 そこまでの道中で、ニジーナさんが“不味い魔力回復薬”についての改良について力説していた。

 別に慣れてしまえばイイじゃない?という反論する隙すら与えられず、ただただオイラは聞き役に徹するしかなかった。

 修道女の格好をしているのに肉食だという彼女は、草の味ではなく肉の味がする魔力回復薬を御所望のようだ。


『つまんなーい!もっと口説け~!』

「うるさい、袋に戻れ。」


 宿への帰路で、今度はキューに“押し”の重要性を力説されていた。

 っていうか、精霊ってゴシップ的な事が好きなのか?

 シーちゃんに確認したところ、他にする事が無いから仕方がないと言われた。

 まぁ、性格的な要因の方が強いと思うがな。シーちゃんは興味無いと言ってたし。


 宿に戻り、いつもの様に寝る前の訓練を行う。

 その後、仮面と同じ機能を持つ黒縁眼鏡を堪能し眠りについた。



~~~~~~~~



 朝、起きるといつもの様にキューが変な姿勢で毛布に絡まれて寝ており……シーちゃんは、袋に戻ったか?

 何気なく起き上がると、背後から肩に何かが飛びついてきた。

 振り返ってみると、黒い仔猫がぶら下がっている。なんじゃこりゃ?


『オハヨ。』

「うお?喋った!?」


『昇格した。』

「う?うおぉぉ?シーちゃん!?」


 夜中にランクアップすると言っていたシーちゃんだった。


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