58) いろいろ変化したのね。
久しぶりにニジーナさんの奇声を受け、一瞬意識が飛んだ。
奇声を発したニジーナさん本人は、オイラとステータスプレートの表記を交互に二度見している。
「な……何をどうしたら、こんな数値になるのよさ?」
「え?何か拙い事でもあったの?」
「拙いとかそんなレベルじゃ無いんだけど?」
「あぁ、レベルの事か。オイラのレベルって何かオカシイらしいよ?神殿で言われた。」
「にょ?レベルもそうだけど、ステータスが異常なのよ?」
「異常?やっぱ色々低すぎて変なのかな?」
やはり、知力と知恵以外が低いのか……その二つの数値は半分以下だもんなぁ。
体力なんて、魔力の表示の10分の1程度だし……サクッと死んじゃう様な虚弱体質なのかも知れん。
「いえいえいえ……知力、知恵、魔力の三つが異常なほど高いのよ?」
「え?高いの??」
おお、逆だったか!?そっちの方が高かったのね?
だったら、他の数値はどうなのよ?普通?低いのか?
「加護や身体強化魔法を受けている表示じゃないのよさ?」
「加護って、職業に就いた時の?」
「そう、職業に就いた場合の加護は本来の数値の後ろに“+”が付くのよ?」
「あ、うん。それは確認してるから解るよ。」
身体強化魔法で全体の数値に“+”が付いて、特化型の身体強化魔法なら指定したステータスに“+++”が付く。
また、奇術師ギルドで付いた加護は、体質に“+++”となっていて、その影響でオイラの体力は増えている……と、思う。たぶん。
なので、身体強化と加護を合わせた場合は“++++++”となる。
んで、その異常と言われた数値が気になるので聞いてみるとする。
「オイラの高い数値って、他の人に比べてどの程度なの?」
「知力と知恵は他の召喚者の倍、魔力は10倍程度高いのよ?」
「ナニソレ?」
「それは、私のほうが聞きたいのよさ?何をすればこんなに上がるのよ?」
「何をって……毎日普通に魔力が尽きる寸前まで魔法の練習をしてただけだよ?」
「その方法だと、通常はスキルや特性が発生するのよ?例えば“魔術の取得”や“属性魔法(行使)”などね?」
「んじゃ、“属性魔法(行使)”がマイナス方向になってる事には突っ込まない?」
「低下方面の特性は事例があるから、問題無いのよさ?」
そこは問題無いのか?無いのね?無いんだ?そうか……
「でも、他に何か特別な事をやった覚えは無いんだけどなぁ。」
「その数値に気付いたのはいつごろ?」
「ユウコ龍に呪いを解いてもらってから、かな。」
「ユ、ユーコって……誰?」
肘を付き顎に手を当てて考える仕草から、ゆっくり両手をテーブルについて立ち上がり……睨まれた。
「うお?悠古の森の長老龍だよ?そういや名前を聞いてなかったな……」
「ほえ?」
ニジーナさんは一瞬呆気に取られていたが、少々の間を置いてストンと椅子に座った。
「ま、まぁ……いいのよさ?」
あぁ、なるほどね。自分が頑張っても解けなかった呪いを解除されたのは、プライドが傷つくわな。
落ち込まれると大変だから、話の流れを変えなきゃな。
「ところで、能力的な数値は努力しても上がらないのかな?」
「上がるわよ?でも、上限があると言われてるけどね?」
「なるほど、オイラの数値は上限を超えてるって事で良い?」
「えぇ、比較的に能力が高くて上がりやすいと言われている召喚者でも、その数値は見たことが無いわよ?」
「じゃあ、オイラの“限界突破”っていう特性の所為かな?」
「それも考えられるけど、解呪後に数値は上がったりしてる?」
「そういや、魔力以外は上がってない。」
「だったら、変化点は“呪われて解呪まで”という訳さね?」
「あ、そうかも?呪いの効果があった時期にちょっとだけ上がってたわ。」
「なるほど、なるほど。他に気付いたトコロは?」
「んー、特に気にしてなかったからなぁ。覚えてないや。」
「そっか、思い出したら連絡するのよさ?」
「合点承知。」
新装備についての説明を受けたあと、問題だったという通信手段についての話になった。
その機能は、街中限定で数分しか使えないと解ったらしい。要するに“使い捨て”だったようだ。
貰った次の日の朝に使用して終了って事になったわけだね。
今回のは冒険者ギルドで使用する“伝言”と同じ要領で、冒険者ギルドで送受信できると……
普通に伝言でいいのでは無いかと思ったが、機能拡張は開発中という事だ。
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今回もニジーナさんを城塞内部の通用門まで送り届けた。
そこまでの道中で、ニジーナさんが“不味い魔力回復薬”についての改良について力説していた。
別に慣れてしまえばイイじゃない?という反論する隙すら与えられず、ただただオイラは聞き役に徹するしかなかった。
修道女の格好をしているのに肉食だという彼女は、草の味ではなく肉の味がする魔力回復薬を御所望のようだ。
『つまんなーい!もっと口説け~!』
「うるさい、袋に戻れ。」
宿への帰路で、今度はキューに“押し”の重要性を力説されていた。
っていうか、精霊ってゴシップ的な事が好きなのか?
シーちゃんに確認したところ、他にする事が無いから仕方がないと言われた。
まぁ、性格的な要因の方が強いと思うがな。シーちゃんは興味無いと言ってたし。
宿に戻り、いつもの様に寝る前の訓練を行う。
その後、仮面と同じ機能を持つ黒縁眼鏡を堪能し眠りについた。
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朝、起きるといつもの様にキューが変な姿勢で毛布に絡まれて寝ており……シーちゃんは、袋に戻ったか?
何気なく起き上がると、背後から肩に何かが飛びついてきた。
振り返ってみると、黒い仔猫がぶら下がっている。なんじゃこりゃ?
『オハヨ。』
「うお?喋った!?」
『昇格した。』
「う?うおぉぉ?シーちゃん!?」
夜中にランクアップすると言っていたシーちゃんだった。




