↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者36番  作者: ハムリンゴ
第五幕:何故か勝手に話が進む件について。
100/134

99) 対アイロさんなのね。

 シーちゃんは、手足を確認して顔を両手で覆い、足を上げたりクルッと一回転してみたりした。

 素っ裸だが、黒いガラスのような体色とフィギュアのような身長で色気は感じられない。


『ベイル?』

『ボクにも解らないよ?』

「おお?何の話だ?」


 何やら不思議な事が起きているのは理解できたが、何が不思議か解らない。

 キューの話を要約すると、“シーちゃんの現階位で、その姿になる事はあり得ない”ということらしい。

 たった2行、5秒で言い表せるのに5分は喋っていた気がする。面倒なので無駄な4分55秒の内容は割愛させて頂く。


「んで、何か支障はあるの?」

『今のトコ、無い。』


「問題無いなら、眠くなるまで訓練しますか?」

『了解。』『おっけー!』すっぴょこ☆


 深く考えても、進展無さそうなので前向きに進める。うん、考えたり調べたりするのが面倒なんてことは無い。絶対に、だ。


 修行の結果……

 シーちゃんが再度階位が上げられるまで成長した。そして、実体を持つ黒猫化に成功していた。

 精霊ズの話ではさっきと同様に、そのランクでは実体化も不可能だというが、出来てしまったのは仕方が無いので放置となった。


 キューの次のランクアップでは、60センチ級への大きさにはならずに服だけを追加する事にした様だ。実体化もしないらしい、精霊の事は解らないから口出しはしない。

 ただ、残念な事にキューのランクアップは森林限定なので、先送りになってしまう。

 ミッチーの成長は解らない。魔法系統のスキルは上がっていると思うが、ステータスを見れないのが残念だ。


 あと、思いついた事としてミッチーに挟んでいる“紅玉の栞”で魔力の充填ができる件で、精霊達にも“紅玉シリーズ”を作ってみた。

 オイラが倒れても魔法を使うための“魔力のストック”が必要になると思ったからだ。もう命を削ってまで無理をさせたくない。

 そして作ったのは黒猫用の首輪だ。これで精霊達用の緊急時魔力補給として使って貰う。材料は紅玉やミスリル、適当にルーンを叩き込んだ。

 また、キューに何か持たせようと思ったが実体がないので装備不可だというので作っていない。首輪を共有して使って貰う事にする。


 青白い炎で熱し加重の魔法で押し固めると結構コンパクトになり面白かったので、限界までガンガン詰め込んでみた。

 首輪を作り、紅玉の栞も作り直した。


「意外と魔力を流し込めるな。これで前みたいな事態になっても大丈夫か。」

『ナナシノ、その前にあんなコトにならない様にしなさいよ……』


「そりゃそうだ、気を付けるよ。」


 思い出してゾッとする。今回の“殺されかけた”という記憶は、まだ笑い話にまで昇華していない。少し震えた。


『ごめん、無神経だったね。』

「良いよ、次は無い様に鍛えないとね。」


 仕上げに全力で魔力を枯渇寸前まで流し切り、眠りにつく事にする。

 ベッドの上で朦朧とする中、失った腕にも魔力が流れた気がして不思議な感覚になった。



~~~~~~~~



「ナナシノ、ちょっと来い。」


 朝から突然、アイロさんに呼ばれて演習場まで来た。誰も居ない。

 居るワケないか。今ここで練習するくらいなら、ダンジョンへ潜った方が稼げるもんな。

 それにしても相変わらず、イキナリで強引なヒトだ。まぁ、悪気も考えもない感じがするので面白いんだけどね。

 というか、オイラは軟禁中じゃなかったのか?“まだ”出入りしている“彼等”と遭うのがマズイとか言ってたよね?


「手は打ってあるから、その辺は大丈夫だ。んじゃ、確認するぞ?」

「確認?何の?」


 言うなりアイロさんは5メートル程離れた位置から、オイラに向かって急接近しつつ拳を突き出した。“瞬歩”かっ!?

 慌てて後ろへ飛び退くと、一瞬で追撃された……額にコツンと当てられた拳は痛くは無いが、凄く驚いた。


「よし、ここまでは大丈夫か。次はどうだろうな?」

「いや、待って!何が大丈夫なの!?」


 突然の行動に対するオイラの抗議の言葉は無視され、アイロさんは後方へ飛び下がって前後に両足を広げ腰を落とした。

 続いて上半身を捻りつつ、両手を合わせ腰の後ろへ回す。そして“溜め”を開始する。


「いあ!?その構えってマズイんじゃないのっ!?」


 案の定、合わせた両手の間で闘気が濃縮され、強く発光している。完全に↓↘→↓↘→ⓅⓅⓅの技じゃないか!

 次第にその技が脅しでは無い威力に跳ね上がっている事に気付く。技だけではない、目も完全に殺意を持っている。

 “殺されかけた”記憶がドス黒く再燃する。ヤバイ!


「っしゃあぁあ!!」

「おぉぉぉおおっ!」


 アイロさんとオイラから発する声が重なり響く。

 今の震えが怖さからなのか抗う気持ちなのかは解らないが、叫ぶ事で意気を上げる。ヤラレテタマルカ!

 咄嗟に、地面に“描いた”架空の魔法陣へ右手と両足、両膝から魔力を流し込んだ。


 そしてお互いに“技”を発動。オイラは魔法が完成したかどうかも確認せず、飛び退いて回避を試みた。


「うおっ!?」


 どちらが叫んだのかは解らない。


ずどばっ!!じるじるじるっ!


 アイロさんから放たれた闘気の弾は、オイラが描いた架空の魔法陣より生えた……大きな赤い手で受け止めて阻んでいる。ナニアレ?


「面白い、それも“正解”かも知れないな。」

「アイロさん!?」


 技の衝突で轟音が響く中、オイラにはハッキリとその“声”が聞こえた。いや、アイロさんの声じゃない……誰?


とぷん。


 いきなり、床を踏み抜いた。

 “踏み抜いた”と云うより、床が液状化したので踏ん張りのきかなくなった足がワタワタとなる、アニメでよくある床が無くなった時のアクションだ。


 突発的な出来事が、自分に起きた事なのに第三者的な見方になった。

 そんな考えも虚しく、床に飲み込まれながら段々と意識が遠くなる。


 オイラ、意識飛ばしてばかりだな……

 また、他人事の様な思考になってら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。