表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/42

第5章 「前に立つ人」


 昼前。

 道は、細くなっていた。

「……ここ、嫌な感じする」

 ミケが、足を止める。

 耳が、ぴくりと動く。

「……迂回するか?」

 クロが言う。

「……いや」

 ミケは、前を見る。

「……この先、放っとかれへん」

 ドン。

 前方で、荷車が倒れた。

 悲鳴。子どもの声。

 道の先。

 荷車の周りに、武装した男が五人。

「……囲まれとる」

 ミケが低く言う。

 クロは状況を見る。

 子ども二人。年寄り一人。

 逃げ場は、ない。

「……俺が、前に出る」

 ミケが言った。

「……待て」

 クロが止める。

「……間に合わん!」

 ミケが飛び出そうとした瞬間――

 ゴン。

 視界の端で、何かが落ちた。

 盾。

 大きな盾が、道の真ん中に突き立てられる。

「……下がれ」

 低い声。

 落ち着いている。

 盾の後ろに、女が立っていた。

 刃が来る。

 ガン!

 盾に弾かれる。

 女は押さない。

 追わない。

 ただ、止める。

「……後ろ、逃がす」

 クロが子どもたちを抱き上げる。

 ミケが横を固める。

 数呼吸。

 男たちは舌打ちして、距離を取った。

「……ちっ」

「……割に合わん」

 五人は、来た道を戻っていった。

 静かになる。

「……助かった」

 クロが言う。

 女は、クロを見る。

「……無茶するな」

 少し、間。

「……次は、もっと早く決めろ」

 ミケが腕を組む。

「……あんたが、噂の盾?」

「……ヨル」

 それだけ名乗る。

 ヨルは荷車の方を一瞥して、背を向けた。

「……待って」

 クロが呼び止める。

「……礼、言わせて」

 ヨルは振り返らない。

「……守るなら、迷うな」

 それだけ言って、歩き出す。

 ミケが、ぽつりと言う。

「……大人やな」

 クロは、その背中を見る。

 前に立つというのは、

 殴ることでも、命令することでもない。

 判断を、引き受けることだ。

 そう思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ