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第49章「先に灯っていた」
廃砦。
門は、
相変わらず
半分しか
閉まらない。
「……誰かおる」
ミケが、
足を止める。
焚き火の煙。
細く、
まっすぐ上がっている。
クロは、
すぐには走らなかった。
中に入る。
フェイが、
気づいて
顔を上げた。
「おかえり」
「……誰や」
クロが聞く。
フェイは、
少し間を置いて言う。
「……三人」
「昨日の夜、来た」
「家族や」
レインが、
わずかに目を細める。
「……途中で会うたやつらか」
「……ああ」
「噂を聞いたって」
砦の中。
水桶が増えている。
布が
干されている。
見慣れない荷が、
壁際に置かれていた。
カイが、
静かに言う。
「……もう、
通り道やないな」
クロは、
荷を下ろす。
「……泊まるだけで
ええって
言っといた」
「……それでええ」
迎え入れるとも、
拒むとも
言わない。
それでも。
砦は、
人を
追い出さなかった。
ミケが、
小さく笑う。
「……勝手に
居場所に
なり始めとるな」
クロは、
何も言わなかった。
だが、
焚き火に
一つ薪を足す。
火は、
少しだけ強くなる。
砦は、
誰も追い出さない。
その代わり、
守る理由が
また一つ増えた。




