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第48章「先に向かう人」
街道を外れた分岐。
三人は、
岩場に腰を下ろしていた。
水を回す。
荷を整える。
静かな時間。
足音がした。
振り向くと、
男女二人。
その後ろに、
若い娘。
荷は多くない。
武器もない。
ただ、
歩いている。
「……どこへ」
レインが声をかける。
男は、
一瞬だけ迷ってから答えた。
「……廃砦」
ミケの指が止まる。
「……噂を、聞いた」
「……追い出されへん場所やと」
クロは、
何も言わない。
娘が、
道の先を見る。
「……まだ遠いですか」
「……もう少しや」
クロが、
それだけ答えた。
男は、
小さく頭を下げる。
「……助かります」
三人は立ち上がらない。
家族は、
先に歩き出す。
足取りは、
決して速くない。
だが、
戻らない。
ミケが、
ぽつりと言う。
「……止めへんの?」
「……止める理由がない」
レインは、
静かに言った。
「……もう、
俺らの場所やないな」
クロは、
首を振る。
「……最初から、
俺らのだけやない」
家族の背が、
道の先へ消える。
砦は、
まだ見えない。
だが、
向かう人は、
増えている。




