表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/44

第25章「朝が来ても」


 朝は、来た。

 夜明けの光が、砦の中庭に差し込む。

 だが、

 空気は重いままだった。

 フェイは、ほとんど眠れていない。

 レオの額に手を当てる。

 熱は、下がっていない。

「……水、飲める?」

 レオは、小さく首を振った。

 呼吸が、少し苦しそうだ。

 クロは、入口の方から戻ってきた。

「……どうや」

 フェイは、正直に答えた。

「……変わらへん」

 その一言で、十分だった。

 ミケが、鍋をかき混ぜながら言う。

「……昨日拾った薬、使える?」

「……症状は抑えられる」

 クロは答える。

「……でも、治すもんやない」

 フェイは、唇を噛む。

「……長く、ここにおったら」

 言葉が、続かなかった。

 ヨルが、静かに言う。

「……移動は無理や」

「……この子は」

 フェイは、うなずく。

「……分かってる」

 砦の外から、音がした。

 昨日の来訪者だ。

 水を運び、薪を積んでいる。

「……手伝います」

 そう言って、当然のように動く。

 クロは、その様子を見ていた。

「……人が、動き始めてるな」

 ミケが、肩をすくめる。

「……放っとかれへん場所になったってことやろ」

 クロは、フェイを見る。

「……医者が要る」

 フェイの目が、わずかに揺れた。

「……そんな人、来るん?」

「……探す」

 即答だった。

「……街だけやない」

「……勇者の道の外にも、医者はおるはずや」

 ヨルが、短く言う。

「……来る理由ができたなら」

「……来る敵もできる」

 その言葉は、重かった。

 ミケが、少し困ったように笑う。

「……なんや、もう町みたいやな」

 クロは、首を振る。

「……まだや」

「……でも」

 レオが、目を開けた。

「……お兄ちゃん」

 クロが、すぐに寄る。

「……起きたか」

「……ここ、いなくならん?」

 小さな声。

 クロは、少しだけ考えてから答えた。

「……行かへん」

「……しばらく、ここにおる」

 レオは、安心したように目を閉じた。

 その姿を見て、

 クロははっきりと理解した。

 旅は、続けられる。

 だが、守る場所ができた。

 砦は、通り道ではない。

 選んだ場所だ。

 クロは、砦の壁を見上げる。

 決断は、もう終わっていた。

 ここが、戻る場所になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ