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悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


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第13章「声の残り方」


 村を出て、しばらく歩いた。

 道端に、簡素な墓があった。

 土は新しい。

 花もない。

「……ここで、

 埋めたんやろな」

 ミケが言う。

 クロは、立ち止まった。

「……ちょっと、

 待ってくれ」

 ヨルが振り返る。

「……何や」

 クロは、何も答えずに

 杖を握った。

 ミケが、息を呑む。

「……クロ?」

 クロは、墓の前に膝をついた。

「……少しだけや」

「……確かめたい」

 杖の紋章が、

 かすかに熱を帯びる。

 光はない。

 音もない。

 ただ、

 空気が変わった。

 クロは、目を閉じる。

 声が、あった。

「……前に出るなって、

 言われたんやけどな」

 男の声。

 若い。

「……でも、

 あいつら守らな、

 あかん思って」

 クロの指が、わずかに震える。

「……勇者様は、

 正しかったで」

「……魔物は、

 全部倒れた」

 間。

「……せやけど」

「……終わったあと、

 何も言われへんかった」

「……名前も、

 数に入れられたままや」

 声は、

 それ以上続かなかった。

 クロは、目を開ける。

 息が、少し荒い。

 ヨルは、

 一歩も動いていなかった。

 ただ、

 クロを見ている。

 ミケが、恐る恐る聞く。

「……今の、

 誰?」

 クロは、答えなかった。

 代わりに、

 杖から手を離す。

 空気が、元に戻る。

 ヨルが、初めて口を開いた。

「……死と、

 話したな」

 断定。

 問いではない。

 クロは、

 小さくうなずいた。

「……知るためだけや」

「……操ってない」

 ヨルは、

 しばらく黙っていた。

「……便利な力や」

「……同時に、

 危うい」

 ミケが、

 無理に笑おうとする。

「……でも、

 嘘はなかったやろ?」

 ヨルは、

 ミケを見ない。

「……嘘かどうかやない」

「……使う理由や」

 クロは、

 はっきり言った。

「……数字に、

 ならん声を、

 拾いたい」

「……それだけや」

 ヨルは、

 視線を墓から外した。

「……なら、

 今は何も言わん」

 それだけ。

 三人は、

 再び歩き出す。

 誰も、

 さっきの声を

 口にしなかった。

 だが。

 もう、

 戻れない場所を

 一つ越えた。

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