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「グレードはどうする? 一番低いとこだと50~70高いもんだと500ってのもあるけど」
「そうだな 150払っておつりがくるぐらいで頼む」
「じゃあこれだな 三菱のミドルクラス タイムアップでも165 勝てば210万だ」
「三菱? そんなでかいとこが絡んでんのか」
「表向きには関係ないことになってるけどな マシンファイトってのは企業の宣伝、メンツ争いのいい舞台なんだよ」
なるほど、奈落には相当の権力が集まってるらしい。
「宣伝か。じゃあぶっ壊しちゃ悪いかな?」
「いやむしろ逆だ シャバイ負け方されると盛り上がんないしマシンの宣伝にもなんないしな ていうかあんたは死なないことだけ考えてな」
「そんな強いのかよ」
「強いね 慣れてるやつでも三菱のミドルなら半分は死ぬ」
「参考資料だけ見てもいかな」
腕に自信はあるとはいえそこまで言われると怖くなってくる。何しろ機械と戦うなんて初めてだし。
その後簡単な手続きと同意書へのサインを済ませ、俺たちは会場へと向かった。
直前の試合はフォードの低グレードとひょろい半グレの試合だった。早々に弾丸を使い切った半グレは襲い来る鉄の獣からただ逃げ続けるほかなかった。場内に設置された遮蔽物の陰に隠れ息をひそめるが、躯体の中心部、赤く光るセンサーがそれを明らかにし、クモのような細長い手足が執拗に追い続ける。
残り時間が1分を切るかというところで男は出血のせいか動きが鈍くなりその腕に命を狩りとられた。




