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地図をある程度頭に入れ、次は街の注意事項をまとめたガイドブックを手にとる。なんでもこのヤマトはルールも技術も治安も全てが特別らしくそれを新しく来た人間に教えるためこういった冊子が作られているらしい。それを軽く読みながら次何をするべきかなんて考える。
「謝ることあるんじゃないの」
そんな折、エリはそう言ってきた。感謝されることはあれど謝ることなんて何もないと思うのだが。目線を上げてしばらく考える素振りを見せると
「私の見た目よ 若くなかったら今も文無しでしかも身分もなかったわけでしょ だいぶ助かってると思うんですけど」
「結果論だろ」
「でもその結果のおかげであんたは昼食にありつけてるのよ 一旦その事実に感謝してみるってのはどう?」
しばらく黙っていた。とりあえずこいつに言いくるめられたくなかったので。
「まぁそれは置いといてだね お前、学校行くか?」
「学校?」
意外そうに彼女は答える。
「嫌か?」
「嫌じゃないけど、というかむしろどうやって説得するか考えてたのに」
「お前、人間生活楽しもうとしすぎだろ」
「いいじゃないそれぐらい ていうかなんで?」
「これ見てみろ」そう言って見ていた資料を渡す。
「ヤマトでの事件発生件数とその解決率。ヤマトが出来てから発生件数は 右肩下がり。解決率も98%を超えてるだろ。」
「そうね」
「一方で、身元不明の遺体は一日平均、1万体以上。つまり、身元を固めるだけでも手を出されにくくなるってわけ」
「まぁ私としてはこの上なく都合がいいってわけね」
本当はもう一つ理由があったのだが、それについてはここで言うと意味がなくなるので黙っておいた。




