第9話 神の教会
洞窟は巨人の足音でまだゴロゴロと音を立てていた。ここに長くいたら、聖なるパンケーキになってしまうだろうと、私は思った。
その時、戦士が咳払いをした。「皆で一緒に死ぬ前に、せめて名前だけでも覚えておこうじゃないか。」
私は瞬きした。「…本当?今さら自己紹介でも?」
僧侶の少女はローブの煤を払いながら微笑んだ。「大事なことだと思うの。」
私はため息をついた。「…わかった。」
彼らは一人ずつ回っていった。
ダリウス:戦士。剣は大きく、声も大きく、驚くほど心優しい。
ケイル:魔術師。眼鏡は割れているが、相変わらずオタクのように説教している。
セレーネ:僧侶の少女。温かい笑顔。私に名前を教えてくれた人。
ローナン:盗賊。皮肉屋。もう何でも文句ばかり言っている。
ライラ:レンジャー。物静かで鋭い目、頬には傷跡。
そして彼らの視線が私に向けられた。
私は髪をいじった。「…リリア。リリア・フォスター。」
セレーネは満面の笑みを浮かべた。「ほら?これで私たちは世界の果てから逃げるただのよそ者じゃない。パーティーになったのね。」
その言葉に私は思わず笑みを浮かべそうになった。ほとんど。
ドカーン。洞窟が再び揺れた。砂塵が降り注いだ。
「よし、楽しい時間は終わりだ」と私は思わず言った。「月ほどもある巨大なタイタンがまだ私たちの尻に迫っているから!」
セレーネは杖を掲げた。手は震えていたが、声は落ち着いていた。「じゃあ、私がやるわ。テレポート!」
私がパニックになる間もなく、光が私たちを飲み込んだ。
ドカン!
私たちは地面に倒れ込んだ。
私はうめき声を上げて、体を起こした。神々しい髪はぐしゃぐしゃで、ロナンはどういうわけかダリウスの胸に顔から落ちていた。
「…痛っ。ここはどこ?」
見上げると、背の高いステンドグラスの窓、金色の光、空気中に漂う香。驚いた顔で歩き回る司祭たち。
「ああ、よかった」と私は呟いた。「聖なる壁紙から判断すると、教会に着いたのね。」
セレーネは埃を払い、うなずいた。「アエテリスに着いた。今のところは安全だ。」
ケイルは壊れた眼鏡を直した。「安全だけど、長くは続かない。ドミニオンの印章を見つけないと。」
私はうめき声をあげ、輝く銀髪を手で撫でた。「…ああ、ああ、わかってる。早く。宇宙の巨大シュレックがドアのノックの仕方に気づく前に。」
よし。深呼吸。
無事だった。生き延びた。タイタンはまだ踏み潰してはいない。
しかし、教会の聖堂を見回した瞬間、一つの明白な疑問が頭に浮かんだ。
「…さて、それで…ドミニオンの封印はどこで見つけるんだ?」
皆が静まり返った。
私は一人一人を順番に見た。ダリウスは首筋を掻き、ケイルは割れた眼鏡を押し上げた。セレーネは杖をいじり、ロナンは馬鹿みたいに口笛を吹いた。ライラは瞬きをしただけだった。
私の目がぴくりと動いた。
「…で?誰か?何か考えはある?」
また沈黙が続いた。
私は両手を上げた。「君たち、耳が聞こえないの?それとも、誰も封印の場所を知らないの?」
彼らは皆顔を見合わせ、それから私を見返した。まるで量子物理学の解法を尋ねたばかりのような、ぼんやりとした表情だった。
セレーネは軽く咳払いした。「…記録には封印の存在しか書いてなかった。正確な…場所までは書いてなかった。」
私は凍りついた。「…つまり、古代の伝説を探すクエストでここにテレポートしてきたってことか…目的地がどこなのか、全く見当もつかないまま?」
「要するに」ロナンは呟いた。
「ああ、なんてこった…」私はうめき声をあげ、赤く光る顔に両手を這わせた。「死ぬわ。」
外の地面が再びかすかに揺れ始めた。タイタンの動きがこだましたようだった。心臓が止まりそうだった。
「…ああ」私は呟き、膝から崩れ落ちた。「もうヤバい。」
ニャの小さな猫のアイコンが、いつものように陽気な様子で現れた。
[訂正:生存確率はゼロになっていない。]
私は睨みつけた。 「それでどうしたんだ?」
[2.7%]
「…僕たちは死んだ。」