第65話 新たな女神の予言
馬車の外では風が唸り、雪がナイフのように横殴りに舞い降りた。
馬車の中では、私の青い炎の炎が弱々しく揺らめき、皆の顔に銀色の光を投げかけていた。
フェンリルの言葉は、神聖な響きのように宙に漂っていた。
「複製の女神…」彼はゆっくりと言った。息が空気を曇らせた。「万物を完璧にする者。」
皆が凍りついた。
セレーネのカップが彼女の手から滑り落ち、床に音を立てて落ちた。
ケールは曇り眼鏡の奥で瞬きをした。
セラフィナは首を傾げ、明らかに興味をそそられたようだった。
そしてルーナは…まるで長い間埋もれていたものが掘り出されたかのように、瞬きもせず私をじっと見つめていた。
私は大きく息を呑んだ。「待って。今、何だって言ったの?」
フェンリルの銀色の瞳が薄明かりの中でかすかに輝いた。
「私がクライオヴェイン門の先鋒を務めていた頃、記録保管所には多くの遺物――神聖な文字で記された、この時代よりも古い予言――が保管されていた」
彼は凍傷に冒された腕に視線を向け、空中に目に見えない痕跡をなぞった。「そうした石板の一つには、闇が創造そのものを呑み込むために立ち上がり、虚空の影から光が現れるという時代が記されていた」
彼は私の目を見つめた。
「破壊するのではなく、複製し、完成させる光。万物をあるべき姿に映し出す光。予言は彼女を…」
彼の声は低く響いた。
「新たな女神。自由の神。システムを超えた者。」
「…今度は何だ?」私は少し震える声で呟いた。
皆が私の方を振り返った。
「ちょっと待って。自由?女神?私?ええ、もちろんクールだけど、『神の救世主』と叫ぶほどじゃないわ」
セラフィナは小さく笑った。「ああ、どうかしら。あなたはくしゃみをするたびに運命を壊してしまう癖があるわね」
ルーナは腕を組み、表情は読み取れなかった。「兆候は合っているわ。あなたのパーフェクト・コピーは神の法則を超えている。あなたは存在すべきでないものを創造するが、現実はそれに合わせて歪む。その力は定命のものでも神のものでもなく、根源的なものよ」
セレネは両手を握りしめ、目を見開いた。「つまり…彼女は本当に女神なの?」
「ちょっと、早とちりしないで…」私は言いかけた。
しかしフェンリルは続けた。その口調は今や敬虔なものとなり、ほとんど震えていた。
「アビスが星々を呑み込み始める時、新たな女神が昇ると言われていた。支配するためではなく、解放するために。存在を運命に縛り付ける鎖を打ち砕くために。」
「彼女は自由の神となり、すべての創造物を縛る法則を書き換える最初の存在となる。」
続く静寂の中で、炎が静かに弾けた。
私は一度、そして二度瞬いた。
「わかった。ちょっと待って。ちょっと…」
私は自分を指差した。「つまり、森を核爆弾で爆破しかけ、ギルドを壊滅させ、冒険者カードを嘆いたあの私が、自由の神であるべきだとでも言うのか?」
ケイルはこめかみをこすった。「公平を期すために言うと、あなたは人類が知る魔法のあらゆる掟を破る傾向がある。」
セレーネはかすかに微笑んだ。「そして、あなたはいつも人々を解放する…たとえ意図していなくても。」
セラフィナは唇を歪めて身を乗り出した。 「退屈から解放してくれた。それはそれでいい」
「何の役にも立たない」私はうめいた。
フェンリルは少し頭を下げた。その深い声は柔らかくも確信に満ちていた。
「目が覚めた瞬間に印を見た――君が私を癒してくれた炎は火ではなかった。創造の慈悲だった。石板に記されたのと同じエネルギーだ。君は腐敗を拒む光を操る。虚無さえも君に従う」
私はルナを一瞥した。彼女が否定してくれることを半ば期待しながら。
しかし、彼女はただため息をついた。
「原初存在が囁いていたことと完全に一致する。創造自身もかつて、模倣から生まれ、自身さえも凌駕する存在について語っていた」
「待って――創造…創造そのもののことか?」
ルナは頷いた。「万物の絶対なる原初存在」
セラフィナは小さく笑った。「ああ、これは面白くなってきたわね」
頭がくらくらした。
私は自分の手を見下ろした。まだ青い炎でかすかに輝き、震えていた。
何かが目覚めるかのように、真実が私の内側で響いているのを感じた。
「新たな女神」フェンリルは低い声で繰り返した。「天からではなく、人の意志から生まれた者。あらゆる絆を書き換えることができる存在。運命さえも。」
何か気の利いたことを言いたかった。皮肉なことを言いたかった。否定する何かを言いたかった。
しかし、心の奥底では、すでに分かっていた。
あり得ない奇跡も、現実の法則に逆らった時も、全てが理にかなっていた。
胸が締め付けられた。
もしあの予言が本当なら…私の力は単なる偶然ではない。運命だった。
でも、私は運命が嫌いだった。
「私は女神になりたくない」私はついに低い声で言った。「ただ…自由に生きたかっただけ。」
フェンリルはかすかに微笑み、傷だらけの顔が和らいだ。「ならば、まさに君が選ばれた理由か。」
外の風は、まるで彼の言葉を反響させるかのように、轟きを増した。
窓の外では、山々のはるか彼方に、かすかな揺らめきが脈打っていた。巨大な渦を巻くオーロラが、まるで生きているかのようなルーン文字で輝いていた。
ルーナの目がきらめいた。「クライオヴェイン・ゲートが目覚めつつある。」
ケイルの顔色が青ざめた。「もしそれが本当なら、スローンズは既に我々の先を進んでいることになる。」
私は立ち尽くし、息は冷たさで湯気を立てていた。「それなら、追いついた方がいい。」
私たちが雪の中に足を踏み入れると、フェンリルも後を追った。まだ弱っていたが、決意は固かった。
吹雪が轟き、遠くの足音で地面が震えた。雪のベールの向こうで、何か巨大なものが動いている。
そして、心臓が一瞬動いた。それは――
嵐の中を囁く声。
「複製の女神…」
「新たな女神…」
「世界は自由を待ち望んでいる。」
心臓が高鳴る中、私は拳を握りしめた。
「わかった」と私は静かに言った。「もし世界が自由を必要とするなら…」
私は手を上げた。青い炎が約束のように揺らめいた。
「ならば、彼らに渡そう。」




